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Alcioneと口ずさむエンへード <後篇>
ブラジルのMPBおよびサンバミュージック界の歌姫と呼ばれるAlcioneはマラニョン州のサンルイスの出身で、幼いころは教会で讃美歌を歌っていたという。地元でも有名な歌い手で後にリオへと移り住み、ボサノバが誕生した聖地と言われるBECO DAS GARRAFDASやLittle ClubなどのBARでキャリアを積み、いつしかTVで専属契約を結ぶほど売れっ子になっていった。
BECO DAS GARRAFDASの詳細はこちら
そんな彼女が「Não deixa samba morrer Não deixa samba acabar」(サンバを死なせないで、サンバを終わらせないで)というテーマで我がサンバエスコーラMocidade Alegreで歌ってくれるという素晴らしい今年のテーマ!勿論、優勝を目指して頑張らねば。
私の役割はCarro 4(4番目の車で踊るダンサー)だ。会場に着いた時だったか、チームの象徴ともいえるBandeira(旗)と供に写真撮影できたことも更に士気が高まるきっかけとなった。「こっちにおいで触って写真を撮っても良いから」とDiretoria(総監督)が招いてくれたので「私Carro4です!頑張ります」と言ったら「よし、チャンピオン目指すぞ!」とAbraçoしてくれたことも記憶に新しい。
皆の士気を高めるために開催されたこのイベントもクライマックスを迎えた。華々しいPassista(サンバの花形ダンサー)が会場を盛り上げ、Presidenteがスピーチをし、エスコーラの証とも言える(先ほど光栄にも触らせていただいた)Bandeiraを掲げたPorta bandeiraとMestre salaが舞い終わった後だった。
大勢の人達が賑わっていた会場がシーンと静まり返った。ドスの効いた渋い声が演奏なしで会場に響いた。皆声を揃えて口ずさんでいる、何せ今年のEnredo(サンバテーマ曲)のサビの部分なのだから。
Alcioneのその姿をとらえたくてスマートフォンやカメラのシャッター音も鳴り響く、目を丸くして驚く人、隣の人とAbraço(抱擁)する人、涙する人、そこに集まった人々の感情が彼女の声と一体化する。私もその中の一人涙しながらEnredoを口ずさむ。彼女の曲でいくつ振りを覚えた事か、こうやって本人と同じ会場で同じ空気を吸って歌っている。
Batucada(打楽器演奏)が鳴り響く、なんとAlcioneの後ろにはこの日のためにと連れて来たリオの老舗エスコーラMangueiraのBateria(楽器隊)も居る。私マンゲイラ2008年に初めてリオ・デ・ジャネイロのサンバカルナバルでMangueiraでDesfile(パレード)に出させて貰っている。因みにこのペンネームの由来にもなっている。Alcioneは過去にMangueiraをテーマにした歌をいくつも歌っており、彼女とMangueiraは切っても切り離せない縁があるのだ。
Mocidade AlegreとMangueiraが織りなすSamba Enredoの力づよいこと、またそれに負けず踊るRainha de BateriaとDancer達の軽快なステップ。会場が一つになって何度も歌い踊る今年のチャンピオンを目指すために。
サンパウロカルナバルは2月9日~10日開催。我がMocidade Alegreは2月11日現地時間の24:40からのスタートでした。
※0時過ぎのパレードは日付が変更となるので注意
Alcioneと口ずさむエンヘード<前篇>はコチラ
◇サンパウロカルナバルLIESAオフィシャルサイト
https://ligasp.com.br/
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マンゲイラ靖子
- 2012年よりブラジル在住。 Samba命!リオ1回、サンパウロ6回、(浅草9回)のCarnaval出場経験を持つ。現在は夫と猫3匹とでSP州に暮らし、主に日系コミュニティでの仕事に携わる。 より深いブラジル情報を発信できるよう日々模索中。