公開日： 2025.12.31

最終更新日： 2025.12.31

映画「国宝」ロケ地としても話題｜京都最古の花街「上七軒」

京都最古の花街である上七軒。学問の神様として知られる菅原道真公を祀る北野天満宮の東参道にあり、織物で栄えた西陣エリアとも深い繋がりがある花街です。

2025年に公開され大ヒットとなった映画「国宝」のロケ地にもなり、「国宝」をきっかけに上七軒界隈を訪れる人も増えています。上七軒の歴史と美しい街並み、そして「国宝」ロケ地について詳しくご紹介します。

京都最古の花街、上七軒とは

＜菅原道真公を御祭神としておまつりする北野天満宮の東門＞

京都市上京区にある北野天満宮は学問の神様である菅原道真公を御祭神とし、全国約12,000社の天満宮・天神社の総本社です。今回ご紹介する花街「上七軒」は北野天満宮の東参道に位置しています。

＜上七軒の始まりは文安元年。京都で一番古い花街＞

上七軒の歴史は古く、文安元年（1444年）に北野天満宮の一部が焼失した際、当時の将軍である足利義稙が細川勝元に命じ社殿を再建させます。

その再建の残材で七軒の茶屋を建て、参拝者をもてなしたことが上七軒の始まりと言われています。

＜上七軒の街には「五つ団子」の提灯が並ぶ＞

その後、天正15年（1587年）豊臣秀吉による北野大茶会の際には、名物の御手洗団子を献上したところ秀吉が大変気に入り、七軒の茶屋に御手洗団子の営業権を与えています。

現在の上七軒の提灯の紋章は、その御手洗団子に由来し「五つ団子」が使われています。

＜美しい石畳が続く上七軒通り＞

メイン通りである上七軒通は10年ほど前に電柱や電線が地中化され、花街らしい美しい石畳が続く街並みになりました。通りの両側には今もお茶屋、料理屋、老舗和菓子店などが立ち並びます。

＜裏道には上七軒芸妓組合も＞

上七軒通から少し裏道に入ったところには、上七軒芸妓組合があります。この辺りは平日午前中であれば、芸舞妓さんたちの三味線のお稽古の様子が聞こえてくることも。何気なく街を歩いて三味線の音が聞こえてくるのも「京の花街ならではの風景」ですね。

日中は静かな花街ですが、上七軒の中心施設でもある「上七軒歌舞練場」などが2025年に大ヒットとなった映画「国宝」のロケ地になり、多くのファンが「国宝」ロケ地巡りとして上七軒を訪れるようになりました。

＜上七軒歌舞練場＞

「上七軒歌舞練場」は劇中に出てくる「浪花座」の舞台袖や舞台として登場。主人公の喜久雄（吉沢亮さん）含め役者の稽古風景や曽根崎心中上演中の喜久雄を客席から見つめる俊介（横浜流星さん）と春江（高畑充希さん）のシーンなどが撮影されています。

＜上七軒歌舞練場の納涼ビアガーデン＞

上七軒歌舞練場は通常非公開なのですが、春には「北野をどり」、夏は「納涼ビアガーデン」、そして秋には芸舞妓の日頃の研鑽を披露する「寿会」が行われており、その時期は歌舞練場内を見学することができます。

＜光盛大明神＞

そして「上七軒歌舞練場」のすぐそばにあるのが、もう一つのロケ地である「光盛大明神」。「喜久雄（吉沢亮さん）が悪魔と取引する」という印象的なシーンが撮影された場所です。小さなお社ですが、今も上七軒の芸舞妓が芸能上達祈願に訪れる場所だと言われています。

＜光盛大明神のすぐそばには、国宝のポスターが貼られています＞

今回ご紹介した京都最古の花街上七軒は北野天満宮から徒歩圏内ですので、北野天満宮へのお参りと合わせて上七軒散策するのがおすすめです。五つ団子の提灯の並んだ花街らしい雰囲気と映画「国宝」のロケ地散策をぜひ楽しんでください。

まーち: 京都生まれ。京都に生まれ育ち、東京での会社員生活を経て京都へUターン。現在は京都観光、地域の情報発信などをテーマにコーディネーター、ライターとして季節のおすすめスポットやグルメ、伝統工芸、アートなど京都の街の魅力を発信中。好きなものは、珈琲、焼き菓子、お蕎麦、日本酒。