クリムト生誕150周年に縁の地アッター湖畔を訪れて

今回はザルツカンマーグート地方で最大、オーストリアでは二番目に大きい湖アッター湖(Attersee)のご紹介です。

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アッター湖畔の風景

今年はユーゲントシュティルの画家グスタフ・クリムト(Gustaf Klimt)の生誕150周年を記念して、ウィーンで多くの特別展やイベントが開かれていますが、ウィーンから遠く離れたアッター湖もクリムトと特に関係の深い地域です。

1900年から1916年にかけて、クリムトは愛人エミリー・フレーゲ(Emilie Floege)と共に定期的にアッター湖畔にやってきては、ウィーンの喧騒を離れて静かな生活を送っていました。現在でも周りのヴォルフガング湖 (Wolfgangsee)やモント湖(Mondsee)に比べて、静かで観光客の少ないアッター湖ですが、当時はさらに人里離れたところだったのでしょ う。

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静かなアッター湖の眺め

女性の肖像画、装飾画を多く描いたことで知られるクリムト。230枚の作品のうち50枚が風景画で、そのほとんどがこのアッター湖畔で描かれたそうです。 仕事として請け負ったウィーンでの製作とは別に、アッター湖畔ではのんびりと趣味の絵描きを楽しんでいたのかもしれませんね。

最初はホテルやお城などがあるカンマー(Kammer)に宿泊していたクリムトたちですが、次第に更なる静けさを求めて毎年宿泊地を変えて行ったので、結 果的にアッター湖畔の至る所にクリムトにちなんだ場所があります。それらをまとめて2003年に「クリムトの道」(Klimt Themenweg)が整備され、湖畔を散歩しながらクリムトの世界に触れることができるようになりました。

その中でも、ウンターアッハ(Unterach)は、アッター湖の端っこの小さな町。クリムトはこの町が見える対岸の小さな村で夏を過ごし、町の絵も数枚残しました。実際は対岸から見るとかなり小さく見えるので、望遠鏡やボートを使ってデッサンしたそうです。

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ウンターアッハのクリムト像。背景の教会はクリムトの絵にも登場します。

そしてクリムト生誕150年の今年、湖畔の町カンマーにクリムト・センター(Klimt Zentrum)が完成しました。ちょうどオープン前日にも立ち寄ったのですが、翌日の準備でにぎわっていました。また、クリムトがいくつかの絵を残した カンマー城もすぐ側にあります。

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カンマーのクリムト・センター

アッター湖はクリムトだけではなく、作曲家のグスタフ・マーラー(Gustaf Mahler)も避暑にやってきて多くの作品を残したことで有名です。こんな一見のどかで静かな湖に、深い文化と歴史が隠されているんですね。

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こうやって今でもクリムトがアッター湖を眺めています。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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