ガイドブックに載らないローマ。ツウならコッペデ地区散策で異世界体験を。

ローマ散策をよりディープなものにするなら、コッペデ地区に立ち寄っては。アール・デコなどの近代建築とバロック様式、中世、ルネッサンスなどが絡み合う不思議な空間を堪能できます。

※写真はイメージです。クリエイティブコモンズライセンスに基づき掲載しています。

参考:クリエイティブコモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)

はじめに:コッペデ地区とはどんなところ?

永遠の都、ローマ。そこは、コロッセオ、トレヴィの泉にボルケーゼ美術館、そしてバチカンのサンピエトロ大聖堂......と、誰もが憧れる超有名スポットが目白押し。

また、ハイブランドの店舗にお値打ちのイタリアンレザーショップ、お洒落なブティック、ちょっとしたお土産屋までが揃いショッピングにも事欠きません。さらに本場イタリア料理は舌がとろける美味しさで、ツーリストの胃袋をも掴んで離さない。まさに、ローマはツーリストにとって魅力的な要素が全て揃っているのです。

しかし、そんな魅力あるローマの街に、もう一段深みを加える穴場スポットがあるのをご存知でしょうか。

知る人ぞ知るツウ向けスポット、それがコッペデ地区なのです。

1920年代に作られた、不思議な居住区

コッペデ地区とは、そもそもどんな場所なのでしょう。ここはローマの中心部から少し離れたボルゲーゼ公園の北東に位置するエリア。1920年代に、高級官僚のための居住地として出来た地区です。

「コッペデ地区」という呼び名の由来は、ここにある建物がフィレンツェ出身の建築家、ジーノ・コッペデによって建てられたものだから。そして、彼の設計によるこの建物群こそが、コッペデ地区を訪れる最大の理由なのです。

装飾的で独特な、不思議世界へようこそ

Coppede
「Coppede」
Photo by Bruno
Taken on February 25, 2009
CC BY-SA 2.0

まずは、コッペデ地区の入口に構える物々しい建物のアーチを潜ってみましょう。この建物は"大使たちの館"と名付けられ、現在ロシア大使館として使われています。アーチの天井には変わった形のシャンデリアが吊り下がり独特の雰囲気を醸し出しています。

アーチを潜ると、そこはまるで不思議な絵本の世界に迷い込んだかのような奇妙なデザインの建物ばかり。そう、コッペデ地区とは、他に類を見ない独特な雰囲気の建物が集まった「おもしろ地区」だったのです。

オマージュも奇妙なデザインも取り込んだ、独特な建物たち

roma2010
「roma2010」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)

"大使たちの館"の装飾には女性と男性像が描かれ、男性は昼を、女性は夜を現していると言われています。女性の足元には夜の象徴としてフクロウも描かれています。正面にはダイナミックな人間の顔が。そしてフィレンツェ出身のコッペデ氏の拘りで、メディチ家のオマージュである紋章も取り入れています。

roma2010
「roma2010」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)

一際異彩を放つ建物は"妖精の館"と呼ばれる邸宅。まるでカラクリ屋敷やテーマパークのような奇妙な造りにツギハギ模様のデザイン。一度見たら忘れられない、怪しげな魅力にあふれた建物です。

tra virgolette
「tra virgolette」Photo by d(CC BY-SA 2.0)

こちらの建物も何だか変わっています。"蜘蛛の館"と呼ばれる理由は、エントランスに描かれた大きな蜘蛛の絵。不気味だけれど、つい惹きこまれてしまいます。

コッペデ地区には、モダンでユーモアあふれるモチーフがいっぱい

コッペデ地区の建物には、あちこちに面白いモチーフが見え隠れしています。動物や昆虫、タツノオトシゴまで、ユーモアのあるモダンなデザインが至る所に見つかります。

Dettaglio da lontano...
「Dettaglio da lontano...」Photo by Nephelim BadTusk(CC BY-SA 2.0)

roma2010
「roma2010」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)

ミンチョ広場の真ん中にあるのは"カエルの噴水"。
ローマ中心部にある"亀の噴水"のパロディとしてデザインされたのだとか。

アール・ヌーヴォー風のリアルな装飾も見どころ

roma2010
「roma2010」Photo by ho visto nina volare(CC BY-SA 2.0)

ヨーロッパ建築に興味のある方ならお気づきかもしれませんが、ここにある建物の装飾は、植物や人間、動物などを独特なタッチで描き19世紀末にヨーロッパで流行したアール・ヌーヴォー様式にそっくり。

ギョッとするようなリアルな人間の顔や、鳥、昆虫、動物などを使った奇妙な装飾は、強烈な印象を残します。

奇妙な建物ばかりが密集するコッペデ地区。アール・デコ、アール・ヌーヴォーに似ている部分は多いものの、ここにある建物は他では見たことの無い独自の奇抜なデザインばかり。

それもそのはず、中世、ルネッサンス、バロック、アール・ヌーヴォーなど、あらゆる様式を折衷してコッペデ氏が生み出した"コッペデ様式"とでも言うべき独自のスタイルだからです。

歴史あるローマの街並に突如現れる異空間。王道なローマ観光も良いけれど、ローマ通ならばコッペデ地区に足を運ぶべき。

きっと、今までにない異世界体験ができるでしょう。

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