なぜアメリカは「旧正月」でこんなに盛り上がるの?多文化が交差する南カリフォルニアの2月

毎月、何かしらイベントごとのあるアメリカ。そんなアメリカの2月、特に南カリフォルニアの2月は大きな熱気に包まれます。それはなぜかというと、アジアの伝統とアメリカの多様性が融合した「ルナ・ニューイヤー(旧正月)」だからです。

街を歩けば、ヤシの木の間に真っ赤な提灯が揺れ、ショッピングモールには巨大な龍のオブジェが登場する。今回は、日本人にとっては少し不思議な「2度目のお正月」の正体と、この時期だけの特別な楽しみ方をご紹介します。

「ルナ・ニューイヤー(旧正月)ドラゴン
<Photo: Scribbling Geek / unsplash>

目次

日本人が感じる「2回目のお正月」への戸惑いと発見

まず、私たち日本人にとって「旧正月」は、少し距離のある存在ではないでしょうか。中国、韓国、台湾、ベトナムなど、アジアの多くの国々にとって旧正月は一年で最も重要な祝祭ですが、日本は明治維新以降、新暦(グレゴリオ暦)を導入したことで、旧正月を祝う習慣が全国的にはほとんどなくなりました。

ルナ・ニューイヤー(旧正月)提灯
<Photo: Bady Abbas / unsplash>

私自身、日本にいた頃に旧正月を意識したことがなかったので、渡米したばかりの頃は、2月にくるこのお祭り騒ぎにとても驚かされました。しかも、周りにいるアジア人のお友達は、1月のニューイヤー以上に重要視しているものですから、その温度差に戸惑いすら感じたものです。

しかし、こちらで暮らしていくうちに、その認識は変わりました。アメリカにおいて旧正月を祝うことは、単なる「移民の行事」ではなく、この土地に根付いた多文化共生のアイデンティティを祝福する大切な儀式なのだと気づかされたのです。

なぜ「Chinese」ではなく「Lunar New Year」と呼ぶのか

以前は、ここアメリカでも、この旧正月は「Chinese New Year(チャイニーズニューイヤー)」と呼ばれていたと思います。ところがここ最近、特にリベラルなカリフォルニアでは、「チャイニーズニューイヤー」という言葉よりも「Lunar New Year(ルナ・ニューイヤー)」という呼称が一般的になっています。

これには、多様性を重んじるアメリカらしい理由があります。旧正月を祝うのは中国系の人々だけではありません。韓国の「Seollal(ソルラル)」、ベトナムの「Tet(テト)」など、それぞれの文化圏に固有の伝統や呼び名があるのだそうです。それらを包括的に、かつ敬意を持って扱うために「ルナ(月暦の)」という言葉が使われているのです。

2023年には、カリフォルニア州の公的な休日としても制定されたのだそうです。人種を問わず「ハッピー・ルナ・ニューイヤー!」と挨拶し合う光景は、まさに人種のるつぼである南カリフォルニアを象徴する2月の風景です。

レストランでの「福」のお裾分け:紅包(Red Envelope)の楽しみ

旅行でこの時期カリフォルニアに来たら、ぜひ体験していただきたいのが、アジア系のレストラン巡りです。アメリカに来たならアメリカ料理食べるぞ!そう考える方も多いはず。

でもカリフォルニアでは、世界中の料理が本場さながら、むしろそれ以上のクオリティーで味わえるんです。だからぜひ、この機会にアジア系のレストランにも足を運んでみるのがおすすめ。

ルナ・ニューイヤー(旧正月)福の装飾
<Photo: Jason Leung / unsplash>

単に装飾が華やかなだけでなく、実際に「福」を感じられるサービスが目白押しなのが、このルナ・ニューイヤーの時期のレストランなのです。

1. 赤い封筒「紅包(ホンバオ)」のサプライズ

中国圏のお年玉袋である「紅包」。この時期、LAやOCの人気レストラン(例えば世界的に有名な小籠包チェーン「ディンタイフォン」や、ミシュラン獲得の中華「ビストロ・ナズ」など)で食事をすると、お会計の際にこの赤や金の封筒が手渡されることがあります。

中には、次回来店時に使えるクーポンや、その場でデザートが無料になるギフト、時にはコイン型のチョコレートが入っていることも。大人になっても、この赤い封筒をもらう瞬間はワクワクするものです。

ディンタイフォン(Din Tai Fung / 鼎泰豐)

  • 所在地:1547 Disneyland Dr, Anaheim, CA 92802
  • 電話:(714) 202-7598
  • 営業時間:10:30〜:22:00、金曜 10:30〜23:00、土曜 9:30〜23:00、日曜 9:30〜22:00
  • 公式サイト:Din Tai Fung / 鼎泰豐 

Bistro Na's(ビストロ・ナズ)

ルナ・ニューイヤー(旧正月) 小籠包
<Photo: Victor Mui / unsplash>

Bistro Na's(ビストロ・ナズ)

  • 所在地:9055 Las Tunas Dr, Ste 105, Temple City, CA 91780
  • 電話:(626) 286-1999
  • 営業時間:11:00〜14:30 / 17:00〜21:00
  • 公式サイト:Bistro Na's

2. 縁起を担ぐ「特別メニュー」の深掘り

レストランによっては、この時期限定の「幸運を呼ぶ」料理が並びます。

ルナ・ニューイヤー(旧正月)長寿麺
<Photo: Tommao Wang / unsplash>

長寿麺(Longevity Noodles): 途中で切らずに食べることで長寿を願う、非常に長い麺料理。

餃子(Dumplings): 形が昔の中国の貨幣に似ていることから、金運アップを願って食べられます。

魚料理(Fish): 中国語で「魚(ユィ)」は「余(余りがある=豊か)」と同じ発音であるため、豊作と富の象徴とされています。

料理の背景にあるストーリーを知ると、一食の重みが変わりますよね。意味を理解しながら食すことで、お腹も心も満たされ、さらなる福を呼び込めそうな気がしてくるから不思議です。

ビバリーヒルズやウエスト・ハリウッドの洗練されたアジアンフュージョンレストランでは、これらの伝統料理をモダンにアレンジしたコースが登場したり、店内では獅子舞(Lion Dance)のパフォーマンスがテーブルの間を縫うように披露されることもあります。

2026年・午年(うまどし)のエネルギーを感じるスポット

2026年の干支は「丙午(ひのえうま)」。活気に満ちたこの年を祝う、南カリフォルニアのおすすめイベントを厳選しました。毎月同時期に開催されるイベントなので、ぜひご参考に。

LAチャイナタウン|第127回ゴールデン・ドラゴン・パレード

全米で最も古い歴史を持つパレードの一つ。ハリウッド映画のセットのようなチャイナタウンを、巨大な龍が練り歩く姿は、まさに映画の街LAならではの迫力です。

LAチャイナタウン

リトル・サイゴン(OC)|テト・フェスティバル

オレンジカウンティーに住む私の一押しは、ウエストミンスター周辺で開催されるベトナム正月「テト」のお祭り。ここはベトナム国外で最大のベトナム人コミュニティがあり、その熱気は本国さながら。黄色い梅の花が飾られ、ストリートフードの屋台からは香ばしい香りが漂います。

リトル・サイゴン

ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー

ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー 旧正月 ドラゴン
<Photo: Henry Lai / unsplash>

「ディズニー・ルナ・ニューイヤー」は、もはやこの時期の定番。ミッキーやミニーも中国の伝統衣装を身にまとい、アジア各国のグルメが楽しめるフードマーケットが登場します。お子様連れの旅行者には特におすすめです。

ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー

文化背景を知ることで深まる旅

1月のお正月が「静」だとすれば、2月のルナ・ニューイヤーは、爆竹の音と赤い色彩に彩られた「動」のお正月です。

日本とは違う文化背景を知ることで、南カリフォルニアの旅はもっと深く、面白いものになります。もし2月のこの時期にこちらを訪れるなら、ぜひレストランで「赤い封筒」を手に取り、人々の活気に混ざって旧正月を祝福してみてください。

それでは、Happy Lunar New Year!皆さまにたくさんの福が訪れますように。

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SOLO

ビーチ、青空、パームツリーのカリフォルニアに憧れて20年前に単身渡米、ロサンゼルス郊外オレンジ・カウンティー在住のライターおよび編集者。エクササイズ、新しいレストラン巡り、パーティー好き。最近の趣味は30年ぶりに始めたサクソフォーン。

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