旅行者を守りし聖人サン・クリストバルの丘

リマのセントロからリマック川を挟んで対岸にそびえる「Cerro San Cristóbal (サン・クリストバルの丘)」は、
リマ市を一望できる恰好のビューポイント。
わずか5ソレスで往復してくれるツアーバスも出ており、
観光客のみならず、地元リマっ子にも人気の場所です。

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「サン・クリストバル」とは聖人クリストフォロス(クリストファー)のこと。
もとは違う名前でしたが、キリストを背負って川を渡ったことから
ギリシャ語で「キリストを背負うもの」を意味する「クリストフォロス」と名乗るようになったのだとか。
川の渡しとして旅人を助けていたことから、彼は旅行者の守護聖人とされています。

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さあ、バスに乗ってサン・クリストバルの頂上を目指しましょう。
セントロのサント・ドミンゴ教会のそばから出発したツアーバスは、タクナ通りを北上しリマック区へと向かいます。

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ピンク色をした陸橋のようなこの建造物は、「Paseo de Aguas (水の散歩道)」です。
18世紀の副王マヌエル・デ・アマットにより、1770年から6年の歳月をかけて造られました。
リマック川の流水を利用し、橋の中央から水が滝のように流れ落ちる仕組みになっています。
またこの写真からは見えませんが、左手の柵の内側、噴水の前方には浅いプール状の池が掘られており、
そこに水を張ると、満月を写す水鏡になったと言います。
一説によるとこの噴水や池は、『お月様が欲しい』と願った愛人ミカエラ・ビジェガス(愛称ペリチョリ)のために
造らせたものだとか。
副王ともなると、女性への贈り物もさすがに規模が違いますね。

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ツアーバスはサン・クリストバルの丘をどんどん登っていきます。
麓から頂上にかけ、急な坂道に小さな家が折り重なるように建っています。

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山頂が見えてきました。高さ20mの巨大な十字架も見えます。
1535年にリマに首都を置いたフランシスコ・ピサロは、当時まだこの地域に残っていたインカの残党を滅ぼすと、
彼らが「apu (アプ/ケチュア語で"聖なる山")と崇めていたこの丘に十字架を建て、「サン・クリストバル」と命名しました。
山頂には小さな博物館があり、いにしえから現代までのリマの変遷が写真やパネルを使って説明されています。

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この日はちょっと霞んでしまいましたが、晴れた日にはリマ市南部のチョリージョス区まで見通すことができます。
リマック川を挟んで手前がリマック区、向こう岸がセントロやリマの新市街。
川の手前にある丸い建物は、アメリカ大陸最古の闘牛場として知られる「Plaza de toros de Acho (アチョの闘牛広場)」です。
この闘牛場も副王マヌエル・デ・アマットの時代に建造されたものです。

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手ぶれ写真で恐縮ですが、この丘の道路状況がよく分かるかと思いご紹介を。
往路は比較的メンテナンスの行き届いた道を登っていきましたが、丘の裏側を通る復路ではこの通り。
アスファルトは劣化しているし、道路の右側はすぐ崖であるにも関わらずガードレールがありません。
何より丘の形にそって無理やり敷設されているため、道路が湾曲しています。
交通量が少ないのが救いですが、これで対向車が来たらどうするのかと心配してしまいます。
観光地化が進んでも、この辺りが貧困地区であることには変わりありません。


麓に下りてきたバスは、ロス・デスカルソス修道院の前を通ってセントロへと戻ります。

晴れた日のサン・クリストバルからの景色は最高ですが、丘の周辺は治安があまり良くないため、
今回ご紹介したツアーバスや正式なタクシーでの訪問をお勧めします。
(ツアーバスでさえ、地元の若者がたむろする広場に差し掛かった時には
「窓を閉めて、荷物を足元に置いて」と運転手に指示されました。)
現在、リマ市はセントロとこの丘の頂上をケーブルカーで繋ぐ計画を立てているようです。
ケーブルカーが完成すればもっと気楽に、そして安全にこの丘からの眺めを楽しむことができるでしょう。


★Cerro San Cristóbal/サン・クリストバルの丘★
バスの発着場所:サント・ドミンゴ教会周辺
料金:5ソレス(約185円)
所用時間:片道約20分、山頂での滞在時間によるがだいたい1時間。
博物館入館料:1.5ソレス(約55円)



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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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