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香港/余分なものを入れない生粋の香港麺を~蝦記麺家
1人で香港を旅しているとき、食べるものはだいたいいつも同じものでした。
入れる店に限りがあるということもあり、麺かパン。
その中でも圧倒的に回数が多かったのが、雲呑麺だったでしょうか。
日本の雲呑と違い、1つの包みに蝦が2~3個入っているプリプリの食感。
でもこの香港らしい食感はその雲呑だけでなく、麺にもあるんですよね。
コシがあるというか、細くて歯ごたえのある香港の麺、
麺大国の香港、たいていの店では数種類から選ぶことができます。
河粉、米粉、そして日本では玉子麺とも呼ぶ「麺」
この香港ならではの麺、台湾や上海より北の人には
あまり好まれないなんて話も。
もちろん個人の嗜好によりますが、
柔らかい麺に慣れている人はこう思うんですって。
"やだこの麺、ゴムみたい・・・・"
なるほどという表現ですが、好きな人にはあの硬い歯ごたえがたまらないんですよね。
スーパーでも乾麺として売られている麺。
その専門店で買うというのも、これまた違う趣があるものです。
土瓜湾にある「蝦記麺家」。
70年代の雰囲気を漂わせる店構えですが
親子2代で50年に渡り経営をしている、
歴史ある老舗なのだから納得です。
ここの最大の特徴はその材料
魚でとったスープや卵などだけ、
余分なものを加えていない昔ながらの製法なんです。
最近はオーガニックなど健康を気遣うものが注目される時代
添加物の少ないものとして、このお店も最近人気が出てきたそうです。
大きなケースに直接入れられている麺
卵だけの麺や、蝦の卵を練りこんだ蝦子麺、
最近ではほうれん草など使ったものも人気だとか。
クルクルと丸められたようなその風貌が、織物のように美しいですよね。
スーパーなどとは違い、お買い求めの場合は重量になります。
1斤単位、もちろん個数で伝えてもその重さでお会計してくれるので大丈夫。
今は2代目のご主人が経営していますが、
先代のときは九龍湾にあったそうです。
もともと潮洲出身のお父さんが始めた麺の店は、口コミで人気が広がり
一番経営がよかった70年代頃は、
遠くからわざわざ買いにくるお客さんもいたとか。
空港の近くという立地、お土産にこの麺を買っていく人も多かったのは
その時代まだインスタント麺が発売されていないということも
関係するのでしょうか。
蝦記麺家
現在は九龍湾からほど近い土瓜湾にある店舗。
このご主人と麺を作るおじさん2人だけの経営、
これ以上は広げる予定はないそうです。
麺だけ売るお店、スーパーで簡単にインスタント麺が入る今の時代
経営は決して楽ではなく、1日2000ドル程度の売り上げの日もあるとか。
ここから経費を除いたら、2人の給料ギリギリ・・・・
お店の前で売られている小さな食べ物は、
麺と関係なくいわゆる「副業」なんですって。
出前一丁の麺がだいたい1個2ドル前後、ここの麺は10個で50ドルほど
値段にして倍以上になりますが、食べてみればその違いは歴然としています。
ここの麺、家で作るときは水の状態から煮るのがお決まり。
麺に練りこまれている旨味が水に溶け出し、
それだけで美味しいスープが出来上がるのです。
簡単に出来るけれど、でもインスタントじゃない
以前見たテレビでその製造風景が紹介されていましたが、
山ほどの卵がたくさん入れられていました。
あの材料がそのまま練りこまれている麺、
スープが美味しく出来るわけですね。
2代目が頑張って作り続けている生粋の香港麺
昔、人々がこの麺を持って空港へ向かったように、
今度は自分の家族へこの麺持っていこうかしら。
麺にはその場所の文化や風味も練りこまれているだろうから
ゆっくりゆっくり出てくる味の深いスープに、
きっとあの頃の香港を感じられることでしょう。
蝦記麺家
土瓜灣譚公道69號地下
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mangonaoko
- 香港人と結婚して数年、猫2匹と香港在住。現在“猫が暮らす香港”をテーマに 水彩イラストを中心に活動中。