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スペイン・世界遺産の街トレド。その地下に広がる世界を見に行こう。

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記事投稿日:2018/05/25
最終更新日:2018/05/25

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スペイン中央に位置し、丘の上にある世界遺産の街「トレド」。ここ、トレドの街の下に、地下世界が広がっているのをご存知ですか?今回はその地下世界にスポットをあて、文化や歴史も交えつつその魅力を詳しくご紹介していきます!

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トレドの正面玄関であるビサグラ門

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トレドの道は細いうえに坂ばかり

一般公開されていない。地下へはガイドなしで入れない!

その地下は一般には公開されておらず、ローカルガイドだけが鍵を持っていて、彼ら無しでは入れません。「なんで、入場料を取ってもいいから一般に公開しないの?」と思うかもしれませんが、これには深い理由があるのです。

トレドの旧市街は、1986年に世界遺産に登録されています。しかし、一般市民が住んでいるわけで、彼らの家の地面は彼らの所有物ですよね。「駐車場を造りたい」と地面を掘り返すのは、彼らの自由です。ところが、なにか遺跡が出てきたら、そこで工事はストップし、トレド市の審査が始まります。

「これは重要、遺さないといけない」と決まったら、持ち主がその土地を、市に貸すか貸さないかの交渉が始まります。貸さないと言ったところで、世界遺産の物件とされた場所には手を付けられません。市が毎月所有者に賃貸料を払い、莫大な費用をかけて遺跡の発掘をするのです。そんな所がいくつもありますが、観光客たちは大聖堂やエル・グレコ美術館やらを見てまわるので、地下への入場者は少ないと予測し、鍵をローカルガイドに貸すことにしました。

トレドには、約50人のローカルガイドがいて、2つのグループに分かれています。地下潜りの鍵を持っているのは、その中の20人ほど。なんと1人毎月450ユーロのレンタル費を市に払っているそうです。又、ガイド間での鍵の貸し借りがバレると、取り上げられて二度と貸してもらえないのだそう。

今回は26歳の若い女性ガイド「ナタリア」が案内してくれました。
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ここからさらに、3つのスポットをご紹介します。

1.ユダヤ人の家(Casa de Judíos)

エル・グレコの描いた「オルガス伯の埋葬」があるサント・トメ教会から、細い道を降り、脇道を入った所に、何の変哲もない扉があります。ここは15世紀にイシャクというユダヤ人の家があった場所です。

入口の鴨居には、飾り模様にして、ユダヤ文字で「誘いに応じてくれて、ありがとう」という歓迎の言葉が書いてあります。通路の右手には、おしゃれな天井のサロンがあります。このサロンは、お風呂に入るための着替えをしたり、風呂上がりに談話をしたところであろうと言われています。そして、サロンの横に5、6人が入れる大きさの浴槽(Mikve)です。浴槽の壁は、断層式の石になっていて、地下水を吸い上げられるようになっているのです。仲間と一緒に風呂に入るのが、一番のもてなし。つまり、裸の付き合いというわけですね。

現在でも、超正統派のユダヤ人の女性は、生理が終わると一人で浴槽に入り、神父(Rabino)が「よし」と言うまで浸かり、身体を清めるのだそうです。カトリック女王のイサベル1世が、このイシャクの家を訪れ、自分の宝石を売り、コロンブスのアメリカ行きの経費を調達しました。ここは大金持ちの家だったのです。

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こんな所が入口とは、気づきません。

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歓迎の文字が書かれてます。

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凝った造りのサロン。

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浴槽。

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断層になっている石で、水を吸い上げる。

2.エル・サルバドールの井戸(Pozo de El Salvador)

とにかく坂が多いトレドの街。「なんでガイドのナタリアは、高い所から徐々に降りて行くようにしないのだろう!」この日はスペイン中で一番トレドの気温が高く、日陰でも40度という中を、大汗かきながら、エッコラエッコラ登って、エル・サルバドールという広場に出ました。

そこには、コンクリートで囲まれた箱のようなものが2つありました。

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この中にエル・サルバドールの井戸があります。「なにもこんなに重くしなくったって・・」という入口は、鉄で出来ているので、日に焼けて、素手で触れる状態ではありませんでした。入口を開けて階段をずいぶん降りた所に井戸の口があります。

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井戸の口は相当に深い所にある。

トレドの街は、ローマ時代に造られ始めました。ゲルマン人が侵攻してローマ時代が終わると、街をつぶして、その上に西ゴートの街造り。ウマイヤ朝によって征服されると、西ゴートの街をつぶして、その上にイスラムの街造り。レコンキスタが進むと、イスラムの街をつぶして、その上にカトリックの街造り。なるほど、昔の街ほど下の下にあるわけですね。「じゃあ、ローマ時代は平らだったんだ!」と言ったら「違うわ、その時代には、この旧市街の中に9つの丘があったの」という答えが返ってきました。

イスラム寺院のパティオにこの井戸があり、雨水と地下水、そして、水汲みおじさんが川から運んでくる水を貯めました。井戸にはなんでも食べるウナギを泳がせ、常に水をきれいに保つようにしていたのです。だから、トレドの銘菓マサパンに、ウナギを模ったものがあるのですね。カトリックの寺院に代わってからも、井戸が使われていたのは、その造りから分かります。そのカトリック寺院も廃れ、潰して広場になっていましたが、ゴミ収集場を造ろうと掘っていたら出てきてしまったそうです。雨が降ると、今でも水が溜まっているのが見られますが、ここ数ヶ月、雨が降らないために、地下水も枯れてしまっているのでしょう。カラカラの井戸でした。

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周りの造りを見ると、イスラム時代以後も使っていたことが分かる。

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ウナギ型のマサパン。

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水は一滴もない。

3.セニサルの風呂(Los Baños de Cenizal)

ナタリーに連れられて、トレドの坂をどんどん降ります。「この後、また登るとは言わないでしょうね?」と訊くと、「言うわよ」ですって。顔が倍ぐらいに膨れました。

アラブのお風呂事情

次に連れてこられたのはアラブの公衆風呂です。現在でも、アラブの公衆風呂と言うのは、温度の違う浴槽が必ず3つあるのだそうです。
1.まず入るのは体温と同じぐらいの温度の風呂。これで、身体をリラックスさせます。
2.次に熱い温度の風呂。毛穴を開いて、身体をきれいにするのと、蒸気を吸い込むためです。
3.最後が、冷たい風呂。身体中の血の循環を良くするため。

ところが、ここには1つの風呂しかありませんでした。当時から1つしかなかったわけではなく、隣の家の所有者が、公開を許可してくれないのだそうです。ここの上の所有者は、駐車場を造ろうと掘り始めたそうですが、遺跡が出たため、諦めて市に貸していますが、隣のお宅は「地下になにも造る気はないし、人が出入りして、うるさくなるのが嫌」ということです。それ以上は行けませんという壁がしっかり見えています。塞がれていますが、天井にいくつか穴があります。これは、光取りと換気の為です。いたる所にロウソク立てがあるのも分かります。配水管もありますよ。続いているあと2つの浴槽の造りがどうなっているのか、ぜひ見たいものです。

ほぼ男性だけが使用していて、女性は多くて、月に2回しか公衆浴場には行けないそうです。その日は女性だけが使える日。また、結婚式の前日は、結婚する女性一人だけが使用するものになります。この風習は現在も変わらず続いています。男尊女卑も甚だしい、と思うかもしれませんが、アラブの女性たちは、家庭内の他人から見えない所では、タンクトップにショートパンツひとつで、寝転がっていると聞きました。

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板の引いてある所が浴槽。

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隣の家の壁が先を拒んでいる。

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天井の穴は光取りと換気のため

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ロウソク立ての穴は、ちょっとおしゃれに造られている。

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配水管は、拒む壁の手前。

ここからまた坂を登り始めましたが、すでに3時を過ぎていたので、昼食をとることにしました。ワインを飲んで、美味しい料理で満腹です。
「次はどこに連れてってくれるの?」
「もうダメね、今日はこれで終わりにしましょう」
午前中、他のグループを連れて歩き回った彼女、さすがに歩き疲れたみたいですね。

彼女が所属するグループが主催しているツアーのホームページを載せておきます。個人で行く方は、ツアーを利用するといいですよ。ちなみに実に面白かった地下潜りツアーは夜。ということは、トレドに泊まる方だけになりますね。彼らは日本語が出来ませんが、心配しないで!私がご案内いたします。

Destino Toledo
公式サイト:http://destinotoledo.net/

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この記事を書いた人
佐々晶子
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