ゴッホが晩年を過ごした南フランス|アヴィニヨンとアルルの間にあるレ・ボー&サン・レミの二つの村

<TOP画像:レ・ボー・ド・プロヴァンスの地図、左半分ほどが城址 ©Kanmuri Yuki>

フランス南東部には、複数の山脈や山地が連なります。今日はアヴィニヨンとアルルの間アルピーユ山脈近くの美しい村を二か所ご紹介します。

目次

ボー 一族の君臨したレ・ボー・ド・プロヴァンス

岩山の上に築かれた城塞が印象的なレ・ボー・ド・プロヴァンスは、中世においてボーと呼ばれる一族が支配統治したことで知られます。町の中に城があるというよりも、城自体が町の大半を占める規模なので、レ・ボー観光において城は必見です。

レ・ボー・ド・プロヴァンス町中
<レ・ボー・ド・プロヴァンス町中©Kanmuri Yuki>

町の入り口から城の入り口までは基本徒歩のみで、石畳の坂道を歩くことになります。短い距離ながら、両側にはブティックのほか、教会やチャペル、南仏の手作り人形の展示館などが並んでいます。なかなか見ごたえがありますから、城見学の前後にぜひ足を止めてみてください。

レ・ボー・ド・プロヴァンス

城見学のための注意点

レ・ボー・ド・プロヴァンス城内の様子
<レ・ボー・ド・プロヴァンス城内の様子©Kanmuri Yuki>

レ・ボー・ド・プロヴァンス城は、城というよりも城塞址というのにふさわしく、山の上部を占める広い敷地内を歩くことになります。岩を利用した長い階段を上って見える景色は絶景ですが、十分楽しむためには、しっかりとした足元と動きやすい服装をおすすめします。

城の中にモナコ公国のチャペル

このチャペルだけはモナコ公国管轄地
<このチャペルだけはモナコ公国管轄地©Kanmuri Yuki>

面白いことに、城の一角にあるチャペル跡は、隣国であるモナコ公国が管轄する場所です。レ・ボーのあるプロヴァンス地方は、15世紀末からフランス王国のものとなりました。けれどもその後17世紀に、レ・ボーはモナコ公国のグリマルディ家に贈られたのです。18世紀末のフランス革命により再びレ・ボーはフランス共和国に取り込まれますが、レ・ボー・ド・プロヴァンス城の中にあるチャペルの一角だけは、今もグリマルディ家のものなのです。

そのためモナコ公グリマルディ家の嫡男は今も象徴的にレ・ボー侯爵の称号を受け継いでいて、定期的にこのチャペルを訪れています。城内チャペルの壁にはそのあたりの経緯説明や、モナコ公や故グレース妃らがこの地を訪れた際の写真が展示されています。

レ・ボー・ド・プロヴァンス城

  • 所在地:Les Baux-de-Provence フランス 〒13520
  • 電話:+33 (0)4 90 54 34 39
  • 開城時間:季節毎に変動 公式サイト要確認
  • 休城日:12/25
  • 入城料:大10ユーロ、65歳以上 9ユーロ、7~17歳 7ユーロ、学生と18~25歳 8ユーロ、7歳未満 無料
  • 公式サイト:レ・ボー・ド・プロヴァンス城

アートスペースとなった採石場跡

採石場近くのハイキングコース
<採石場近くのハイキングコース©Kanmuri Yuki>

レ・ボー・ド・プロヴァンス近辺では、1930年代まで石灰岩の採石が行われていました。採石場跡はたいそう美しく、1959年にはあのジャン・コクトーが映画の撮影に使ったほどでした。現在この採石場跡のひとつは『カリエール・デ・リュミエール』と呼ばれるイマーシブ系アート・スペースになっています。

ハイキングコースから望むレ・ボー・ド・プロヴァンス
<ハイキングコースから望むレ・ボー・ド・プロヴァンス©Kanmuri Yuki>

採石場跡の周囲には軽いハイキングコースが複数あり、美しい眺めを堪能できます。上の写真は、レ・ボーの西方のハイキングコースからレ・ボーの街を写したものです。

カリエール・デ・リュミエール

  • 所在地:Route de Maillane, 13520 Les Baux-de-Provence
  • 電話:+33 (0)4 90 49 20 02
  • 開場時間:季節毎に変動 公式サイト要確認
  • 定休日:無休
  • 料金:大人 16.5ユーロ、18歳以上学生 14ユーロ、7~17歳 13ユーロ、7歳未満 無料
  • 公式サイト:カリエール・デ・リュミエール 

コンパクトに魅力の詰まった町サン・レミ・ド・プロヴァンス

サン・レミ・ド・プロヴァンスのブティックたち
<サン・レミ・ド・プロヴァンスのブティックたち©Kanmuri Yuki>

サン・レミ・ド・プロヴァンスは、レ・ボー・ド・プロヴァンスの約10km北方、アルピーユ山脈自然公園の中にある町です。といっても山裾に位置するため、それほど坂道はありません。

中心となる旧市街は小さく、10分あれば横断、あるいは縦断できるくらいの大きさです。けれども、その小さな町の中には、可愛らしいブティックはもとより、歴史的建造物、教会、チャペル、美術館と、足を止めたくなるスポットがぎゅっと詰まっています。

街角には、16世紀この町に生まれたノストラダムスの胸像も
<街角には、16世紀この町に生まれたノストラダムスの胸像も©Kanmuri Yuki>

サン・レミ・ド・プロヴァンス

郊外にはゴッホが晩年を過ごした療養所

ゴッホが描いた絵画、後ろに描かれた山が見える
<ゴッホが描いた絵画、後ろに描かれた山が見える©Kanmuri Yuki>

サン・レミ・ド・プロヴァンス旧市街から1.3kmほど南方には画家のゴッホが晩年を過ごしたサン・ポール・ド・モーゾール修道院の病院があります。1890年7月に37歳で没したゴッホは、同年5月まで約一年をこの療養所で過ごしました。

ゴッホが寝起きした部屋
<ゴッホが寝起きした部屋©Kanmuri Yuki>

ゴッホが描いた部屋の絵のコピー
<ゴッホが描いた部屋の絵のコピー©Kanmuri Yuki>

病人とはいえ、ゴッホは、寝室のほかに、絵を描くためのアトリエと描いた絵を置く部屋を持つことを許可されていました。わずか一年の療養中に、ゴッホがここで描いた作品は約150点に上ります。

主に療養所周辺の自然や風景を題材としていて、修道院の周りの要所要所には、そこで描かれたとみられるゴッホの絵のコピーと説明がおかれています。

映画のロケも

サン・ポール・ド・モーゾール修道院外観
<サン・ポール・ド・モーゾール修道院外観©Kanmuri Yuki>

この修道院は現在博物館となっていて、自由に見学できます。修道院と病院が共存していた施設の様子がうかがえる展示は興味深いものです。

ちなみに、2012年にジュリエット・ビノッシュ主演映画『カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇』の撮影が行われた場所でもあります。

美しい11世紀の回廊
<美しい11世紀の回廊©Kanmuri Yuki>

見学ルートの最後にある11世紀の回廊は、1883年以来歴史的建造物の指定を受けており、よく手入れの行き届いた中庭とあわせて必見です。

サン・ポール・ド・モーゾール修道院

  • 所在地:Chemin Saint-Paul, 13210 Saint-Rémy de Provence
  • 電話:+33 (0)4 90 92 77 00
  • 開館時間・閉館日:季節毎に変動 公式サイト要確認
  • 料金:大人9ユーロ、12~16歳・学生 6.5ユーロ
  • 公式サイト:サン・ポール・ド・モーゾール修道院

レ・ボー・ド・プロヴァンスも、サン・レミ・ド・プロヴァンスも、アヴィニヨンやアルルから約20~30kmの距離にあります。

南仏観光の際にはエクスカーションの候補地にいかがでしょうか。(冠ゆき)

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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