トルコ/イスラム教徒にとって大事な宗教行事 クルバンバイラム(犠牲祭)

クルバンバイラム(犠牲祭)は、イスラム教徒にとってとても大事な宗教行事です。
また、日本人にとってのお正月みたいなものでもあり、この時期は大型連休になるため、田舎や旅行に出る人も多くいます。
犠牲祭は、その名の通り、神へ供物を捧げる祭で、各家庭で牛や羊を屠ります。
イスラム陰暦に則り、毎年その日時は2週間程度ずつ早くなっていきますが、今年は9月1日に行われました。

田舎でのクルバンバイラムの様子

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麦穂を刈った平原が続く、中央アナトリアの都市カイセリから車で1時間半ほどの田舎です。
普段は、それぞれ違う場所に住んでいるのですが、今年は義家族が集まりクルバンを祝うことになりました。

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観光地ではなく、のどかなトルコの田舎です。

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田舎の家の庭。
屠る直前まで牛や羊は放牧されておりました。

都市部では、自分の家の庭や空き地などでは屠ることは禁止になり、行政が取り決めた場所で資格を持った人が屠るのが一般的になりました。

私が始めて来た20年くらい前は、それぞれアパートの庭で行われていたので、朝目を覚ましたら血の海にスプラッタ状態でそれは凄い光景でした。しかしそれは先進国の仲間入りを目指すトルコとしてはマズかろう、また子供に対しても良くなかろうということで、昨今はきちんとした指定場所ができました。

ですが、こうした田舎では、いまだに各自で屠っています。

屠られた肉

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今年は、牛を家族5組で分けました。
羊なら一頭を家族1組、牛なら家族5組程度で分けます。
家族1組あたり1400リラ(43000円程度)を払ったそうです。
羊なら、一頭700〜900リラ程度。

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義実家の場合は、大抵牛を屠るみたいで、これは好みなのかなんなのか?その辺はわかりませんが大きく切り分けた肉を部位ごとにこうした塊にして、それぞれに分けていきます。

我が家は、宗教行事を一切しないので、犠牲祭も断食祭もしないのですが、申し訳ないながらも肉は頂きます。
この辺は、みなさん結構寛容で、こうした肉も隣人や貧しい人に分け与えたりするのが徳と考えられています。

カヴルマ

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肉を炒めたものをカヴルマというのですが、これは古くからある保存肉です。
角切りにした肉を、鍋でじっくり炒めます。

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基本的にあまり水分は入れず、じっくりゆっくり焦がさないように炒めます。
脂も一緒に入れて炒めます。これが重要。

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2時間近くじっくり炒めると、柔らかくこうした色合いになりますが、脂もたっぷり入っているので冷えると、全体に白く固まります。
この脂が肉を包み保存の役目をすることから、冷蔵庫のない時代でも冷暗所に置けばひと月くらいなら保存できたのです。

スーパーなどでも売っていますが、やはり自分たちで作ったカヴルマは格別。
卵と炒めて朝食に食べたり、煮込み料理に使ったり、そのまま食べてもよし。

しばらくは、食べ飽きるほど肉料理が続きます

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家族1組に40〜50キロ近くの肉が入りますので、先ほどの保存肉にしたり、サラミにしたり、ひき肉にしたり、様々な料理になりますが、屠ったばかりはやはりこうした焼いた料理などが続きます。

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オーブンでソテーにしたり。シンプルですがこういうのが美味です。

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骨の多い部分も、じっくり煮込めば柔らかく美味しいです。塩味だけなのですが、これがまたたまりません。
この田舎は、標高が1500m以上のため夏も涼しく、年中薪ストーブがありますので、料理ものんびりこうして作ります。

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出来たばかりのカヴルマ。パンと一緒に昼食です。

宗教行事ということで、なんとなく仰々しいのかと思われますが、皆さんいたってのんびり賑やか。
こうして田舎でゆっくりと家族や親族と過ごす人もいれば、この時期バカンスに行く人も多くいます。
屠らない人は、その分どこかの恵まれない子供達の財団などに寄付します。

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河合亜希子

1998年よりトルコ・イスタンブール在住。トルコ雑貨のお店Anatolian Art店主。コラムやコーディネートも担当。

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