アート・建築好き必見!ナポリ地下鉄・現代アート巡り~観光にも便利で美しい駅厳選6選~

ナポリ中心地には複数の地下鉄が通っており、特に1号線は世界有数の芸術家や建築家によってデザインされたアートな地下鉄になっています。駅ごとにデザインやテーマが異なり、ベンチから壁~天井にいたるまでアートが溢れています。

この記事では、各駅の作品やデザインのポイントと、切符売り場や最寄りの観光名所などをご紹介します。

地下鉄巡りの出発地におすすめ!ナポリ・ピアッツァ・ガリバルディ駅

Italyii-metro-art-01.jpg正式駅名:ナポリ・ピアッツァ・ガリバルディ駅(Stazione di Napoli Piazza Garibaldi)

ナポリ中央駅と直結しており、地下鉄1号線の始発駅でもある大きくモダンなガリバルディ駅。地下構内はショッピングモールのようになっており、お店やカフェも充実しています。

切符売り場や地下鉄アートのインフォメーションもこの駅構内にあるので、アート巡りを始めるならガリバルディ駅からがおすすめです。

駅の設計は、建築家で都市プランナーでもあるフランス人ドミニク・ペロー(Dominique Perrault)氏によるもの。シンプルで都会的なデザインになっています。

駅は"庭園"をイメージしたオープンスペースになっており、長いエスカレーターを降りて地下のプラットホームへ行くようになっています。そのためガリバルディ駅は広場のようになっており、ゆっくり休憩できるスペースとしてカフェやバールが置かれています。

Italyii-metro-art-02.jpgプラットホームへは、長く交差するいくつものエスカレーターを降りて行きます。天井からの自然光が約40メートルの地下まで届くように設計されています。(エレベーターも有ります)

ガリバルディ駅最寄りの観光地

ガリバルディ駅近辺は、中央駅やバス・タクシー乗り場など交通の要となっています。観光名所は少ないですが、美味しいピッツェリアやトラットリアなどがたくさん。ナポリピッツァで有名な老舗「ダ・ミケーレ (L'antica Pizzeria da Michele)」も徒歩で行けます。

駅全体が美術館のようなウニヴェルシタ駅(Stazione Universita')

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ショッキングピンクやイエローなどポップな色彩とアートに溢れたウニヴェルシタ駅。駅のデザインは、建築家でありデザイナーでもあるエジプト出身のカリム・ラシッド(Karim Rashid)によるもの。

改札口には"人間の知性・シナプス"を表したライトボックスに照らされたカラフルな図形と鋼製の彫刻が置かれています。

Italyii-metro-art-04.jpgその他にも、ダンテの肖像画が描かれた階段や、ピンクとブルーの幾何学模様の天井が現れるなど、見所がたくさん。駅中が色彩とアートで包まれた美術館のようです。

ちなみに、駅のすぐ近くにヨーロッパで最も古い「フェデリコ2世・ナポリ大学」があることから、ウニヴェルシタ(=大学)駅と名付けられています。こんな駅なら、通学するのも楽しくなりそうですね。

最寄りの観光地

歴史あるフェデリコ2世大学や、イスキア・プロチダ島行きのフェリーが出ているマッサ港(Porta di Massa)

建設の過程で歴史発掘?ムニチ―ピオ駅(Municipio)

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白が基調なミニマルなデザインのムニチ―ピオ駅は、ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザ(Alvalo Siza)氏と、同じくポルトガル出身の建築家エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ(Eduardo Souto de Moura)氏によるもの。

ムニチ―ピオ駅の設立には、港町であるナポリらしいストーリーがあります。

地下鉄建設のため地下を掘り下げていくと、古い船の跡などが発掘され、現在駅がある場所はかつて海の一部で、小さな港があったことが判明。さらに、港があった場所には、現在のムニチ―ピオ駅の近くにあるヌオーヴォ城(Castel Nuovo)が建てられていたことも分かったそうです。

そのため、工事の過程で、ヌオーヴォ城の時代の遺跡と港があった時代の遺跡など、時代の異なる遺跡が発掘されました。

なにげなく通り過ぎてしまいがちな駅も、かつての歴史を知るとより興味深く見えてきます。

最寄りの観光地

ナポリの市民広場プレビシート広場や王宮、サン・カルロ劇場や、ナポリ湾とヴェスヴィオ山を見渡せるサンタルチアのエリアまでも徒歩圏内。カプリ島やイスキア島・ソレントなどへのフェリーが運航するベヴェレッロ港(Porto di Molo Beverello)。

"世界で最も美しい地下鉄駅"トレド駅(Toledo)

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世界で最も美しい地下鉄駅と言われる、トレド駅。

深海を思わせる美しいブルーの駅は、スペインの建築家オスカル・トゥスケッツ(オスカー・タスケッツブランカ、Oscar Tusquets Blanca)氏によるもの。一番有名な円錐形の空間が開けられたエスカレーターの天井は、青や白のタイルや144個のLEDによって幻想的に演出されています。

長いエレベーターに乗り、波のモチーフが飾られた壁や海面の光の反射を思わせる光の演出をみていると、まるで海底から海面へと上昇していくようです。

Italyii-metro-art-07.jpg出口付近にあるモザイク画は「ナポリ市の中央鉄道」と名付けられた、南アフリカ出身の美術家ウィリアム・ケントリッジ(William Kentridge)氏による作品。タイトルが示すように、ナポリの町を背景に、ナポリの守護聖人サンジェンナーロに続いて行く人々が描かれています。

また、駅建設中に発掘されたスペイン統治時代の町を囲む壁の一部も残されており、こちらも見逃せません。地上に上がると、静かなブルーの雰囲気から一転、賑やかなショッピング街のあるトレド通りになっています。ストリートフードやジェラートなどのお店が並んでおり、食べ歩きも楽しめます。

最寄りの観光地

トレド通り、プレビシート広場、王宮、サン・カルロ劇場など。

ダンテ駅(Stazione Dante)

Italyii-metro-art-08.jpgイタリアの建築家・デザイナーのガエ・アウレンティ(Gae Aulenti)氏によって設計されたこの駅は、ダンテの銅像が立つダンテ広場のすぐ下に位置しています。壁や天井が透明のアクリル板やガラスに覆われた近代的な駅の中に、複数の作家の作品が展示されています。

写真はコンセプチュアルアートの父と称される、アメリカの美術家ジョセフ・コスース(Joseph Kosuth)氏によるネオン管アート作品。ダンテ駅であることから、イタリアの詩人・ダンテの"饗宴(Il Convivio)"からの引用したテキストが光を放っています。

Italyii-metro-art-09.jpgこちらは、旅をテーマにしたギリシャ出身のヤニス・クネリス(Jannis Kounellis)氏の作品。使い古された男性や女性の靴が壁面に固定されています。

最寄りの観光地

ナポリの下町スパッカ・ナポリや、ジェズ・ヌオーヴォ広場、またナポリ大聖堂までは徒歩約15~20分

ムゼオ駅(Stazione Museo)

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ムゼオ(=博物館)駅は名前の通り、駅を出るとすぐに国立考古学博物館が見えています。こちらの設計も、イタリアの建築家ガエ・アウレンティによるもの。彼女はパリのオルセー美術館やポンピドゥー・センターなども担当した、世界的な建築家です。

駅の出口には、古代彫刻「カラーファ家の馬の頭部」のレプリカが飾られているのもムゼオ駅ならでは。駅構内には、ナポリ出身の写真家ミンモ・ヨディーチェ(Mimmo Jodice)によるモノクロの写真作品も展示されており、博物館の一部のような空間になっています。

最寄りの観光地

国立考古学博物館、ナポリの地下都市が見学できるMuseo del Sottosuoloも徒歩圏内

切符の種類と金額について

アート見学はもちろん、観光への移動にも便利な地下鉄1号線。切符は、ガリバルディ駅構内の切符売り場、またはナポリ中央駅のインフォメーション横のタバッキ(※)で購入可能です。

※タバッキは、日本のコンビニのようなもの。ドリンクやお菓子、新聞や切符などが売られていて便利です。町中のタバッキでも切符は購入できますが、欲しい種類が売切れだったり、小銭しか使えなかったりすることもあるので、ナポリ中央駅もしくはガリバルディ駅での購入が安心です。

切符を買うときは「anm」社が発行する「URBANO NAPOLI」という乗り放題の種類もある切符が便利!1日券を購入すれば、各駅の観光スポットへも格段に移動しやすくなります。

・1回券(BIGLIETTO CORSA SINGOLA):1ユーロ
・90分券(BIGLIETTO ORARIO):1.5ユーロ
・1日券(BIGLIETTO GIORNALIERO):3.5ユーロ(打刻した時間に関わらず、切符を購入した日の24時まで有効)

アートや建築好きでなくても楽しめる要素が満載の地下鉄1号線。ナポリ観光の際は、気になる駅に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


写真・文:la luce

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