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バレンシアから日帰りで行ける城跡がある小さな町モンテサ
年齢のせいなのか、スペイン在住歴が長いせいなのか、ここ数年は有名な名所旧跡のあるメジャー観光地よりも、風光明媚な土地や味のある小さな町に惹かれます。今日は、私のお気に入りでここ数年に何度も訪れているバレンシア郊外の小さな町をご紹介いたします。
目次
城跡を中心に拡がる小さな町
バレンシア北駅からローカル線C2に乗って1時間少々行くと、モンテサ(Montesa)という駅があります。駅から町まではおよそ1.5キロメートル。日本では駅は町の中心にあり周辺には商店や銀行があってにぎやかなことが多いものの、スペインではたいてい町はずれに位置します。丘のてっぺんに城跡があり、その下に集落が拡がる坂の町で、人口は約1200人。町の人たちは、現地語のバレンシア語を話して暮らしています。
<トレッキングコースから眺めるモンテサの町>
町のシンボルは丘の上にある城跡です。もともとはアラブ人がこの地を支配していた当時の要塞でした。レコンキスタ後はバレンシアン・ゴシック様式に修復され、城内には教会や修道院がつくられ、いわゆる修道兵が住んでいたそうですが、1748年と1755年に起こった大地震でお城は完全崩壊。それから長い間放置されたままになっていました。が、今世紀に入って修復が始まり、今では中に入って見学できるようになりました。もともとは跳ね橋だった城内への入り口に立つと、敵が攻めてきたときはここを閉めたのかな?などと映画のシーンを思い出します。
<一部修復された城内>
一面のオレンジ畑が見下ろせる丘からの眺め
城跡のある丘から見る緑あふれるのどかな風景は圧巻です。一面にオレンジ畑が広がり、農業が盛んな豊かなバレンシアを感じます。オレンジは常緑樹ですし、冬が旬。冬場でも青々とした景色を眺めることができます。また、地理的にここが軍事要塞に適した場所だったことがわかります。戦いがある時は、行軍する兵士たちがよく見えたそうです。
城跡のまわりはぐるっと遊歩道になっており、ベンチとテーブルが設置されたピクニックスペースも。この遊歩道では、かわいい野ウサギに遭遇したり、馬に乗って散歩する人に出会ったことがあります。
トレッキングルートや歴史ある教会も
また、すぐ近くにはトレッキングやロッククライミングを楽しめる場所があるので、休日は賑わいをみせます。ロッククライミングスポットは見たところ初心者向けのようで、子ども達の姿も見かけます。
お城の近くには見晴らしのいいテラスを持つバルがあり、我が家ではモンテサに来たらここでお昼ご飯を食べることがお約束です。
町役場のある広場には、18世紀のはじめに建てられた聖母アスンシオン教会があります。小さな田舎町に見合わない存在感。傍らには16世紀半ばに建てられた、聖職者が住む建物があり、現在も教会の司祭がお住まいです。お城といい教会といい、たとえ小さな田舎町といえども、確固たる歴史があったことがうかがえます。
<左側の建物には現司祭がお住まい>
バレンシアからの日帰り旅行にオススメ
素朴でのどかな田舎の小さな町には、有名観光地にはない魅力があります。バレンシアに数日間滞在する方は、日帰りで訪れてみてはいかがでしょう? またアルバセテ-バレンシア間の高速道路A7を移動する方は、ここに立ち寄ってみるのもいいですね。
【注意】2018年7月現在、ローカル線C2は一部工事中です。バレンシア-ラルクディア・デ・クレスピン(L'Alcudia de Crespins)間は通常運行していますが、ラルクディア・デ・クレスピンから終点のモイシェン(Moixent)まではバスによる振り替え輸送となっています。ラルクディア・デ・クレスピンからバスに乗るとモンテサの駅ではなく、町の中でおろしてくれます。帰りはどこから乗ればいいのかの確認をお忘れなく。また、C2のシャティバ(Xàtiva)からは本数が少ないもののバスも出ており、所要時間は15~30分です。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。