ペルー/マチュピチュに似てる!?オリャンタイタンボ遺跡

古都クスコの北側を流れるウルバンバ川。
その清らかな流れを抱くウルバンバ渓谷は、クスコより標高が低いため気候も温暖。
肥沃な土地は、インカの儀式に欠かせないチチャ酒やサンク(儀式用の特別なパン)の原料となるトウモロコシの産地でした。
ウルバンバ渓谷にはインカの宗教施設が数多く残されており、「Valle Sagrado de Los Incas(インカの聖なる谷)」と呼ばれています。
この一帯で、農地としてだけでなく、帝国の拡大戦略においても重要視されていたのが、ウルバンバ川とパタカンチャ川の合流地点、現在の「Ollantaytambo(オリャンタイタンボ)」村がある場所でした。
この地を征服したインカ第9代皇帝パチャクティは村を開き、集落を見下ろす山の一角に帝国防衛の要となる砦や宗教施設を造らせます。
その施設こそが「Parque Arqueológico de Ollantaytambo(オリャンタイタンボ遺跡)」です。
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クスコから車で1時間45分。
21世紀のオリャンタイタンボ村の広場には、レストランやカフェ、お土産屋さんが並んでいます。
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広場と遺跡を結ぶ、「Calle Principal(メインストリート)」という名の小道にて。
この道を抜けた先に、オリャンタイタンボ遺跡があります。
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小高い丘の上に建つオリャンタイタンボ遺跡。
遺跡へ辿り着くには、見事なアンデネス(段々畑)の脇にある300もの石段を登らねばなりません。
クスコより低いとはいえ、その標高はおよそ2790m。
高地に慣れていない外国人にはちょっと大変ですが、休みながらゆっくり登ってくださいね。
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10の壁龕(ニッチ)を持つ、「Templo de las 10 Ventanas(10の窓の神殿)」。
この石壁とそれに続く石門の造りは特に丁寧で、石と石の間はまさに剃刀の刃一枚通さぬほどぴったり合わさっています。
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「Templo del Sol(太陽神殿)」の一部だったとされる6つの巨石。
ただ大きな石を並べるだけでなく、その間に薄い石をはめ込むという手の込みようです。
石の表面にはインカの世界観を表すとされるチャカナ(インカクロス)に似た、四角い階段状の模様が浮き彫りされています。
それにしてもよくこれだけ大きな石を谷底から運んできたものだと、インカの石造建築への情熱と執念には心から感服します。
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谷を挟んだ向かいの山には、食物倉庫だったという「Pincuylluna(ピンクイリュナ)」があります。
人の顔をした岩も!まるでインカ皇帝が不埒な敵を睨み付けているかのようですね。
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こうしてオリャンタイタンボ遺跡を見下ろすと、何かに似ていると思いませんか?
そう、あのマチュピチュ遺跡です!
マチュピチュ遺跡も一段高い場所に「主神殿」や「3つの窓の神殿」が置かれ、谷へ続く斜面にはアンデネスが配されています。
オリャンタイタンボ同様、マチュピチュ遺跡もパチャクティがその土地を征服した記念に造らせたと考えられており、共にインカ建築の特徴がよくわかります。
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遺跡前の広場は、観光バス等が停車する駐車場兼お土産広場になっています。
カフェもあるので、階段の上り下りに疲れた方は、ここで一服されてはいかがでしょうか?
最後に、「Ollantaytambo」という名前について。
オリャンタイタンボとは、ケチュア語で「オリャンタイの宿場」という意味です。
ペルー輸出・観光振興庁(PromPerú)の観光サイトには、
「...言い伝えによると、その名はインカ皇帝パチャクティの娘と恋に落ち、厳しく罰せられた"オリャンタ"というカシケ(首長)に由来する」とありました。
パチャクティ皇帝がこの村を造った人物であるならば、娘をかどわかした男の名を地名にするわけがないと疑ってしまうのですが、皆さまはどう思われますか?
19世紀には、インカの将軍オリャンタイとインカ皇帝の娘の悲恋を描いた「Ollantay(オリャンタイ)」という戯曲も演じられており、どうもインカの末裔たちは、オリャンタイという人物に相当親しみを抱いているようです。
一方、この地はもともとオリャンタイタンボという名前ではなかったという説もあり、後世になって創られたさまざまな伝説が定着した結果、今の地名になったとも考えられます。
考古学的事実と民間伝承は往々にして食い違うもの。
いろんな方向から情報を集めてみるのも、面白いですね。
★Ollantaytambo/オリャンタイタンボ遺跡★
住所:Distrito de Ollantaytambo, Provincia de Urubamba, Departamento del Cusco
見学時間:7:00~17:00(無休)
遺跡見学にはクスコ観光チケット(Boleto Turístico del Cusco)の一般入場券(Boleto General:S/130)、もしくは周遊コースⅢ-聖なる谷入場券(Circuito III-Valle Sagrado:S/70)が必要。

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原田慶子

ペルー・リマ在住ライター。ペルーの観光情報からエコやグルメの話題などを幅広く執筆。ペルーに関する情報誌等の取材協力。

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