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スペインの闘牛を徹底解説!チケットの購入方法から全体の流れまで、楽しみ方を詳しく教えます!
夏はお祭りの季節。スペインの各地で大小さまざまなお祭りが開かれます。
この国でお祭りに欠かせないのが闘牛。今回はスペインに行ったら闘牛が観てみたい、と思っている方向けに闘牛の楽しみ方を簡単にお話したいと思います。
目次
- チケットの購入方法と席の種類
- 闘牛場に入ったら
- 音楽に合わせて入場行進後、いよいよ開始!
- テルシオ・デ・カバジョ/槍方の登場
- テルシオ・デ・バンデリージャ/銛打ち
- テルシオ・デ・ムレータ/マタドールの登場
- ついに最終場面!闘牛士の評価はいかに!
- 最後に
チケットの購入方法と席の種類
まずはチケットの入手から。最近はネットでも買えるようになりましたが、闘牛場の窓口で購入するのが一番ポピュラーです。人気闘牛士が出場する時は売り切れることもあるのでご注意を。当日どうしても観たければダフ屋がいますが、かなりの値段をふっかけられることも。手数料がかかりますが、日系の旅行会社に頼むこともできます。
席は3種類あり、高い順に日陰席(sombra)、日向-日陰席(sol y sombra)、日向席(sol)の3種類。日向席だと約2時間の興行中ずっと西日を浴びることも多く、夏場はかなり暑いです。血が苦手な人は、あまり前方に座らない方がいいかもしれませんね。
闘牛場に入ったら
時間にルーズなスペインながら、闘牛だけは時間通りに始まります。席を探す時間を考慮して、早めに会場に入りましょう。闘牛場の内外にはスリが多いので要注意。前方のいい席以外は石の固い座席なので、座布団を借りることをオススメします。
闘牛士の多くは闘牛場に着くと礼拝室(capilla)に向かい祈りを捧げます。早めに行って礼拝室の前で待っていると、目の前で闘牛士を見ることができますよ。
運よく席のまわりに人のいい闘牛好きのおじさんおばさんがいた場合、食べ物や飲み物のおすそ分けがまわってくることがあります。遠慮なく頂きましょう。
<礼拝室前でファンと写真を撮るエル・フリ。牛に刺された口元の傷が痛々しい>
音楽に合わせて入場行進後、いよいよ開始!
時間になると闘牛場にトランペットの音が鳴り響き、入場行進(paseillo)が始まります。パソドブレの音楽に合わせ、まずは馬に乗った露払い騎士(alguacilillo)が登場。続いて、きらびやかな衣装を身にまとった3人の闘牛士(toreroまたはmatador)がそれぞれ3人の助手(subalterno)や2人の槍方(picador)を連れて姿を表します。
入場が終わりトランペットとタンバリンが鳴ると、いよいよ1頭目の牛の出番。闘牛士たちはカポーテ(通常は黄色とピンク色をした布)を使って牛をあしらい、習性を見極めます。
<セサル・ヒメネスの惚れ惚れするカポーテさばき>
テルシオ・デ・カバジョ/槍方の登場
お次はテルシオ・デ・カバジョと呼ばれる場面で、防具をつけ目隠しをした馬に乗った槍方(picador)2人が登場し、長い槍で牛の首の後ろを突きます。20世紀の初めまで馬は防具をつけておらず、毎回数頭が牛の角にかかって命を落としていたとか。この場面からはどうしても血が目に入ってしまいますが、苦手な方はなるべく牛を凝視しないといいと思います。
テルシオ・デ・バンデリージャ/銛打ち
槍方が退場すると、今度はテルシオ・デ・バンデリージャ。色紙で飾られた銛(もり/banderilla)を両手に持った銛打ち(banderillero)の見せ場です。牛の注意をひきつけ、軽快に走り込んで2つの銛を同時に牛の背に打ち込みます。エル・フリやエル・ファンディのように自ら銛を打ち込む闘牛士もいます。
テルシオ・デ・ムレータ/マタドールの登場
そしていよいよ真打マタドールの登場。テルシオ・デ・ムレータと呼ばれる場面です(ムレータは闘牛士がこの場面で使う赤い布)。まずは主催者(presidente)に挨拶。それからモンテラと呼ばれる帽子をとり主催者や場内にいる身内などに渡しますが、これはその相手にこれから仕留める牛を捧げるという意味です。観客全員に捧げる場合、闘牛士は砂場の真ん中に出て観客に挨拶をした後に肩越しに帽子を放り投げます。この時帽子が逆さまに落ちると縁起が悪いと言われており、中には投げずに帽子をそっと置く闘牛士も。
闘牛士と牛の対決に与えられるのは15分。もちろん仕留める前にはムレータを使って牛を操り、華麗な技を披露。観客からは「オレ!」の掛け声があがります。牛と闘牛士、観客のすべてが一体となる鳥肌ものの瞬間です。
ついに最終場面!闘牛士の評価はいかに!
真実の時(la hora de la verdad)と呼ばれる最終場面に入る前に、闘牛士は刀を真剣に取り替えます。牛はただ殺せばいいのではなく、後頭部にある急所を一突きにしないといけません。観客は苦しむ牛を見るのを何よりも嫌がるので、何度も突かないといけないような場合、それまで拍手喝さいを浴びた闘牛士にもブーイングの嵐が飛びます。牛がなるべく苦しまずに死ぬことが求められるため、どうしても牛が息絶えない時に短い十字剣で延髄にとどめを刺すのは興醒めです。
牛が仕留められると、観客が白いハンカチを振ることが度々あります。これは観客がいい闘牛をした闘牛士に褒賞を与えるよう主催者に求めるサイン。いい闘牛とは華麗な技と仕留め方の両方が評価されないといけません。最終的には主催者の判断で、通常は仕留めた牛の耳1枚、非常にいい闘牛だった場合は耳2枚、それ以上に感動的な闘牛だと尻尾が授与されます。いくつ耳をもらったかが、闘牛士の実力をはかるポイントになります。闘牛を観に行く時は、ぜひ白いハンカチ(なければタオルでもナプキンでも・・・^^)を持って行きたいですね。
息絶えた牛は、数頭の馬に引きずられて退場します。観客がいい牛だったと認めた際には、場内を一周することも。引きずられる牛の遺体を見るのは心が痛みますが、健闘を称える拍手で送りたいものです。牛の仕留め方を重視したり退場する牛を拍手で送るところに、闘牛愛好者の牛に対する敬意が表れており、単なるなぶり殺しではないことを感じます。
そして闘牛士の退場です。褒賞をもらった闘牛士は退場前に場内を一周して観客に挨拶をします。贔屓の闘牛士に花束を投げるならこの時に^^
最後に
ざっとこれが闘牛の流れです。3人の闘牛士が2回ずつ、計6頭の牛が登場すると興業は終わり。闘牛士はすぐに闘牛場前に停めたバンに乗って助手たちと一緒に引き上げていくので、車を見つけたらそこで待つと闘牛を終えたばかりの闘牛士に会うことができます。闘牛士たちが来るまでの間、運転手が闘牛士のブロマイドを配ることもあるので記念にいかがでしょうか。
亡くなった牛のお肉は市場に出回るため、大きな闘牛場には解体場が設けられています。死んだばかりの牛が解体されるシーンを目にすることもありますが、私は苦手です。
簡単に話すつもりがつい長くなりました。たったこれだけの知識でも知っているのといないのでは大違い。この説明がこれから闘牛を観ようという方々の参考になることを願います。
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