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インドは狂犬病大国?事前の対策は必要?インドの現状と犬に噛まれた時の対処法

<TOP画像:引用:unsplash>
インドを旅行する上で「お腹を下す」と同じくらい不安になるのが「狂犬病」ではないのでしょうか。インドは、世界の大半と同じで狂犬病の清浄国ではなく、動物との接触により狂犬病に感染するリスクがあります。
では、インドに旅行に行く前に狂犬病の予防注射をするべきなのでしょうか?また、現地で犬に噛まれたらどうすればよいのでしょうか?
実際に狂犬病注射を打った経験のある筆者がお伝えします!
目次
渡航前の狂犬病注射の必要?!
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結論から言うと、インドに旅行する前にわざわざ狂犬病の予防接種をする必要はないと思います。
インド在住7年目ですが、犬に噛まれる機会はそうそうありません。普通に旅行者として過ごしている分には、まず噛まれることはないでしょう。
日本は、世界でたった6地域しかない狂犬病の清浄国に指定されています。そのため、狂犬病のワクチンを打ちたくても備えている病院は多くなく、費用も1万5000円以上かかるのが一般的です。
一方でインドの場合、大病院なら狂犬病ワクチンが常備されていますし、費用も500円から高くても2~3千円です。旅行者が行くような都市であれば、ワクチンの心配をする必要はありません。
どうしても不安な方や、駐在員でワクチン接種が会社から義務付けられている方以外、わざわざ高いお金と手間をかけて日本でワクチンを打つのは不要ではないかと思います。個人的には、ワクチン代を節約したお金でインドでたくさんお土産を買って帰る方がおすすめです。
インドを取り巻く狂犬病の実態
といっても、インドに狂犬病が存在することは確かです。私は野生動物の保護活動に対して支援や募金を行っているのですが、インドにいる間に狂犬病を発症した2頭の犬をみました。
外務省のウェブサイトには「年間300万件以上の犬咬傷事例が国内で発生し、2万人以上が狂犬病で亡くなっていると推定されています。」との記載があります。(引用先:外務省公式サイト)
狂犬病に感染するリスクはインドを旅行する上で少なからずあることも事実です。実際、犬は人と非常に近い距離で生きています。ほとんどの犬は大人しく、こちらが敵意を向けない限り噛みついてくることはありません。
中には、人との生活の中でトラウマを植え付けられた犬は攻撃性を見せてくることもあります。旅行する上では、このような犬を刺激しないように過ごせば問題ありません。
狂犬病を発症した犬は、見境なく凶暴化し、唾液を垂らしながら唸り声をあげ、周囲のものに無差別に噛みつこうとします。その異常な様子は、一目見ただけで通常の状態ではないことがはっきりとわかります。狂犬病は発症すると致死率が100%なので、そのような犬もじきに命を落としてしまいます。
狂犬病のウイルスは感染した動物の唾液に潜んでおり、噛まれた際に唾液からウイルスが体内に侵入し、神経内を移動しながら脳に向かいます。ウイルスが脳に到達した時に狂犬病が発症し、死に至ります。(狂犬病の注射をした時にそう医師から教わりました。)
その恐ろしさは現地でも認識されており、犬に噛まれた際にはみんな一目散に病院を目指すほどです。フレンドリーな犬に舐められただけで「私、注射打った方がいい?」と心配する人もいるほどでした。
犬よりも怖い!本当に危ない動物
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<引用:ecoheritage>
狂犬病の感染経路の9割が犬だと言われていますが、ほとんどの犬は寝ているか、人間に無関心か、尻尾を振って寄ってくるかなので噛まれる危険を感じることは、ほぼありません。ですが、私が全神経を集中して警戒している動物がいます。それは、猿です!
猿は意外と街中にも現れたりします。ガンジス川で有名なバラナシでは猿が街中を飛び回っていますし、ヨガの聖地であるリシケシでは、猿の縄張りがヨガアシュラムの中にありました。
黒い顔の猿と赤い顔の猿がいるのですが、「赤い顔の猿はやばい。凶暴すぎる」とインド人も言うほどです。食べ物を求めて人に平気で近づき、人の荷物を奪うのはもちろん、ポケットに手を入れてきたりもします。
人間よりも自分たちが肉体的に強いと知っているので、平気で引っ掻いてきたり噛んできたりもします。急に脈絡もなく飛びかかってきたりと予測がつかず、人間を恐れることがない分、猿は非常にやっかいです。絶対に何があっても猿には近づかないようにしましょう。
もちろん、猿も狂犬病ウイルスを持つことがあります。引っ掻かれたり噛まれたりしたら、絶対に病院に行くようにしましょう。
動物に噛まれた時の対処法と注射の流れ
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<引用:unsplash>
「犬に噛まれることはほとんどない」と言いましたが、私は2回あります。1回目は、フードを被って歩いていたら犬に不審者認定されたのか、スネのあたりをガブっと噛まれました。2回目は、犬を撫でていたら顔周りがいやだったのか、手のひらをガブっと...。
どちらも流血するほどではなかったものの、皮膚に傷が入ったので慌てて病院に向かいました。エマージェンシーに行くとWHOのプロトコルに沿って対処すると言われ、次の順番でことが進みました。
1. 傷口の洗浄
まずは傷口をきれいにしなければならないと言われ、ズボンを脱がされてトイレに向かわされました。看護師がお尻を洗うホースで私のスネに水を当て数分程度洗い流しました。
これは本当に綺麗になっているのか...大腸菌など他の雑菌が傷口に入ることはないのか?と不安ではありましたが...。
2. 破傷風のワクチンを接種
実は、犬に噛まれた時に発症する可能性のある恐ろしい病気は狂犬病だけではないのです。破傷風にも感染する可能性があるのです!破傷風に感染すると神経系の症状が現れ、重症化すると命を落とすこともあります。
そのため、まずは破傷風のワクチンを打ちますと言われたのが予想外のことでした。ワクチン代はたった20円程度で、腕に打たれて終わりでした。
3. 本命の狂犬病ワクチンを3箇所に注射
いよいよ狂犬病ワクチンです。接種した量は忘れてしまったのですが、皮膚に傷があって唾液が体内に入っている可能性があるとのことから、3箇所に打つと言われました。
一箇所は、噛まれた箇所のスネです。これが死ぬほど痛かったです...。2箇所、3箇所は左右のお尻にと言われましたが、実際にはふとももの外側あたりに打たれました。狂犬病の注射は筋肉注射みたいです。スネが痛すぎた分、こちらは大したことありませんでした。
噛まれた日を0日と数え、3日後、7日後、14日後、28日後と、噛まれた後も4回病院に通いました。3日後以降のワクチンは腕の筋肉に注射されました。注射が何よりも苦手でしたが、さすがにこれだけ打つと慣れました...。
そして、この接種を完了したため、2回目に噛まれた時には当日と確か1週間後にもう一度打つだけで済んだ記憶があります。
事前にワクチンを打っている場合も、2回の接種で済むようです。ただ、1年を過ぎると効果が薄れるみたいなので、さらに接種回数が必要になるかもしれません。
やはり5回も病院に行くのはインド在住者でない限りなかなか大変ではあります。このあたりの不便さも考慮しながら、旅行前に狂犬病ワクチンを接種するのかどうかを検討してみてください。
野良犬が怖い時の対処法
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<引用:wellnessforever>
野良犬はそこかしこにいて、昼間はゆったり寝ているのですが、夜になると覚醒して攻撃的になることがあります。第一に、夜遅い時間の外出は控えるようにしましょう。特に夜遅い時間、細い小道を一人で歩いたり、人間でも「この人怪しい」と思うような行動を撮っていると、野良犬の警戒心は高まります。
そして、吠えて威嚇している犬には近づかないようにしましょう。かといって走って逃げると追いかけてくるので注意です!追いかけてきた勢いで足を噛まれたりすることもあるそうです。
私のおすすめの野良犬対処法はビスケットをポケットに入れておくことです。インドの野良犬は、ビスケットをインド人からよく与えられており、おいしいものだと知っています。
そのため、吠えている犬を見ながらビスケットを地面にそっと置くと、気を逸らすことができるのです。少なくとも「こっちは敵意がない」ということを犬に伝えるのに有効な手段で、その後そっと横を通らせてくれるようになります。
Parle Gなど、小さいサイズだと5〜10ルピー程度で売っているビスケットをお守りがわりに持っておくとよいでしょう。
大概はそれで乗り切れるのですが、それでもダメな場合は石を拾って投げるふりをしてみてください。石を投げられた経験のある犬は、怯えて逃げていきます。ただ、犬を怖がらせたくないので私は極力やりませんし、実際に石を犬に向かって投げるのもやめておきましょう。
まとめ|適切な対処法を知っていれば怖くない
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狂犬病、致死率100%と聞くとインドの地を踏むのが怖くなるかもしれません。ですが、それだけの理由でインド旅行をとまどってしまうのはもったいないです。
犬に噛まれたり猿にひっかかれたりしたら、まずは患部を流水で十分に洗い流してから迅速に病院のエマージェンシーに向かいましょう。スケジュールをきちんと守ってワクチンを接種すれば、狂犬病の発症を防止することができます。
野良犬との距離感も適切に保てば噛まれる心配はほぼありません。しかし、猿には十分に注意しながらインド観光をお楽しみください!
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やまもと
- インドのバンガロール・ムンバイの2拠点で活動している翻訳者・ライターです。インドの野良犬とヨガが大好きです!




























