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イタリアカフェの奥義【ナポリ編】-イタリア最高のエスプレッソにトライ!-
※サムネイル写真:Pixabay(CC0)
※2018年3月、加筆修正を行いました。
イタリア人にとって、カフェは生活から切り離せない存在。この記事では、ナポリで本場のエスプレッソを味わう秘訣をご紹介。エスプレッソ発祥の老舗とされるカフェ・ガンブリヌスや、ナポリならではのカフェ文化に触れつつ、南イタリアのカフェ事情を説明します。
※掲載写真はイメージです。クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC0,CC-BY,CC-BY-SA)に基づき掲載しています。
参考:クリエイティブ・コモンズ公式サイト(外部サイトに遷移します)
目次
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- エスプレッソの本場、ナポリのカフェ文化とは?
- エスプレッソの聖地ナポリで、本場の味わいを
- エスプレッソ発祥の老舗「カフェ・ガンブリヌス」
- ガンブリヌスでも行われているナポリならではの「素敵な習慣」とは?
- 立ち飲みバールでも愛される食品メーカー「カフェ・モレノ」
- バリスタの技術力は、ココに注目!
エスプレッソの本場、ナポリのカフェ文化とは?
イタリアの街に降り立てば、そこら中にカフェがありいつも常連客で賑わっています。街を散策するだけで、カフェがイタリア人の生活に深く根付いていることが分かるでしょう。朝の通勤時間ともなれば、あちらこちらから漂う香ばしい香り......。
イタリアに来たならば、このカフェ文化に触れてみない手はありません。Italyii編集部による別記事では、ローマの老舗、カフェ・グレコを中心に「カフェの楽しみ方」についてご紹介しましたが、地域によってその楽しみ方はより細分化されていきます
この記事では、南イタリアを代表する都市でありイタリア第3の規模を誇る、ナポリのカフェ文化についてご紹介しましょう。
エスプレッソの聖地ナポリで、本場の味わいを
写真はイメージです。(Photo from Pixabay CC0)
今回は、イタリアで最もスタンダートに飲まれているエスプレッソにトライしてみることにしましょう。イタリアにおける"エスプレッソの聖地"と言われているのがナポリです。
ナポリの街に足を踏み入れると小さな店から大きな店まであらゆるカフェが軒を連ね、同じくナポリ発祥のピッツェリアと肩を並べる数の多さに驚くことでしょう。観光客はもちろん、カフェで立ち飲みしている地元常連客の多さにも驚くはずです。
そして、決まって彼らが飲んでいるのがエスプレッソなのです。それもそのはず、ナポリのエスプレッソはおそらく世界最高水準。下町の何気ないカフェで出すエスプレッソでも、一定レベルを保っているのです。
理由はナポリの水質、そしてバリスタの技術の高さにあると言われています。さらに、ナポリはエスプレッソ発祥の地とされています。
エスプレッソ発祥の老舗「カフェ・ガンブリヌス」
参考イメージ:Flickrより引用
Photo by Armando Mancini[Napoli - Il Bar Gambrinus Su Piazza Trieste e Trento](CC-BYSA2.0)
そんなナポリの中でも、エスプレッソ発祥の老舗と言われているカフェ・ガンブリヌス(Gran Caffe Gambrunus)をご紹介しましょう。
カフェ・ガンブリヌスは1860年に創業し、第二次世界大戦の時期に一度閉鎖します。しかし、1970年代に再び起業家のミケーレ・セルジオ(Michele Sergio ナポリ 1916-1996)氏が運営を引き継いで復活。現在に至るまで地元の人々、観光客、著名人(※)が集うカフェとしてにぎわいを見せています。
※註:カフェ・ガンブリヌスに通ったとされる著名人はそうそうたるもの。かのオスカー・ワイルドやアーネスト・ヘミングウェイもこのカフェに集ったとされています。カフェはコーヒーを飲むためだけの場所ではなく、同好の士が集い、議論し、思索にふけるための施設として機能していたことがうかがえます。
まるでチョコレートのような、濃厚な味わいに感動
参考イメージ:Flickrより引用
Photo by Austin Keys[Espresso @ Gambrinus Dark, rich and chocolatey.](CC-BYSA2.0)
"悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い"。
ナポリでは、本物のエスプレッソはこのようにたとえられます。マシンから出た最初のスプーンひとすくいに拘り、濃厚で深い味わいのダークロースト。イタリアで飲まれるスタンダードな量より少なめに濃縮された抽出量に、砂糖平均1.5~2袋をたっぷり入れて一気にかき回します。
するとあら不思議、濃厚なビターチョコレートのような味わいに。チョコレート好きなナポリ人好みの、本場ナポリ流エスプレッソの出来上がりです。
ガンブリヌスでも行われているナポリならではの「素敵な習慣」とは?
また、ガンブリヌスでは、ナポリならではの古い習慣が今なお残っています。それは、「カフェ・ソスペーゾ(Caffe Sospeso 保留コーヒー)」。余裕のある人がエスプレッソ2杯分の代金を支払い、一杯分は貧しい人のためにプールしておいてもらう習慣です。
普段エスプレッソを飲みたくても飲めない人が、この習慣のおかげで一杯のエスプレッソを飲むことができるのです。カフェ・ソスペーゾは一時途絶えていましたが、近年ガンブリヌスで復活しました(※)。困った人を見たら放っておけないナポリ人気質の表れた素敵な習慣です。
※註:「カフェ・ソスペーゾ」の習慣は、近年イタリア国外でも注目を集めています。ご興味のある方は、この運動について紹介するサイト(イタリア語)もご覧になってはいかがでしょうか。
参考サイト:http://www.retedelcaffesospeso.com/
カフェ・ガンブリヌス基本情報
名前:カフェ・ガンブリヌス(Gran Caffe Gambrunus)
住所:via chiaia n. 1 - piazza trieste e trento n. 42- 80121 napoli
公式サイト:http://grancaffegambrinus.com/
立ち飲みバールでも愛される食品メーカー「カフェ・モレノ」
続いて、ナポリのエスプレッソメーカー「カフェ・モレノ」についてもご紹介しましょう。カフェ・モレノの製品は、ナポリ定番の立ち飲みバール式カフェでもよく見かけられる有名メーカー。
ナポリ人はしょっちゅうエスプレッソを飲んでいます。通勤前、仕事の合間、おやつ時、午後の休憩、仕事帰り、食事の前後......彼らにとってエスプレッソは生活の一部。それゆえ、あまり長居はしません。 カウンターでくいっと一杯ひっかけ、馴染の店員や常連同士短いお喋りを交わしてすぐに出ていきます。モレノの製品が使われるバールでは、そんな日常の風景を見ることができます。
カフェ・モレノの公式サイトによれば、街のバール式カフェだけでなく、なんとカフェ・ガンブリヌスが用いるコーヒー豆もカフェ・モレノによるブレンド。業務用だけではなく家庭で楽しめるミニパックも販売していますので、見かけたときはお土産に一つ、いかがでしょうか?
Photo by jimmyweee[Welcome to the Cafe California Such a lovely place.](CC-BY2.0)
※註:写真右上の楕円形の看板がカフェ・モレノです。こちらのバール「Cafe California」では、「カフェ・モレノ」ブランドの製品を用いていることが分かります。
カフェ・モレノ基本情報
名前:カフェ・モレノ(Caffe Moreno)
公式サイト:http://www.caffemoreno.it/
バリスタの技術力は、ココに注目!
Photo by Ananda La Vita[Industrial Espresso Maker](Public Domain)
最後に、ナポリで「良いカフェ」を見つけるためのポイントをご説明しましょう。 良いカフェの条件は、「店内がきれいなこと」、「エスプレッソマシンが清潔に手入れされていること」、そして「バリスタやレジの人数が過不足なくいること」です。
現在、イタリア全土のカフェでは常に最新型のボタン式エスプレッソマシンが導入されているにも関わらず、ナポリでは今も旧型のレバー式マシンが多く使われています。レバー式を扱うには熟練した技術が必要となるため、いかにナポリのバリスタの水準が高いかということを物語っています。
つまり、今回ご紹介したガンブリヌスやモレノだけではなく、清潔な店内でバリスタがレバー式マシンを丁寧に扱っているカフェであれば、訪ねてみる価値はあると言えます。
Photo by Justin Ennis[Mmmmm Espresso](CC-BY2.0)
ナポリのエスプレッソを味わうと、その奥深さに魅了されてしまうこと間違いありません。本場ならではの習慣や人間模様を垣間見られるのも魅力です。
ナポリに行ったらぜひ、地元民に交じってカウンターで本格エスプレッソの立ち飲みにトライしてみてはいかがでしょう?
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