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二つの国をまたいでみよう!エクアドルとの国境、ペルーのアグアス・ベルデス散策
あなたは「国境」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?荒涼とした大地にまっすぐ延びる1本道と、そこにポツンと設けられた国境検問所?銃を持った屈強な兵士が、通行人を睨み付ける様子?でも中には国境を越えたことすら気づかないほど、さくっと行き来できてしまう場所もあるんです。今回ご紹介するペルー北部トゥンベス州の「Aguas Verdes(アグアス・ベルデス)」も、気軽に越境体験ができる町。ペルーとエクアドルの境に位置する、活気あふれる商業の町です。
ゴチャゴチャ感が楽しいアグアス・ベルデス
アグアス・ベルデスは、トゥンベス州サルミージャ郡の東端に位置する小さな町。トゥンベス市内を抜け、南米大陸を縦断するパナメリカーナ・ノルテを北上すると、写真のような分岐点が見えてきます。左がサルミージャ方面、右が国境サービスセンター「Centros Binacionales de Atención en Frontera (CEBAF) 」方面行き。旅行者が利用する国際長距離バスは右方向へ進路を取り、CEBAFで出入国審査を受けなければなりませんが、今回はあくまでも越境体験なので、左のサルミージャ方面へ進みます。
トゥンベス市内を出てから30分ほどでサルミージャの街に到着しました。ここからモトタクシーに乗り換え、アグアス・ベルデスへと向かいます。路上には、ペットボトルに入れたガソリンを売る露店がたくさんありました。石油価格が安いエクアドルでガソリンを仕入れ、ペルーで売って差額を儲けているんですね。国境に近いことがひしひしと伝わってくる風景です。
アグアス・ベルデスは、町全体がまるで一つの巨大市場のよう。生鮮食品から加工食品、衣類や日用品、プラスチック製品、オモチャなど、ありとあらゆる商品が売られています。とにかく誰もが「商い中」といった感じで、とても忙しそう。旅行者や観光客らしき人の姿はまったく見かけませんでした。
常夏の町アグアス・ベルデスですが、見るからに暑苦しい毛布がいっぱい!アンデス地方など、寒さの厳しいエリアからも業者が買い付けに来るのでしょうか?
機械を使ってサトウキビをギリギリと搾る、サトウキビジュース屋さんも大繁盛。
セビーチェやチャーハン、豚の揚げ物など、食べ物の屋台もたくさんあります。誰もがわずかな投資ですぐ商売を始めてしまう。そんな逞しさを垣間見れるのも、国境の町ならではの面白さかもしれません。
ペルーとエクアドルの国土を分けるのは、驚くほど細い川
ペルーとエクアドルの国境が見えてきました!手前の赤い看板がペルー、奥の青い看板がエクアドル領土です。2つの看板はサルミージャ川という細い川にかかる橋の上にあるのですが、その間にもたくさんの露天商がパラソルを出しています。一体どちらの国が彼らを管理しているのでしょうね。
ぎっしりと並ぶパラソルの隙間から、サルミージャ川を眺めてみました。国境の川というにはあまりにも川幅が狭く、歩いて渡れそうな感じです。それにしても、エクアドル側の河岸に建てられたベニヤ板の壁が気になるところ。聞くところによると、今では高さ4mを超える立派なコンクリート製の壁になっているそうですよ。両国間の詳細な協議抜きで突然建設が始まったこの壁に対し、ペルー政府はその建設中止を求めていますが、エクアドル側は「カントン・ワキリャスに建設する観光公園のため」として中止しようとしません。地元の人たちも、自由な往来を妨げるこの壁の建設に不安を抱いているそうです。
露店や屋台をのぞきながら歩いていたら、いつの間にか橋を渡り切ってエクアドル領に入っていました!この看板はエクアドル側からペルーを眺めたところ。周囲にはたくさんの警察官がいましたが、誰にも咎められることなくここまで来てしまいました。両国の人たちも国境など意識することなく、ただひたすら商売に励んでいるようです。
路上には、黒いアタッシュケースを持った両替商がたくさんいました。むき出しの現金を持っていて危なくないのかと心配してしまいますが、彼らはまったく平気。警察がそこかしこにいるので、安心しているのでしょうか?
エクアドル側の国境の町「Cantón Huaquillas(カントン・ワキリャス)」にも、さまざまな露天が並んでいました。靴や靴下、下着など、どれもかなり安そうです。
「国境を簡単に越えられる!」と言っても、それはこのエリア内だけの話。ペルー在住の私がカントン・ワキリャスを散策し、その日のうちにアグアス・ベルデスに戻る場合は恐らく問題ありませんが、このままエクアドル側に滞在し続けると、不法入国になってしまいます。サルミージャ川のすぐそばには国境サービスセンター (CEBAF)行きのオフィシャルタクシーが待機しているので、徒歩でこの橋を越えた旅行者は必ず出入国審査を受けてくださいね。
過去に幾度もの国境紛争を経て、現在は小康状態を保っているペルーとエクアドル。壁の建設を始め注視すべき問題は多々ありますが、そこに住む人たちにとっては目に見えない「線」より日々の暮らしが大事なんですね。今回はちょっと珍しい国境の町の様子をご紹介しました。
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原田慶子
- ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。