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本場でパスタ作り!フィレンツェ中央市場で夢の料理教室参加
イタリアには本場の料理体験ができるプランがたくさん用意されています。高級ホテルの調理場で本職のシェフから教えてもらえたり、マンツーマンで習ったりできるコースでは、本格的なイタリア料理を学べます。
また、イタリア人のご家庭で習うこともでき、市場にみんなで買い物に行くところからスタートするアットホームなコースなど、さまざまなものがあります。
「でも、イタリア語も分からないし、いきなりイタリアで料理を習うのも不安......」なんて方も多いのでは?ご安心ください。そんな方でもスタートしやすい料理教室もありますよ。今回は日本人でも入りやすい、観光客向けの料理教室をご紹介します。
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フィレンツェ中央市場にある料理教室
場所はフィレンツェの中央市場の2階(イタリアでは1階と表現します)。市場の上に料理教室?と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここは、名門メディチ家の名を冠した「CUCINA LORENZO DE' MEDICI」(クッチーナ・ロレンツォ・デ・メディチ)の本格的なキッチンスタジオで、2014年の中央市場の大改装の際に料理教室のスペースとして新たに開設されました。外国人向け1日料理教室や、イタリア人向けジュニアシェフコースを開催しています。
1日料理教室はとても人気があり、世界中から毎年2800名以上の方が受講します。イタリア料理の楽しさをより濃く感じてほしいという料理学校の希望で、市場と同じ建物の中に観光客向けの料理教室を作ったそうですよ。そのため、観光客は素材の色や香りを近くで感じられるのです。
とはいえ、海外で料理教室に行くなんて緊張してしまいますよね。そこで今回は、実際に私が参加してみた時の様子をご紹介していきたいと思います。
予約について
予約は中央市場や料理学校のホームページから、とても簡単にできます。日によってメニューが異なるため、事前に確認してみましょう。生パスタ、肉、魚などが基本ですが、変わったイベントとして映画の日は映画にちなんだレシピを習えたりします。
他にもパン、デザート、ヴィーガン(※)向けのレシピなど、予定が許すなら全部受講したくなってしまうほど。私は今回「スパゲッティ・アマトリチャーナ」の作り方を受講することにしました。
※ヴィーガンとは、卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」のこと。
料理教室の参加費用はいくらぐらい?
お値段は内容によってさまざまですが、だいたい60~100ユーロです。支払いはクレジットカードでできるので、安心で手軽ですね。この料金の中には、以下のようなものが含まれます。
- レッスン費用
- 食材
- ワインと水
- ロゴ入りエプロン
- 教材フォルダ
- レシピ
- 受講修了証明書
- 参加者保険
エプロン付き!つまり、参加者は手ぶらで参加できるというわけです。これなら観光客やバックパッカーの方も気軽に参加できますね。
当日の流れ
登録したメールアドレスに、受付時間などが書かれているお知らせメールが送られてくるので、その時間に会場に行きます。受付というのは、同じフロアの料理教室の斜め前あたりにある「インフォメーション」のこと。
そこで料理教室の参加者であるということを伝えて、名前を言います。英語も通じるので「COOKING CLASS」と言えば大丈夫です。室内はガラス張りになっているので、外から料理教室の様子を見ることができます。
私が参加した回は、外でご主人や友達が待っているという方もいました。
いよいよ料理教室に参加
まず、荷物をロッカーに預けます。教室の中に無料の鍵付きロッカーがあるので安心ですね。カメラや携帯は持ち込みOK。
私は張り切ってメモ帳とペンも持っていきましたが、最初に配られるレシピセットの中にタッチペン付きのオシャレなボールペンもついていました。
こちらは今回教えていただいたシモーネ先生です。授業は英語で行われますが、ゆっくり簡単な言葉で話してくれるので、英語が苦手でも大丈夫です。実際に、英語が母国語ではない方も多く参加するそうですよ。この時はポーランド、中国、イギリス、アメリカ、日本からの旅行客が参加しており、日本人は私ひとりでした。
参加は基本的に14歳以上とされていますが、14歳以下の参加は保護者同伴であればOKの場合もあるので、メールで事前に問い合わせてみましょう。中国からの受講者はファミリーでの参加で楽しそうでした!
今回私はひとりで参加しましたが、心細い方は旅のパートナーと一緒に参加するのもいいですね。なぜかというと、2人一組になる時があるからです。
私は一人旅だったので、「えぇー!!一人ぼっちだったらどうしよう......。」と正直不安に思いましたが、イギリス人のLさんが「あなたひとり?一緒にやりましょう!私も一人旅なの!」と声をかけてくれたのでチームになることができました。
さっきまで全く知らなかった人と一緒にパスタを作るのですから、その経験だけでちょっと話のネタになりますね。完全に共同作業なので、チームワークが大切です。
ところで、アマトリチャーナって何?
今回作ったのは「アマトリチャーナ」です。アマトリチャーナはローマ地方の伝統的な料理で、グアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)、玉ねぎ、トマト、ペコリーノチーズを使ったシンプルでとても美味しいパスタなんですよ。
予想を超えた本格的なスタート
ところで、私は最初、簡単に乾燥パスタを茹でてその間にソースを作って「はい完成!みんなで試食しましょう」というような流れを想像していました。ですが、「粉をまず広げてください」というシモーネ先生の言葉に、私もLさんもビックリ!「乾燥パスタを茹でると思っていたんだけど!」とLさんに言うと「私もよ!」と言っていました。
材料はこのように各テーブル2人分に分けてあります。シモーネ先生のアシスタントの方が常に様子を見てくれるので、分からないことがあればすぐに聞くことができ、初心者でも安心です。
先生が目の前でやり方を実践してくれるので、言葉が完全に理解できなくても何をすればいいのかだいたい把握できます。こんな感じでモニターにシモーネ先生の手元が常に映し出されています。
意外なところで発見!日本人には見慣れたモノとは
だいたいの流れを確認してから作業テーブルに戻り、玉ねぎを切る係、頬肉を切る係、とそれぞれ分担します。ここで日本人には見慣れたものが!何かというと、使う包丁が「三徳包丁(※)」だったのです。
この包丁は、そもそも日本人以外は持ち方すら慣れていないらしく、他の参加者は早速そこで苦労しているようでした。名称も「SANTOKU」と呼ばれており、「日本の三徳包丁は、慣れたら一番使いやすくて便利な素晴らしいもの」とアシスタントの方が話していたのを聞いて、誇らしい気分になりました!
※註:三徳包丁は、日本で一般に広く販売されている形の包丁を指します。文化包丁とも呼びます。
炒めたりする作業は簡単なので、料理初心者でも楽しんで進めることができます。
粉から生パスタ作り!
さて、いよいよ粉からパスタを作る体験の始まりです。シモーネ先生の横には見慣れない器具が並んでいます。一体何をどう使うのでしょうか?
この器具の名前は「キタッラ(chitarra)」といって、イタリア語で「ギター」という意味です。これで作られるパスタは「スパゲッティ・アッラ・キタッラ」といいます。
さて、私たちもキタッラを実際に使って各グループでパスタを作るのですが、この作業がものすごく気持ちいいのです。伸ばした生地を「キタッラ」に張られた弦の上に乗せ、のし棒でサーッとなぞると、生地が魔法のように細長い麺になって下へ落ちてくる仕組みです。
とてもシンプルなのですが、麺を手に取って見ると感動しますよ!スパゲッティは角がなくて丸い断面ですが、キタッラで作った麺は断面が四角いそうです。
私は「キタッラ」がとても気に入ったので、日本に帰ってすぐ注文しました。ですがこの器具は中央市場の物販コーナーでも買うことができるので、ネットで探すのが面倒な方やスーツケースの中身に余裕がある方は、ここで買って帰ってもいいでしょう。
ソースを煮詰めて仕上げているうちに麺を茹でます。生麺なので太いですが、茹で時間は短めです。パスタにソースに絡めていく様子は、見ているだけでお腹がすいてきます。
教室内にはいい香りが漂い、参加するみんなのテンションは最高潮に!盛りつけのコツもしっかり教えてもらえるのですが、実は一番難しい工程だったかもしれません。
そして、ようやく完成したのがこちら!
そして、試食タイム
先生が「チーズはいかが」と言って、できたての自作パスタにかけてくれます。塩気のきいたペコリーノチーズはトマトとグアンチャーレの濃厚な旨味をさらに引き出してくれるので、ぜひたっぷりかけてもらいましょう!
生まれて初めて参加したイタリア料理教室で粉から作ったパスタは、忘れられないほど強烈な美味しさでした。「キタッラ」を購入することはこの時点で決めていたので、こんなにも美味しいパスタをこれからは家でも作れるようになるのか!と思うとニヤニヤしてしまいます。
食べている間に一人ずつ、シモーネ先生から修了証を手渡されます。
どのコースを修了したのかがちゃんと書かれているので、違うコースにも通いたくなってしまいますね!
一緒にがんばりました!
私はペアを組んだLさんと話が盛り上がり、仲良くなりました。日本のオススメ観光スポットや美味しい店を教えたり、ロンドンの美味しい店の情報を聞いたり、食いしん坊同士ならではの会話を楽しむことができ、本当に刺激的な数時間でした。
エプロンのデザインも素敵なので、日本に帰ってからも何度も使っています(トマトソースが飛び散っていたので染み抜きをしましたが、それも勲章ですね!)。
<先生との一枚。>
今回の料理教室は、まさにプライスレスな思い出となりました。フィレンツェに行った時にはまた習いたいと思っているので、あのエプロンはこれからどんどん増えていくでしょう。満足感あふれる記念写真もお気に入りの一枚になりました。
基本情報
名前:CUCINA LORENZO DE' MEDICI(クッチーナ・ロレンツォ・デ・メディチ)
住所:Mercato Centrale, 50123 Firenze FI, イタリア
公式サイト:https://www.cucinaldm.com/
撮影:yukaco
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yukaco
- 17歳のときに初めてフィレンツェ、ヴェネチアへ行ってからすっかりイタリア贔屓に。定期的にイタリアへ旅行。
食、ファッション、アートが得意分野。興味があればどこへでも行くフットワークの軽さでハードスケジュールな取材も敢行。
イタリアの中で一番好きな場所はミラノ・スカラ座。好きな食べ物はラヴィオリ。