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スペインで花を愛で、実を味わう、2度おいしいアーモンド
アーモンド生産はアメリカがダントツで世界一ですが、次いでスペインとオーストラリアで生産されています。そもそもアメリカにアーモンドを伝えたのは、スペイン人宣教師だったのだとか。アーモンドは栄養のあるおいしい果実を供給してくれるだけではなく、私たちの目も楽しませてくれます。今回はそんなアーモンドのお話です。
サクラによく似た花を咲かせる
アーモンドがスペインに伝わってきたのは、ローマ時代。栽培には地中海性気候が最適ゆえ、昔からカタルーニャやバレンシア、アンダルシアなどの地中海沿岸地域で栽培されてきましたが、今はアラゴンやカスティージャ・ラ・マンチャでも大量に生産されています。
アーモンドの開花は、場所によって多少の違いはあるものの、たいてい2月から3月。サクラによく似た美しい花を咲かせます。それもそのはず、アーモンドはサクラと同じバラ科サクラ属のするのです。
アーモンドのお花見はいかが?
1月の初めににぎやかなクリスマスが終わると、暗く寒い冬で気分が沈みがちになります。そんなブルーな気持ちを浮上させてくれるのが、アーモンドの開花。枯れた冬の景色の中で白っぽい花を咲かせる木を見つけると、春の訪れを感じ嬉しくなります。サクラを愛でることができないスペイン在住の日本人は、特にアーモンドの開花を楽しみにしています。スペイン旅行にいらっしゃる方は名所旧跡めぐりがメインだと思いますが、機会があればぜひアーモンドのお花見はいかがでしょう? アーモンド畑に行けば一面に咲くアーモンドの花を見ることができますが、野山では自生した木を目にすることも。
<山間のアーモンド畑。梅のようにも見えますね>間のアーモンド畑。梅のようにも見えますね
木になるアーモンドを見たことありますか?
さて、花が散った後に結実し、収穫は8月末から9月にかけて。ところで、アーモンドはどんな風に木になっているかご存知ですか? 写真をご覧ください。
春にはこのように緑色の実をならせます。知らないとアーモンドだとは思いませんよね。カリフォニアではこの状態で、ファーマーズマーケットで売られているそうで、「どうやって食べるの?」と聞いたところ、そのままガブリと言われました。今年は試してみようと思っています。
私たちが口にするアーモンドの実は仁とよばれる一番内側の部分で、そのまわりが殻、さらにそのまわりは果肉で覆われています。収穫期になると次の写真のように果肉はひからび割れてしまし、殻が顔を出すのです。
<山で自生しているアーモンドの殻を割る子ども>
スペインはアーモンドを使ったお菓子が豊富
昔から身近にあったアーモンドは、スペイン料理にも欠かせない存在。特にアーモンドを使ったお菓子は多々あります。クリスマスの定番菓子トゥロン、バスク地方の焼き菓子ガトー・バスク、小麦粉は使わずにアーモンドプールと卵、砂糖だけでタルタ・デ・サンティアゴ、トレドの銘菓マサパン(マジパン)などなど。また、これからの季節にカタルーニャ地方で食べられる焼きねぎ"カルソッツ"につけるロメスコソースや、アンダルシアの夏の料理である白い冷製スープ"アホ・ブランコ"にはアーモンドは欠かせません。また、バルのおつまみにある油で揚げて塩をまぶしたアーモンドは、ビールのお供にピッタリです。
<アーモンドを使ったクリスマス菓子>
健康食品でもあるアーモンド
アーモンドはナッツの中でも特に栄養価が高く、健康効果があると言われています。毎日食べることを勧める健康法もよく耳にしますが、その場合は塩分ゼロ、もしくは控えめなタイプがオススメです。ローストしたタイプも揚げたタイプも市場やスーパーなどで手に入りますし、日本に比べるとかなり安価! スペインのお土産にいかがでしょうか?
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。