カジノだけじゃない! 新旧が交わるマカオのおもしろさ

香港からフェリーで1時間、マカオを訪問しました。面積こそ小さいですが、スケールの大きさは想像以上。ダイナミックな建築が多く、モナコよりも圧倒されました。そして大人の社交場、カジノの様子も見ることができました。

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観光で大発展を遂げる街

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滞在中、マカオ観光局に勤める友人の横山さんから聞いたお話がとても勉強になったので、ここでご紹介します。

「マカオは観光の街ですが、カジノの恩恵を受けているので、教育費、医療費は無料、所得税ゼロ、光熱費も補助あり、市民は政府から毎年ひとりにつき10万円ほどお年玉をもらえます。

政府はカジノや中国からの観光客だけに頼ると何か起きた時に危ないので、カジノ以外の世界遺産やエンターテイメントの街として、色々な国の観光客にその魅力をPRしています。今は大卒の初任給も平均20万円を超えているとの話もあり、急激な成長を遂げています。

政府はホテル側がカジノばかりに力を入れないように、マカオの公共事業への協力やショーなどのエンターテイメント施設の充実、コンベンション施設をつくるなどを義務付け、その充実度によってカジノの規模を決めています。マカオタワーやコタイ地区と香港を結ぶコタイジェットフェリーもそういったホテルが運営しています!

マカオは狭いので農業をする土地もないしガスが出るわけでもなく、水も電気も中国からの輸入です。観光が重要な資源なので、力の入れ方が違いますよね。あんなに小さいところですが、観光客は毎年3000万人超えで、日本よりずっと多いんです。凄まじいペースで発展しているので、物価上昇も激しく最近は隣の珠海に引っ越してマカオへ通勤、通学する人たちも増えていますよ。パスポートを持って毎日移動なんてなかなか珍しいですよね(笑)」

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「ぼくも珠海も気になりました。香港からの橋もできたし、今後は珠海の土地も値上がりするかもね」

「ほんと、珠海の発展も時間の問題な気がしますね。マカオもセナド広場の周りなんて月の家賃1000万円超えで、宝石屋しか入れなくなってきているし、マカオの中はあと数年でライトレールが開通するから更に発展に拍車がかかりそう。問題もいろいろありますが、これからのマカオも見守っていただけると嬉しいです」

建築物に見る東洋と西洋の融合

マカオと香港はセットで語られることが多いですが、それぞれが辿ってきた歴史は大きく異なります。1842年アヘン戦争によってイギリスに割譲された香港は、その後植民地化され経済発展を遂げ今日に至ります。一方でマカオは香港のように武力制圧されてポルトガル領になったのではなく、今日まで中国人とポルトガル人が共存してきたといえます。

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2005年に、マカオの8つの広場と22の史跡が「マカオ歴史市街地区」として世界遺産に登録されました。マカオの街がほかの世界遺産の街と異なる点は、東洋と西洋の建物が共存し、人々の文化や生活にも東西の融合が見られるところです。

たとえば、マカオの象徴であるセントポール天主堂跡の裏手に、中国の子どもの神を祭るナーチャ廟があったり、ほかにも中国の寺院や住居のすぐ近くに教会や西洋建築があったりします。中華街、ポルトガル人街と分かれるのではなく、同じ地域に中国人と西洋人が共存し、隣り合わせで生活していたことを物語っています。

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先に挙げたセントポール天主堂跡は、何度も火災に遭い、今はファサードだけが残っています。1602年イエズス会により30余年かけて建設されました。世界遺産に登録される広場には、セナド広場やセントポール天主堂跡前のように大きなものもありますが、リラオ広場やカモンエス広場は「え、ここが世界遺産なの?」と拍子抜けするほど、さほど大きなものではありません。

しかし、ベンチに座って談笑する人々の話し声がこだまするなか、子どもをあやす人、太極拳に励む人、のんびりと新聞に目を落とす人と、ポルトガル風の建物と人々が織り成す光景と場の空気は独特なものがあります。名物のエッグタルトを食べるのもお忘れずに。

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そして夕暮れもまた見逃せません。ポルトガルから運ばれた石で敷きつめられたカルサーダス(石畳)が、オレンジの街灯に照らし出され美しく輝きます。ポルトガルの田舎町に迷い込んだかのような、ぬくもりのある雰囲気に包まれます。

おすすめはモンテ要塞(ようさい)から見下ろすセントポール天主堂。これはマカオで見てほしい景色のひとつです。

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中村洋太

旅行情報誌の編集とツアーコンダクターとしての経験を経て、フリーランスライターに。自転車で西ヨーロッパ一周、アメリカ西海岸縦断、台湾一周を達成したほか、東海道五十三次600km徒歩の旅も。

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