パラグアイの首都アスンシオン|一日観光おすすめコース

メガ級観光地が勢揃いの南米大陸。著者は南米パラグアイに8年住んでいるため、長距離バスで南米諸国を回る旅人たちにもよく出会う。しかし、そんな彼らが口をそろえて言うのが「パラグアイって特に何もないよね」の一言。

長距離バスで移動中にパラグアイの首都アスンシオンを通り過ぎるものの、メジャーな観光地が少ないせいか暇を持て余してしまうようだ。それで今回は首都アスンシオン近郊で楽しめる観光スポットをご紹介しよう。


ちなみに、パラグアイの知られざる観光地に関しては以前のこちらの記事を参照されたい。>>南米一 目立たない国 パラグアイの知られざる観光地5選

目次

パラグアイの首都アスンシオンの歴史

アスンシオンは南米最古の都市のひとつ。スペイン人探検家により1537年に砦が築かれたのがその始まりとされる。

1811年に、パラグアイはスペインから平和裏に独立。アスンシオンはパラグアイの首都として、外国資本に頼らずに安定して近代化を達成していった。その後もアスンシオンにて南米初の鉄道が走ったり、造船所や製鉄所が設立されたりと急速に経済も発展。

19世紀半ばにはパラグアイの黄金時代を謳歌したものの、1864年から6年続いた三国同盟戦争にて国家が崩壊。人口の7割が死滅し、国土の40%をアルゼンチンやブラジルに奪われてしまう。

現在のパラグアイはというと、南米の貧困国のひとつではあるものの、経済・政治ともに比較的安定している。アスンシオンは人口約46万人を抱えるパラグアイ最大の都市だ。

アスンシオン都市圏(グラン・アスンシオン)の人口は350万人と言われ、実にパラグアイ人口の約半分がこの地域に居住している。

パラグアイ在住歴8年の著者が感じるパラグアイの良いところはこちらのブログを参照されたい。

市内には、コロニアル風の建物が立ち並ぶ旧市街や、自然を楽しみにながら散策できる観光スポットが幾つもある。

アスンシオン一日観光ルート

アスンシオンは大きな都市だが、見どころのほとんどはパルマ通り沿いに集中しているので、効率的に回れば一日で回ることが可能だ。

アスンシオンは大きな都市、見どころのほとんどはパルマ通り
<アスンシオンのパルマ通り。この通りを中心に見どころを回ってみよう。>

1. ウルグアイ広場 (Plaza Urguaya)

アスンシオン旧市街の街歩きはウルグアイ広場(プラザ・ウルグアージャ)から始めよう。緑に囲まれた公園は市民の憩いの場だ。公園内には特に見どころはないが、市内観光の起点としてわかりやすい。

Plaza Uruguaya

  • 所在地:25 De Mayo & Estrella, Asunción
  • 電話:+595 972 473542
  • 開場時間:7:30~17:30
  • 入場料:無料

2. パラグアイ鉄道博物館 (Museo del Ferrocarril Carlos Antonio López)

ラグアイ鉄道博物館
< 鉄道博物館では列車の中にも入れる。>

ウルグアイ広場のすぐ前にあるのが、パラグアイ鉄道博物館。前述したように、パラグアイは南米で初めて鉄道を導入した国のひとつだ。1856年にはイギリスから技師を招き、鉄道工事を着手。1861年に鉄道が開通した。

当時の鉄道駅舎そのものが博物館になっていて、初期の蒸気機関車や機械部品が展示されている。機関車中に入って写真も取れるので鉄道やレトロなものが好きな人には外せない観光スポットだ。

展示は比較的簡素で保存状態も良好とは言えないが、鉄道が開通したばかりの古き良き時代を垣間見ることができる。

Museo del Ferrocarril Carlos Antonio López

  • 所在地:México 145 esquina Eligio Ayala, Asunción
  • 電話:+595 992 387 444
  • 入館時間:10:00~17:00
  • 入館料:大人 10,000Gs、学生 5,000Gs
  • 公式サイト: FEPASA | FERROCARRILES DEL PARAGUAY S.A

3. 国立英雄霊廟 (Panteón Nacional de los Héroes)

国立英雄霊廟 外観
<内部にはパラグアイの英雄たちの遺骨が安置されている。>

パルマ通りを進むと、独立広場内に荘厳なドーム状の建物が見える。これが国立英雄霊廟だ。パラグアイの初代大統領カルロス・アントニオ・ロペスや三国同盟戦争を戦ったフランシスコ・ソラーノ・ロペスなど、国家の英雄たちの遺骨が安置されているという。

白い大理石風のドーム建築が美しく、内部の写真撮影も可能。独立広場ではお土産屋さんが並んでいるので、立ち寄ってみよう。

Panteón Nacional de los Héroes

  • 所在地:Calle Palma y Chile, Asunción
  • 開館時間:7:00〜18:00
  • 休館日:月曜
  • 入館料:無料

4. パラグアイ経済博物館 (Museo de Economía del Paraguay)

パラグアイ経済博物館
<経済博物館の入口。パラグアイの歴史をここで学ぼう。>

国立英雄霊廟のすぐ前にあるのが、パラグアイ初の経済博物館。2024年に開館したばかりだ。経済・財務省の本庁舎として使用されている建物の一部が博物館になっている。

スペイン人による入植以前のパラグアイ先住民の歴史から近代化まで、パラグアイの経済発展の様子を知ることができる。2025年時点で入場料は無料!規模は小さいが、展示物も充実しており、モダンなデザインで、パラグアイの歴史や経済をざっくり学ぶのにちょうどいい。

Museo de Economía del Paraguay

5. 独立の家 (Casa de la Independencia)

独立の家 外観
<独立の家。ガイドを付ければ詳しく説明してくれる。>

アスンシオン観光で欠かせないのが、この「独立の家」。赤い煉瓦に白い壁、広い中庭という、いわゆる典型的なパラグアイ風住宅だ。スペインからの独立を模索する闘士たちの秘密の会合場だったのだという。

1811年に「独立の家」に集まり、スペイン植民地政府に対する蜂起を決定。翌日に総督邸を包囲しスペイン総督を退任させ、無血で独立を勝ち取ったとのこと。

植民地時代の家具や武器・生活用品、そしてパラグアイの英雄たちの肖像画が飾られている。

Casa de la Independencia

6. 政府宮殿 (Palacio de López)

政府宮殿の外観
<ピンクの宮殿はパラグアイの象徴とも言える建物だ。>

独立広場から西に10分ほど歩くと、ひと際人目を惹くピンクの建物が見えてくる。これがパラシオ・デ・ロペス、つまりパラグアイの大統領官邸だ。パラグアイの黄金期と言われる1867年頃に完成し、長く政府施設として利用されている。

中には入れないが、夜にはライトアップされ、写真映えするので、撮影スポットとしても人気。政府宮殿の後ろ側にはスペイン語でアスンシオンとかかれた大きな立体文字オブジェがあり、ここも撮影スポットになっているのでお見逃しなく。

Palacio de los López

  • 所在地:Av. Paraguayo Independiente entre Ayolas y Montevideo, Asunción
  • 電話:+595 21 414 0000
  • 入館時間:10:00~17:00
  • 入館料:無料(外観見学)
  • 公式サイト: Presidencia de la República del Paraguay

7. コスタネーラ (Costanera)

コスタネーラ 公園オブジェ
<パラグアイ川をバックにここで写真を撮ろう!>

以前は「チャカリータ地区(La chacarita)」と呼ばれるスラム街が政府宮殿の裏側川沿いに広がっており、あまり治安が良いとは言えない地域だったが、現在は洪水対策及び観光地化の一環で元住民は別の住居へと移転させられた。

今でもトタン屋根の家が一部残っているが、10年前と比較してだいぶ規模は縮小している。以前スラム街が続いていた地区には、川沿いを散策できる遊歩道や公園に生まれ変わり、夕方になると屋台が立ち並び、家族連れで賑わう。

ジョギングや犬の散歩などをする人も多く、家族で安心してリラックスできる庶民の憩いの場となっている。非公式だが、お金を払えばボートにも乗らせてもらえる。

ただし木陰が少なく、座って休める場所もあまりないので、気温が上がる日中に歩く時は注意が必要。昼間に歩く時は帽子を忘れずに!

Costanera

  • 所在地:Avenida José Asunción Flores, Asunción

8. メルカド・クアトロ(Mercado Cuatro)

パラグアイ最大の屋外市場メルカド・クワトロ
<パラグアイ最大の屋外市場メルカド・クワトロ>

パラグアイ最大の市場、メルカド・クアトロ。生活用品から衣料品、食材から家電製品までありとあらゆるものがここで手に入る。メルカドはスペイン語で「市場」、クアトロは「4」、つまり「第4市場」という意味になる。

迷路のように入り組んだ通路の中に無数の露店がひしめき合っており、観光地化されていない分、パラグアイの喧騒とエネルギーを素のまま感じることができる。2024年には開設80周年を迎えた。

朝7時には人々が忙しく動き出し、夕方5時には閉店してしまうので、活気あふれる地元のエネルギーを感じたい方は、午前中に訪れることをおすすめする。

治安は悪くないが、過去に大規模火災が発生していたり、野生動物や薬物の違法売買で逮捕者が出ることも少なからずあるので、内部に入るときは注意するに越したことはない。

露店でサンドイッチやバーベキューなど、さまざまなものが食べれるが衛生環境はかなり劣悪なので、食べ物を買う場合は自己責任で。

Mercado Municipal N.º 4

  • 所在地:Av. Pettirossi y Av. República, Asunción
  • 営業時間:7:00~17:00

9. セロ・ランバレー (Cerro Lambare)

セロ・ランバレー
<頂上からの眺め。首都アスンシオンにも緑があふれているのがわかる。>

アスンシオン観光の最後に訪れたいのがセロ・ランバレー。ランバレー地区にある小さな丘で、高さは125メートル程度。頂上まで車で行くことができ、丘の上の展望台からはアスンシオン市街そしてパラグアイ川全体を見渡すことができる。

頂上にはスペイン人に抵抗し戦ったグアラニー族の首長カシーケ・ランバレーの記念碑が立っている。都市化が進むアスンシオンで豊かな自然が残された一角として、週末や涼しくなる夕方以降は家族連れで賑わう。ただし周辺の治安は良いとは言えないので、訪れる際はタクシーを利用しよう。

20世紀初頭に建てられた歴史的建物だが、2023年に修復作業<20世紀初頭に建てられた歴史的建物だが、2023年に修復作業が完了した。>

市内には、他にもスペイン統治時代の面影を残すコロニアル風建築はいくつも残っているが、残念ながらその多くは保存状態が良いとは言えず、壁の落書きや老朽化が目立つ。

それでも、これらの建物はアスンシオンの歴史を語る貴重な文化遺産であり、今後の観光開発が進むにつれて、歴史的建造物としての保存と活用が進むことを期待したい。

Cerro Lambaré

  • 所在地:Barrio Santa Ana と Lambare市の境界付近
  • 営業時間:7:00~18:00
  • 入場料:無料(駐車料金別途)

時間があったら立ち寄りたいアスンシオン近郊の観光地

アスンシオン市内の見どころをひと通り巡ったあと、少し足を延ばしてみるのもおすすめだ。首都から車で1時間圏内には、湖や湿地、アートの町など、自然と文化が融合した小さな観光スポットが点在している。時間にもう少し余裕のある方は是非、足を延ばしてみてほしい。

リンピオガーデンのパラグアイオニバス (Yacare Yrupe, Limpio)

アスンシオン中心部から一時間弱のリンピオという町に、パラグアイオニバス(Victoria cruziana)の群生を見れる場所がある。

パラグアイオニバスとは、南米を原産地とする巨大な浮葉を持つ水生植物だ。葉の大きさは1~2メートルに及び、赤ん坊を載せられるほどの浮力を持つ。

パラグアイ国内法では「絶滅危惧種」に分類され、南米でも希少価値が高い。アスンシオン滞在時には少し足を延ばして、パラグアイオニバスを見に行こう。

Jardín de Yacaré Yrupé

  • 所在地:Limpio, Paragauy

イパカライ湖 (Lago Ypacaraí)

アスンシオン中心部から車でおよそ1時間の場所に位置するイパカライ湖は、面積約55平方キロメートルの淡水湖だ。湖畔にはアレグア(Areguá)とサン・ベルナンディーノ(San Bernardino)という2つの人気観光地があり、どちらもカフェやレストランが建ち並ぶ穏やかな湖畔リゾートとして知られている。

イパカライ湖から見る夕焼け
<イパカライ湖から見る夕焼け>

川ではカヌーやボートに乗れるほか、夕日を背に湖畔を散策するととても気持ちがいい。しかし、近年は生活排水や農業排水の流入により、汚染が深刻で水泳や直接の遊泳は推奨されていない。

Playa De Aregua

  • 所在地:Aregua, Paragauy
  • 営業時間:8:00~18:00
  • 入場料:無料

まとめ

南米旅行候補としてはまだままマイナーなパラグアイの首都アスンシオン。しかし、南米最古級の歴史を刻む街並み、鉄道などレトロな遺産、活気あふれる屋外市場など見どころもたくさん。

南米を訪れる方は「パラグアイって特に何もないよね」とは言って素通りせずに是非数日過ごしてみてほしい。観光ガイドブックにはない新しい発見があるはずだ。

※2025年11月の情報のため、変更になる場合があります。

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Shinji Muto

一人旅・海外勤務を経て、現在は南アフリカ人の妻と共に南米パラグアイに在住。3カ国の永住権を持ち、日本語・英語・スペイン語を操る日系アメリカ人が各地の名所を解説します。コトバラウンジ(journal.kotobalounge.com)にてウェブサイトやアプリのローカライゼーション・翻訳も承っています。

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