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イタリア・温泉の町モンテカティーニ・テルメ
以前ここでご紹介したおとぎ話の体験型イベント「イル・ピッコロ・レーニョ・インカンタート」は、トスカーナ州モンテカティーニ・テルメという街で開催されました。 今回はその舞台であったモンテカティーニ・テルメの街をレポートします。
温泉で知られたレトロ・ゴージャスな街
モンテカティーニ・テルメは、フィレンツェやピサから電車で約20分とほど近い場所にあります。イタリアの小中都市としては珍しく鉄道でのアクセスも良く、車を持たない観光客にも訪れやすい街です。
モンテカティーニというのがこの地域の名前で、テルメというのは温泉という意味です。温泉療法や保養地として世界的にもよく知られており、有名な温泉施設やホテルが沢山あります。この地の温泉は既に古代ローマ時代から知られていましたが、18世紀後半になってトスカーナ大公レオポルド1世がその治癒効果に注目し、温泉施設を建設して保養地として発展していきました。
あまり知られていないことですが、イタリアは日本と同じように火山大国。そのため全国各地に温泉が沢山ありますが、どちらかと言えば湯治よりリラックス目的のスパプールが多い中で、モンテカティーニ・テルメには療養というイメージが強くあります。湯に浸かって寛ぐ温泉としてはもちろん、医師の指導のもと症状に対応した飲泉ができる場所でもあるからです。
ヨーロッパを中心とした年配層が療養やリゾートを目的としてゆったりと滞在することが多く、他の観光地にはない独特の落ち着いた雰囲気を持っています。
歴史ある温泉地というだけでなく、この地は数々の著名人に愛された街としても有名です。19世紀には音楽や文化芸術の地として栄え、ロッシーニやヴェルディなどの著名人がこの地を訪れました。
写真は、この地に滞在したことがあるオペラの巨匠ジャコモ・プッチーニの記念像です。2016年に設置された彫像で、タバコとステッキを持った粋な音楽家プッチーニと一緒にベンチに座れるようになっています。
かつて文化サロンとして賑わったモンテカティーニ・テルメには、この他にもこの地を訪れた文化人や有名人を記念する物が街の至る所に残っています。そんな彼らの思い出と、19世紀のアール・ヌーヴォー様式の豪華な建築物が、どことなくデカダンスでレトロな趣を醸し出している街なのです。
これは市庁舎。中も美しい作りになっていて、展覧会などのイベントにも使われます。現在もモンテカティーニ・テルメには劇場やシネマ、音楽サロンなどが多数あり、様々なイベントが開かれる文化的にも特徴的な土地です。オシャレなお店も多く、街散歩が楽しい街でもあります。
美しい街並みとクリスマスイルミネーション
私たちが訪れた日は偶然にも広場でクリスマスツリーの点灯式が行われていました。地元の音楽グループがゴスペルを歌う中、テレビカメラやレポーター、今年のミス・モンテカティーニ・テルメに選ばれた美女なども集まってきて、クリスマスシーズンの到来を祝っています。
噴水にもツリー型のイルミネーションが設置され、道行く人々の注目を集めていました。ゴージャスな建物とシンプルに輝くツリーがよく合っています。
街からはモンテカティーニ・アルトという丘の上の街へと続く登山電車が出ており、夏はそちらへ向かう人々でも賑わいます。アルトとは、イタリア語で「上」という意味。そちらもまた、古い建物が残る素敵な場所ですよ。
温泉、レトロ・ゴージャスな街並み、文化イベント、登山電車など魅力の尽きないモンテカティーニ・テルメ。一度訪れてみてはいかがでしょう?
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佐藤 モカ
- イタリア・フィレンツェ在住。作家、フリーライター、マーケティング各種リサーチやコーディネートなど。2013年女児出産、現在育児奮闘中。