スペイン・アンダルシア地方の春祭り3選2018年版!現地在住ライターがお勧めします!

スペイン旅行には名所旧跡を訪ねる、おいしいものを食べる、フラメンコやサッカーを観るなどの醍醐味がありますが、そこにぜひ加えていただきたいのがお祭りです。スペインはフィエスタ(祭り)の国。一年中どこかしらでお祭りが開かれています。昨年ご紹介した6つのお祭りから、今回は観光客に人気のアンダルシア地方で特に有名でオススメの春のお祭り3つを、由来も含めさらに詳しくご紹介します。

1. 華やかで陽気なセビージャの春祭り

華やかな雰囲気では右に出るものがない、アンダルシア地方各地で開かれるフェリア。中でもセビージャのフェリアはダントツです。日本ではセビージャの春祭りと呼ばれていますね。このお祭りのために存在する広大な会場には、カセタという祭り小屋が立ち並び、また大きな移動遊園地もやってきます。闘牛場では連続興行が開かれ、一流の闘牛士たちが顔を揃えます。

このお祭りの起源は、1847年に開かれた家畜の見本市でした。これを提案したのが、バスクとカタルーニャという北部出身の2人の議員だったことが面白いですね。イサベル2世女王が2人のアイデアを承認したと言われています。この記念すべき第1回目は大盛況で、セビージャ外部からは25,000人を超える人が、またその倍のセビージャの人たちが訪れたのだとか。現在のようにフェリアに合わせて闘牛も開催されたそうです。20世紀に入りしばらくすると農業の機械化により家畜の需要も減り、段々と主体である見本市よりも側面であったお祭り的要素が濃くなり、今のような完全なお祭りへと形を変えました。プラド・デ・サン・セバスティアンにあった会場は手狭になり、1973年からは現在のロス・レメディオスの会場で開催されています。

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会場内はフラメンコを彷彿させる民族衣装を着たアンダルシア美人があふれ、カセタの中では昼夜問わずに飲めや踊れや。フェリアでは、フラメンコに似たセビジャーナスというペアダンスが踊られます。カセタは9割以上がプライベートな空間で招待がないと入れませんが、会場を歩くだけ華やかな雰囲気に心が弾みます。もちろん誰でも入場OKのカセタもいくつかあるのでご安心を。馬や馬車の往来がある昼間と、イルミネーションでキラキラまぶしい夜、どちらも必見です。

セビージャのフェリアは移動祝日で、2018年は4月15日から21日に開かれます。

2. 花、花、花。のコルドバのパティオ祭り

コルドバの旧市街には伝統的にパティオ(中庭)のある白塗りの家屋が立ち並び、住人はパティオを花で飾る習慣があります。その美しさを競うのがパティオ祭り。毎年コンクールが開かれ、参加する家屋が手入れの行き届いた自慢のパティオをこの期間だけ一般公開します。そう、普段は立ち入ることができない個人宅であることが多いのです。

夏の暑さで知られるコルドバは、アンダルシアのフライパンと呼ばれます。コルドバの家屋にパティオ(中庭)があるのは暑さ対策だと言われていますが、もともとはローマ帝国の属州の首都として栄えた時代にローマ人によってもたらされたものです。その後、イスラム支配下の10世紀には学問の中心地として栄え、100万人を超える人口を数えた時代があります(現在は33万人)。アラブ人もまた、パティオを愛する民でした。ローマ人はパティオに井戸を掘り、アラブ人は噴水を置いたそうです。そしてコルドバの人々は、パティオを鮮やかな色の花や陶器の絵皿で美しく飾るようになりました。パティオコンクールが最初に開催されたのは1921年で、1位は100ペセタ、2位は75ペセタ、3位は50ペセタの賞金だったそうです(現在は1位3,000ユーロ、2位2,500ユーロ、3位2,000ユーロ)。2012年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

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パティオの場所が記された地図をもらい、あちこちのパティオを見てまわるのがお祭りの楽しみ方。歩きまわる間に、世界遺産の町コルドバの散策も同時にできて一石二鳥。気に入ったバルを見つけたら、そこで一杯飲みながら休憩するのもいいですね。夜にはコンサートやフラメンコショーなどのイベントも開催されます。

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これも移動祝日で、2018年は5月1日から13日にかけて開催されます。

3. 涙を流す美しいマリア様が印象的なセマナサンタ

セマナサンタ(日本語訳は聖週間)はフェリアやパティオ祭りとは異なり、キリストのエルサレム入城からの受難と死に由来する宗教行事で、スペイン全国で祝われます。厳かなはずのこの行事に華があるのはアンダルシアならでは。特にセビージャ、マラガ、グラナダは規模が大きく、世界中からの観光客が見物にやってきます。

期間中は何軒もの教会からキリスト像やマリア像が乗った山車を担ぎ出され、信徒や楽隊を従えて町中を練り歩きます。この宗教行列はプロセシオンと呼ばれ、15世紀頃に"キリストの痛みを感じる"ことを望む人々が始めた習慣だと考えられています。今でも裸足で重たい十字架を背負ったり裸足に重たい鎖をつけて歩く人がいますが、当時は自らを鞭打ちながら参列する人もいたそうです。これはやり過ぎだと、カルロス3世時代に禁止となりました。現在担ぎ出される聖像には、何百年も前に作られたものもあります。

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セビージャのプロセシオンは教会から大聖堂へ向かい、また教会に戻っていくのですが、中には往復に12時間以上かかるところもあるので驚きます。信徒が着用する独特な三角頭巾とマント姿はKKKのようだと言われますが、歴史が古いのはこちらですね(笑)天蓋付きで花とろうそくで飾られた山車の上で豪華な衣装や宝石を身につけ、ガラスの涙を流すマリア像の美しさには息を呑みます。これに厳かな音楽やお香の香りも相まって、信者ではなくてもひきこまれていってしまうのです。宗教が持つマジックなのでしょうか。

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セマナサンタも同じく移動祝日ですが必ず日曜日に始まり、2018年は3月25日から31日になります。

春にスペイン旅行を考えている方、ぜひご検討くださいね。

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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