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ドイツ・サンスーシ宮殿(フリードリヒ2世 夏の離宮)
「無憂宮」 サンスーシ宮殿 プロイセン王フリードリヒ2世 夏の離宮
cGNTB / Dirk Topel Kommunikation GmbH
第二次世界大戦終焉の地、ドイツ・ポツダム。この街には18~20世紀の建築物が点在し、近代ドイツの歴史を彩った建造物の数々が世界遺産に登録されています。これらの建築物の代表作である世界遺産「サンスーシ宮殿」は、18世紀に小国のプロイセン王国を列強国に育て上げたフリードリヒ2世がわずか2年で完成させた宮殿です。彼は、軍事的才能のほか、産業や学問を奨励した偉大なる王として知られています。
<目次>
見どころは壮大な宮殿!なんと東京ドーム○○個分?!
この宮殿でまず目を引くのは、宮殿を取り囲む庭園で、広さは約290万㎡、東京ドーム約62個分!園内には中国趣味を取り入れた茶館や、ロココ様式の新宮殿があり、宮殿が最も美しく見える噴水の前ではブドウの新緑が生い茂り、心地よい水しぶきが上がります。そして、敷地の中でもう一つ目を引くのが宮殿前に6段に連なるテラス。庭から宮殿に向かう階段の両側には整然とブドウとイジジクが植えられ、噴水越しに見る宮殿を美しく引き立てています。
cGNTB / Handrick, Roland
宮殿自体は小規模でシンプルなのに、音楽室だけが豪華な理由
ドイツ・ロココ様式の代表作といわれるサンスーシ宮殿ですが、意外にも東西の全長が100m、部屋数12、平家建ての小規模なものです(ヴェルサイユ宮殿は部屋数700)。中心となる王の執務室ですら、寝室兼用となっており質素なものです。外装も装飾面は比較的少なく、屋根は青、壁はクリーム色、その他の部分は白と3色のみの塗装で極めてシンプルな様相を呈しています。ただしフリードリヒ2世は、音楽室だけは〝不釣り合いなほど〟豪華な装飾を施しました。「軍隊王」と言われた厳格な父と宮廷人で芸術を愛する母から正反対の教育を受け、彼に大きな影響を与えました。合理的な国家経営者の顔と芸術家としての顔、この宮殿の正反対な作りはそんな彼の異なる顔を象徴するもの。目の行き届く小ぶりな宮殿は彼の何よりのお気に入りになり、夏の離宮として建設された宮殿は居城になっていきました。
cGNTB / Scherf, Dietmar
サンスーシの意味
彼が名付けた「サンスーシ」とはフランス語で「憂いなし」の意。優れた軍略家・政治家でありながら、芸術・学問を愛するなど多彩な側面を併せ持ち、今なお人々の関心を引きつけてやまないフリードリヒ2世。隅々まで彼の人物像を反映させたこの宮殿には、常に最前線で死闘を繰り返し、政務に追われる憂鬱な気分を吹き払いたいという願望が込められたものなのです。
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