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タイムマシンでちょっと昔の香港へ~美樂士多
「士多」とは、最近ではその数も激減していますが、香港に昔からある雑貨屋さんのこと。英語のStoreの発音に引っかけて出来た、いわゆる当て字ですね。コンビニの出現などの時代の流れで、こういう小さなお店が少なくなるのは香港に限ったことではありません。日本だって昔は駄菓子屋さんのようなお店、たくさんありましたものね。
現役で営業している士多に出会いたければ、古い街か団地内に足を運ぶのが一番。でもそれとは別に"再現"された士多というのもちょっと面白いものですよ。地下鉄荔枝角駅から歩いて5分強の工業ビルの中。香港では数年前から注目を浴びている場所ではありますが、知らないと通り過ぎてしまうかも。工業ビルならではの広い贅沢な敷地、入口の外からでも中の広さが伺えます。
ドアを開けると目に飛び込んできたのが懐かしい学校の椅子。運動会の組み立て体操のような組み方ですね。
広い店内は昔懐かしいをテーマにした雑貨が所狭しと並んでいます。
こちらは昔美容院で使われていた椅子ですね。美容院というよりは理髪店というほうがいいかもしれません。
そして奥にはまるで博物館のような美樂士多。もちろんわざと再現したものですが、現役の士多に比べて時が止まった感がより強い。
まだ携帯でゲームなどできない時代、こうやって外のゲームで遊んでいました。今ではゲームセンターという言葉すら希少かもしれません。
お店の人に尋ねたらここの飲み物は販売してるとのこと。せっかくだからこの雰囲気に浸りながら飲んでいくことにしましょう。
この果汁ゼロ感半端ない味、懐かしいですね。子供の頃に親戚の結婚式や、何かの集いの時とかって決まってこういうオレンジジュースだったような。今ではペットボトルが主流ですけど、本当は瓶のほうが地球に優しいんですよね。
昔の香港の家庭で使われていたような品々。もちろん展示のみで販売はしていません。
記憶に残る昔懐かしいお菓子たち。最後の缶のドロップは"蛍の墓"というタイトルで売られています。
こんな風に日本でもおなじみの商品も見られます。
また一角にはこんな昔の写真が飾られていました。こういう懐古アイテム、最近は流行なのかあちらこちらで目にする機会が増えました。でもあの時代って皆が今のように豊かではなく、実は大変な時代だったんですよね。何もなかったからこそ小さなことで楽しく過ごせた時代。こんな風に昔を懐かしむ風潮、もしかしたら今の時代の流れとスピードに疲れてきている表れなのかもしれません。
個人ではなく会社単位で経営されているという美樂士多。香港で生まれ育ったわけではないけれど、タイムマシンで昔に来たようなそんな気分になりました。でもこういう懐かしいアイテムを目にすると、今の時代いかに物が溢れすぎているかを実感します。香港の7-80年代、でも日本と同じような空気が流れる不思議なこの空間。場所は違えど、時代って何気なく色々なものを共有してるものなんですね。
美樂士多
長沙灣青山道 500 號百美工廠大廈 12 樓 C 室
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mangonaoko
- 香港人と結婚して数年、猫2匹と香港在住。現在“猫が暮らす香港”をテーマに 水彩イラストを中心に活動中。