クラシック音楽家とゲーテゆかりの街「ドイツ・ライプツィヒ」を訪ねて

ライプツィヒはドイツ東部ザクセン州に位置する、歴史と文化が息づく活気あふれる街です。

バッハ、メンデルスゾーン、シューマンといった偉大なクラシック音楽家たちが活躍し、豊かな音楽文化を育んできました。

また、ゲーテもこの地を訪れ、文学的な刺激を受けたことで知られています。

今回は、そんなライプツィヒの魅力あふれる街をご紹介いたします。

目次

バッハが永遠の眠りにつく聖なる教会「トーマス教会」

①バッハの像.jpg
<バッハの像>

トーマス教会は、ドイツ・ライプツィヒにある歴史的な教会で、特にヨハン・ゼバスティアン・バッハがカントル(音楽監督)を務めたことで知られています。

②トーマス教会外観.jpg
<トーマス教会外観>

13世紀に創建され、その壮麗なゴシック建築は街の象徴の一つ。

バッハはここで約27年間にわたり音楽を指導し、多くの名作を生み出しました。現在も教会は演奏会や礼拝で活気に満ち、バッハの音楽遺産を今に伝えています。彼の墓もこの教会内にあり、世界中から訪れる音楽愛好家にとっての聖地となっています。

バッハがトーマス教会で音楽監督を務めていた時期に作曲した代表作には『ヨハネ受難曲』や『マタイ受難曲』があります。

特にマタイ受難曲はメンデルスゾーンが絶賛したことでバッハの知名度を上げたことでも有名です。またバッハは生前、作曲家としてよりもオルガニストとして知られており、彼の作品は死後しばらく忘れ去られていました。しかし、19世紀になり、ドイツが国家として統一されたことをきっかけに、ドイツ音楽の発掘が盛んになり、バッハの作品が脚光を浴びることになりました。

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<トーマス教会>

このトーマス教会の祭壇の前に現在もバッハが眠っています。
床の墓石はとても厳かで、誰かが供えた花束が置かれていました。

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<トーマス教会>

バッハの作曲した曲の中で私が個人的に好きな曲は「平均律のクラビーア曲集」や「G線上のアリア」
自宅のピアノで演奏することもありますが、バッハの曲はどれも旋律が美しく弾いていると心が洗われるようです。

⑤トーマス教会バッハの絵.jpg
<トーマス教会バッハの絵> 

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<トーマス教会メンデルゾーンの絵>

教会内には美しいステンドグラスがあり、なんとバッハが描かれています。

メンデルスゾーンも描かれているのでぜひ探してみてください。

メンデルスゾーンハウス(旧宅)を訪問

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<メンデルゾーン像>

フェリックス・メンデルスゾーンは父親が銀行を経営するとても裕福な家庭に生まれました。
姉のファニーと共に音楽の英才教育を受け、幼少期から非凡な音楽的才能を発揮しました。11歳で作曲した「交響曲第1番」は、当時の音楽界に衝撃を与え、本物の天才であることを証明しました。

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<メンデルゾーンハウス外観>

トーマス教会から徒歩15分のゴルドシュミット通り12番地にフェリックス・メンデルスゾーンが住んでいた住居が残っており、現在はミュージアムとして整備され一般公開されています。
3階建ての建物の1~3階を見ることができます。
玄関をくぐると左手の部屋に小さなメンデルスゾーンのショップと受付があります。ここで10ユーロを払って入場。
日本語のオーディオガイドを借りることもでき、各所にあるガイドマークをタッチして詳しい解説を聞きながら順番に部屋を回ります。

彼がここに住んで「春の歌」などを演奏していたと想像すると感動がこみ上げてきます。

⑨メンデルゾーンハウス視聴室.jpg
<メンデルゾーンハウス視聴室>

メンデルスゾーンの曲を聴くことができる部屋です。

⑩メンデルゾーンハウス指揮.jpg
<メンデルゾーンハウス指揮>)

オーケストラのデジタル指揮者体験ができる部屋。

曲を選んで指揮棒を振ればまるで指揮者になったかのようにオーケストラを指揮できます。

自身の指揮棒の動きに合わせて各パートの強弱や速さをコントロールできるので、音楽好きにはたまらない展示です。

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<メンデルゾーンハウス部屋>

この部屋でメンデルスゾーンが作曲をしていたそう。明るくあたたかい雰囲気の部屋で仕事も捗ったことでしょう。

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<メンデルゾーンハウス関係者>

メンデルスゾーンにゆかりのある人々。シューマンやクララの肖像もあります。

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<ファニーメンデルゾーン>

3階はメンデルスゾーンの姉ファニーの展示になっています。
姉のファニーは弟のフェリックスに劣らぬ才能の持ち主でしたが当時の時代背景から公には楽曲の発表はできませんでした。
そんな姉をメンデルスゾーンは非常に慕っており、多くのアドバイスをもらったそうです。旅先で姉の死を知らされた彼は立ち上がれないほどの衝撃を受けたと言われています。ファニーの死後「ファニーへのレクイエム」と題する曲を作曲し、半年後にはあとを追うように38歳の若さで亡くなってしまいます。

音楽と愛に生きたクララとシューマンの旧宅へ

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<シューマンハウス看板>

音楽が結んだ、運命のふたり。

若き天才ピアニスト、クララ・ヴィーク。
そして彼女の才能に魅せられ、心を寄せた作曲家ロベルト・シューマン。
彼らの出会いは、音楽教師であったクララの父の家で始まりました。

しかし、ふたりの愛は簡単には許されませんでした。
クララの父はロベルトとの交際に猛反対。
それでも二人は、音楽と手紙を通じて愛を育み、裁判を経てようやく結婚にたどり着きます。

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<シューマンハウス内部>

その後、クララは夫の作品を世に広め、ロベルトはクララに触発されて数々の名曲を生み出しました。
愛し合い、支え合いながらも、ロベルトの精神的な不調という苦しみに直面する日々。
クララは、演奏家として、そして一人の女性として、強く美しくその運命を生き抜きました。

クララとシューマン――
その旋律には、愛と苦悩、そして永遠の絆が込められています。

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<シューマンハウス外観>

シューマン夫妻が新婚時代を過ごした住まいがライプツィヒ駅の南東、インゼル通り18番にあります。
建物の外観はとても可愛らしくて、温かみのあるドイツ建築。中に入ると、そこはまるで19世紀の世界。クララが使っていたピアノ、シューマンの手書きの楽譜、当時の家具や日用品が丁寧に展示されていて、まるで二人の生活を垣間見ているような気分になります。

⑰シューマンハウス部屋.jpg
<シューマンハウス部屋 > 

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<シューマンハウス階段>

ここでは、ロベルトが数々の作品を生み出し、クララが夫を支えながら自らも演奏家として活躍していく姿が、リアルに伝わってきます。
ライプツィヒに来たらぜひ立ち寄ってみてください。

森鴎外も通ったゲーテの戯曲『ファウスト』に登場する酒場「アウアーバッハス ケラー」

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<アウアーバッハスケラー内部>

「アウアーバッハスケラー」は1525年、医学者で大学教授であったハインリヒ・ストローマー・フォン・アウアーバッハが、自身の館のワイン倉庫に学生のための酒場を設けたことが始まりとされています。
当時ライプツィヒの大学に通っていたゲーテはこの酒場を気に入り足しげく通っていたそうです。
ゲーテはこの酒場に相当入れ込んでいたようでついには、ゲーテの代表作『ファウスト』の第一部にも登場するほどです。
主人公ファウストと悪魔メフィストフェレスがこの酒場を訪れ、酔っ払いたちを幻覚で騙すという魔術的な場面に描かれています。

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<アウアーバッハスケラーメフィスト像>

「アウアーバッハスケラー」はグリーマイッシェ通りのショッピングアーケード「メードラー・パッサージュ」内にあります。
パッサージュの途中に悪魔メフィストフェレスとファウスト博士の像が立っているのでそれが目印。

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<アウアーバッハスケラー入口>

レストランはパッサージュ内から階段を下りて地下にあります。

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<アウアーバッハスケラー森鷗外>

「アウアーバッハスケラー」にゆかりのある有名人はゲーテだけではありません。なんと日本の文学者 森鴎外も軍医としてドイツに留学中、この酒場に通っています。そして友人達とゲーテの「ファウスト」を日本語訳することを決意しました。

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<アウアーバッハスケラー森鷗外>

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<アウアーバッハスケラー森鷗外>

ここに描かれている和装の男性は森鴎外です。

ライプツィヒはまさに音楽と文学が息づく街。バッハが音楽監督を務めた聖トーマス教会の荘厳な響き、そしてゲーテがファウストの舞台に描いたアウアーバッハスケラーなど、これら偉大な芸術家たちが織りなす歴史と文化が、今も街のあちこちに息づいています。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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ヤマヨシ

人とは少し違ったところ、変わったところへ行くのが好きな旅行会社勤務のヤマヨシです。休日は仲間と瀬戸内でボートを漕いだりサイクリングを楽しんでいます。また美術館巡りも心が落ち着くのでお気に入り。四季の花や紅葉も楽しみつつ瀬戸内にある無人になったホテルで珈琲を淹れて瀬戸大橋を眺めに行くことも。ピアノを弾くのでクラシックもよく聴きます。ドビュッシー、ショパン、ベートーベン、バッハなど。海外はモンゴルやスリランカ、ドバイなど少しマイナーな国々へも渡航しておりますが、現在は長い歴史を持ち伝統あるヨーロッパに魅力を感じています。

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