イスラムの香りが漂う麗しきスペイン南部の都市グラナダ

見どころが満載のアンダルシア地方の中でも、押さえておきたいのがグラナダ。800年近くもイベリア半島を支配したイスラム勢力の最後の砦だったアルハンブラ宮殿がある町です。今回はグラナダの見どころや楽しみ方についてお話します。

イスラム最後の砦だった美しいアルハンブラ宮殿

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夏の離宮として使われていたヘネラリフェ

なんといっても見るべきなのが、世界遺産にも登録されているアルハンブラ宮殿。イベリア半島の大部分をキリスト教勢力が再征服した14世紀、グラナダ王国ナスル朝7代王ムハンマド5世の時代に完成しました。広い敷地の中には、貴族の住まいや市場、モスク、庭園、離宮がつくられ、特にナスル宮殿はイスラム芸術の贅を尽くした"芸術作品"でした。1492年にグラナダ王国が終焉を迎えグラナダはキリスト教勢力下になりましたが、あまりにも美しいアルハンブラ宮殿は取り壊されなかったのです。それでも時の流れとともに荒廃の一途をたどりましたが、19世紀にアメリカ人の作家ワシントン・アーヴィングが『アルハンブラ物語』を書いたことで世界の注目を浴びることになりました。

ナスル宮殿はアラビアンナイトの世界

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見学はナスル宮殿、ヘネラリフェの離宮、軍事要塞のアルカサバ、パルタル庭園、そしてスペイン王カルロス5世宮殿に分かれます。所要時間は少なくとも4時間はみておいてください。歩きやすい履物で行きましょう。

誰もがアルハンブラ宮殿の魅力にため息をつくのがナスル宮殿。アラビアンナイトの世界がここにあるのです。陶器タイルによるモザイクなど、細かい細工が施されたいくつもの部屋や、池や噴水のある中庭。もちろんかなり修復されているので、当時の様子がそのままというわけではありません。それでも、ナスル宮殿の中には外とは違う空気が流れ、訪れる人を魅了します。

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なお、入場制限があるので、見学にあたってはあらかじめ前売り券を買うことを強くオススメします。当日券は朝8時から販売されますが、午前中には売り切れてしまうことが多いそうです。

アルハンブラ宮殿の全景を見るならサン・ニコラス広場へ

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アルハンブラ宮殿から望むアルバイシン地区

アルハンブラ宮殿のある丘の向かいは、白い家が立ち並ぶアルバイシン地区。11世紀頃からあるグラナダで最も古い町並みが残っています。白壁の間を縫う道は細く、迷路のように入り組んでおり、とてもフォトジェニック。散策が楽しい一画です。サン・ニコラス広場はアルハンブラ宮殿の全景が望める展望台で、できれば昼と夜2回訪れたい場所です。まわりには同じように宮殿を眺めながら食事ができるレストランも何軒かあるので、ロマンティックディナーもいいですね。アルバイシン地区にはフラメンコを見せるタブラオも数軒かありますが、上演時間が遅いので送迎付きのツアーに参加すると安心。サン・ニコラス広場からの夜景見学が含まれているツアーもあります。

アラビアンエッセンス漂う街角

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エキゾチックなカルデレリア・ヌエバ通り

ほかの見どころとしては、大聖堂や王室礼拝堂、カルトゥハ修道院などが挙げられますが、それよりもオススメしたいのが町歩き。古い町並みをあてもなく歩くだけでわくわくします。イスラム時代に市場だったアルカイセリアは、今ではお土産屋さんがひしめく観光スポットになりましたが、アラビア風の物も多々売られているため、スペインのほかにはない雰囲気を醸し出しています。また、カルデレリア・ヌエバ通りもアラビアンな香りがする通りで、細い道の両脇にはお土産や雑貨を売るショップのほか、アラブ料理店やテテリア(アラブ茶屋)が並びます。テテリアでミントティーを飲むのは、私のグラナダでのお約束。ぜひお試しください。

バルのはしごはグラナダの醍醐味

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ヌエバ広場でにぎわうテラス席

また、グラナダはバルのはしごが楽しい町としてもよく知られています。多くのバルではワインやビール、清涼飲料水を1杯頼むとタパ(つまみ)が一品ついてくるので、なんだか得した気分。何軒かはしごすると、そこそこ胃が満たされます。スペインは夕食時間が遅いので、それよりも早い時間に軽く食べられるバルはありがたい存在。バルが多いのは、ヌエバ広場とナバス通りのあたりです。

メキシコの詩人フランシスコ・イカサに『グラナダで盲目でいることほど人生で悲しいことはない』と言わしめた麗しきグラナダ。ヨーロッパにありながら、エキゾチックなイスラムの香りが漂う町。ぜひお訪ねください。

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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