世界一の生産量を誇るスペインでオリーブを楽しむ

オリーブの木

イタリア料理と一緒に世界に広まったといわれるオリーブオイル。実は、スペインが世界一の生産量を誇り、世界で生産される約半分がスペイン産です。その輸出先No.1がイタリアというのが面白いですね。今回は、スペイン旅行でぜひ触れたいオリーブのお話です。

目次

文化的景観としてユネスコの世界遺産入りを果たすか?

スペインの中でももっとも生産量が多いのがアンダルシア。特にハエン県で、県内では6,000万本を超えるオリーブの木が栽培されているそうです。ハエン県を車で巡ると、あたり一面のオリーブ畑に圧倒されます。起伏のある土地が見渡す限りオリーブで埋め尽くされており、その中を走るとまるで波打つオリーブの海の中を泳いでいるような錯覚に襲われるのです。

この独特かつ圧巻な景色を文化的景観としてユネスコの世界遺産にしようと動きがあり、昨秋候補リストに入るまでに至りました。これには、ハエン県以外に、コルドバ県、マラガ県、グラナダ県、カディス県、セビージャ県が含まれています。晴れて世界遺産として登録された暁には、"オレオ・ツーリズム"がますます盛んになることでしょう。

オリーブ畑

オレオ・ツーリズムという新しい観光のかたち

オレオ・ツーリズム(スペイン語:Oleoturismo/オレオトゥリスモ)とは、産地にあるオリーブ農園を訪ね、畑や搾油所の見学やオリーブオイルのテイスティングを楽しむ新しい形の観光形態です。いわゆるワイン・ツーリズムのオリーブオイル版ですね。

オリーブオイルが生まれた土地で、自然を感じ、生産者と触れあい、またオリーブオイルを使ったガストロノミーを楽しむ。オリーブ博物館のある土地では、さらに知識を深めることもできるでしょう。このオレオ・ツーリズムを手掛ける生産者や自治体等の団体がこのところ増え続けています。スペイン旅行の選択肢のひとつとして楽しみたいものですね。


オレオ ツーリズム オリーブ畑
<自然に敬意を払った栽培についてビジターに説明するNobleza del Sur社のロラ社長>

オレオ ツーリズム  セミナールーム
<Melgarejoの搾油所に併設されたビジター向けにセミナーやテイスティングを開く部屋>

オリーブオイルを買うポイントは?

さて、スペインのお土産にオリーブオイルを買って帰る方も多いと思いますので、良質のオイルを選ぶポイントをいくつかご紹介します。

本来、遮光瓶といって光を通さない容器に入っているものが品質上もっともおすすめ。というのも、オリーブオイルの3大天敵は光、温度、空気なのです。

透明のボトルであれば、箱に入ったものがベスト。ただ、ガラス瓶は重たい上にスーツケース内での破損が心配ですよね。すぐに使い切ってしまうミニボトルであれば、プラスティック容器や透明でもOK。ただ、外の光を思い切り受けるウィンドーに陳列されているものは避けたいですね。遮光瓶ほど保管には適していませんが缶入りもあり、これは持ち運びに便利です。

オリーブオイルコレクション
<わが家のオリーブオイルコレクションの一部>

次に注意したい点は、オリーブオイルはワインと違い鮮度が命であること。直近の収穫年であるかどうかを確認して買うべきです。2017年の夏に買うのであれば、2016年の秋に収穫されたものになります。但し、収穫年の表記は義務ではないため記されていないことが多々あります。その時は、賞味期限から逆算してみましょう。賞味期限は、だいたいボトリングから1年半~2年になっています。

オリーブオイルにはフィルターにかけられ透明度のあるものと、ノンフィルターで濁ったものがあります。後者の場合は、前者に比べて健康にいい成分が含まれている代わりに不純物も多く、傷みが早いことが特徴です。秋に収穫されたことを考えると、翌年の春までには使い切ってしまうことがおいしくいただくポイントになります。

スペインの食卓に欠かせないテーブルオリーブ

オリーブはオイルだけではありませんね。テーブルオリーブとして果実をオイル漬けや塩漬けにしたものも、スペインの食卓には欠かせない食べ物です。バルのお通しとして出てくることも。缶入りでも売っていますが、市場や大きなスーパーに行くと、量り売りで何種類ものテーブルオリーブがありおすすめです。真空パックにしてくれるお店もありますので、日本に持ち帰ることもできます。お土産にいかがでしょうか。

スペインにお越しの際は、何千年も続くスペインのオリーブ文化に触れてみてくださいね。

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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