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神の国&信仰の国インドで出会える宗教を紹介!

<TOP画像:引用 Unsplash>
「インドに行くと人生観が変わる」と言いますが、その理由の1つがインド人の信仰心だと考えられます。神が自分を見ていると心から信じ、祈りをささげ、祭りや行事で神様を讃える姿を見ると、日本で培ってきた自分の価値観が揺さぶられるような気がします。
さらに、他民族国家なので宗教も色々、信じる神様も人によって違います。今回は、インドの代表的な宗教について、個人的な観察や感想をもとに紹介します!
目次
- インドを語る上では欠かせないヒンドゥー教
- ヒンドゥー教とバチバチ!?イスラム教
- 生まれて滅び復活した仏教
- キリスト教にジャイナ教、シク教も
- 宗教施設を訪れる時の注意点
- まとめ:インドの神々に触れてみよう!
インドを語る上では欠かせないヒンドゥー教
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インドを形作っていると言っても過言ではないのがヒンドゥー教です。世界で4番目に信者数が多い宗教ですがそのほとんどがインド人なので、インドでは圧倒的No.1の信者数を誇っています。
象の頭を持つガネーシャ、破壊神のシヴァ、ガンジス川の化身のガンガーなどユニークな神様が登場するヒンドゥー教は、お寺も装飾も色とりどりでとにかく派手です。
実は、弁財天のもとは音楽や勉学の神様のサラスヴァティだったり、仏教の開祖であるブッダがヒンドゥー教の神様ヴィシュヌの化身としてみなされたりと、仏教ともかかわりがあったりします。
現代的なヨガでもヒンドゥー教のマントラ(お経)を唱えたり、ポーズの名前にヒンドゥー教の神様の名前がついたりしています。また、ヒンドゥー教の祭りである「ダセラ/ダシェラ」は宗教にかかわらずインド全土を巻き込み、毎日花火が上がったり、年に1回の大セールを行ったりします。そのため、インドに行けば何かしら必ずヒンドゥー教を体験することになります。
熱心なヒンドゥー教徒も多く、神様から名前がついている人や、神様のタトゥーを入れたり神様ネックレスをつける人もいます。
会社やイベント会場などにさえ神様の像を置き、何かものごとを始める時にはまずお祈りが必須です。会社でもお祈りをできるのは、バラモンというカースト出身の人のみ。
さらに神様のアニメ(Prime video)やドラマなどもあり、若い世代でもそれを普通に見ることにびっくりです...。
日本人の私からすると「よくここまで信じられるな」と感心するとともに、神様を何の疑いもなく信じられることは幸せなことでもあると思ってしまいます。
私にはもうこれからどう頑張っても一生得ることができない価値観だな...と、少しうらやましくもなります。
ヒンドゥー教のお寺は街中にたくさん位置しています。ゲートが空いていたら誰でも気軽に見学できるので、ぜひ訪れてみてください。
ヒンドゥー教とバチバチ!?イスラム教
ヒンドゥー教に続く、インドの主要な宗教がイスラム教。もともと広大な土地だったインド帝国を、宗教によって切り分けようとパキスタンとバングラデッシュが独立しました。
仏教徒がおさめていた土地をイスラム教徒が侵略し、イスラム教徒が立てたモスクをヒンドゥー教徒が壊し...といった歴史などもあり、過激派のヒンドゥー教徒はイスラム教徒を敵対視したりもします。
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<国民的スターのシャー・ルク・カーン。カーンという苗字はイスラム教徒 引用:The Hollywood Report>
結婚相手に対して「外国人でもいい、年が離れていてもいい、でもイスラム教徒だけはダメだ」と強く語るヒンドゥー教徒に出会ったことも1度や2度ではありません。
街中ではお互いに普通に接していますが、結婚などの重要な場面や何か宗教を巻き込む事件が起きると、眠っていたイスラム教への敵対心が目覚めるというような印象です。
一方でインド映画界のボリウッドではヒンドゥー教徒の俳優も多く、カシミール地方はイスラム教徒が多数派となっており、ヒンドゥー教に負けないプレゼンスをしっかりと確立しています。
実は、あの有名なタージ・マハルもイスラム教徒の王様によって作られた建物です。イスラム教が主流となったムガル帝国の遺跡は北インドをメインにたくさん残っており、独特のロマンを感じられます。
イスラム教徒のお祭りであるイード(犠牲祭)ではインドでもヤギが街中につながれるので、ヤギを見ると「この季節がまた巡ってきたか」と思ったりします。
イスラム教徒は基本的に肉食なので、「イスラム教の料理はおいしい!」と外国人からも評判です。(ヒンドゥー教は菜食だったり鶏肉メインだったりするので、ちょっと物足りません。)
肉食のためか、がっちり高身長のイケメンもイスラム教徒にたくさんいますよ!
生まれて滅び復活した仏教
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個人的に、一番興味深いと思ったのが仏教です。ネパールで生まれ、インドで広まった仏教。しかし、後にバラモン教から発展したヒンドゥー教の改宗運動が起き、さらに追い討ちをかけるようにイスラム教徒による侵略が続きました。
偶像崇拝を禁じるイスラム教は仏教施設をことごとく破壊してしまい、仏教はすっかり廃れてしまいました。
そのまま12世紀から仏教不在の時代が続くのですが、1946年インド独立時の憲法の起草をした1人である、アンベードカル博士によって仏教が息を吹き返します。
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<右の像がアンベードカル博士>
アンベードカル博士はヒンドゥー教の「不可触民、ダリット」にあたる身分の生まれでした。カースト差別が公然であった当時は、不可触民は蛇口に触れることができません。
ダリットの不浄な手が水を汚染すると考えられていたからです。喉が乾いても口を開け続け、誰かが水を飲ませてくれるのを待つしかなかったそうです。
ですが、アンベードカル博士は頭がよく、勉学を身につけてイギリス留学まで成し遂げ、政治も動かすようになりました。「カースト差別はおかしい」ということを一貫して言い続け、カースト差別の禁止をインド憲法に入れ込みました。
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やがて仏教の教えに惹かれるようになり、タイやスリランカ、ミャンマーなどの仏教国から教えを学び、1956年には40万人とダリットとともに仏教徒に改宗しました。そしてその2ヶ月後にこの世を去りました。
つまり、今インドで見られる仏教は「逆輸入」されたものなのです。タイやミャンマーと仏像の顔つきが同じなのも納得です。さらに、日本人の佐々井 秀嶺さんがインダス寺で住職を務めており、インド仏教徒からあつく慕われているのも興味深いですね。
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さらにおもしろいのが、インドの北側へ行くとまったく違った仏教の姿を見られることです。ヒマラヤのふもとにはチベット仏教が根付いています。インドの新仏教とまったく違う色使い、仏像の表情、建築方法...。
同じ国の中にあると信じられないくらいです。チベットでは中国の共産党政府により破壊されてしまった古くからの仏教文化が、インドのヒマラヤの中では姿そのままに守られています。
異なる2つの仏教を辿ることも、インド旅行のテーマとして非常におもしろいのでおすすめです!
キリスト教にジャイナ教、シク教も
他にも、キリスト教徒もいます。キリスト教徒は、ポルトガル領だった歴史がある海辺の都市のゴアや、アジア人ぽい顔つきの人が多い北東地方などで多数派のようです。ヒンドゥー教から改宗する人もいたり、キリスト教系の私立学校も多々あると聞きました。
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<引用:Unsplash ジャイナ教寺院の内部>
おもしろいのがジャイナ教です。英語では「Jain(ジェイン)」と呼ばれ、厳しい規律を守る宗教集団です。殺生を禁じられており、ほうきで道を掃き、虫などを踏まないように歩く姿を写真で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
殺生しないために農業には携わらず、室内でできる仕事を昔から続けており、金融業や宝石業などで裕福な方が多いそうです。実際、私が会ったジャイナ教の方も、素朴でも清潔感のある身なりをしていました。
さらに、根菜は植物自体の命を奪って食べることになるからと。たまねぎやニンニクは食べられず、実がなるものや葉野菜しか口にしない徹底ぶり。
また、ジャイナ教の聖者は衣服を一切身につけません。最初、真っ裸のおじさんをテレビで見て驚きました...。
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<引用:Unsplash シク教徒>
インドを語る上で避けられないのがシク教徒です。大きなターバンを巻き、立派な口髭をたくわえている方がシク教徒です。苗字が「Singh(シン)」だったら、シク教徒かな?と思います。
シク教徒はインドのパンジャブ州の多数派で、勇敢な戦士の末裔というイメージがあります。私が路上で変な人に絡まれた時に割って入って助けてくれたのがシク教徒のおじさんでした。
その時、一緒にいたインド人が「彼はシク教徒なので勇敢だ」とつぶやいていました。イギリスがインドを植民地にしようとした時、シク王国は激しく抵抗した歴史もあるようで、そのイメージが現代にも受け継がれているようです。
シク教徒がお祈りに訪ねる場所は「グルドワーラー」と呼ばれます。グルドワーラーにはベッドのような、台座のようなものが置かれており、イスラム教のモスクのようでした。
ただ、帰る前には食べ物が提供されます。パキスタンの国境の都市アムリトサルにあるシク教の総本山、通称「ゴールデン・デンプル」は毎日10万食も提供しているとか。
ごちそうになったら、次の人のためにも、ご好意に感謝を表すためにも、寄付を残していきましょう。
宗教施設を訪れる時の注意点
インドでは色々な宗教施設を見て回ることができます。自分は観光気分でも、信者の方々にとっては神聖な祈りの場であるということを忘れないように振る舞いましょう。
服装
とくに気をつけたいのが服装です。ノースリーブや短いパンツなどは避けましょう。ほとんどの宗教で肌を出すことはよくありません。信者の方たちからすると、自分たちの宗教を冒涜されていると感じるかもしれません。私はいつも長いパンツに長袖ジャケットを着るようにしています。
シーク教の施設では髪を隠す布が配られていたりするので、街中に売っているスカーフなども持っていると安心です。
持ち物
入り口で持ち物検査があったり、荷物は預けないといけなかったりするので、なるべく身軽を心がけてください。荷物番がいることもありますが、セキュリティはほぼゼロなので、貴重品は持たないようにしましょう。
写真
写真禁止と書いてある場所では写真を撮ってはいけません。インド人は写真禁止の札があってもおかまいなしです。ですが、日本人としてルールは守るようにしてください。
マナー
チベット系のお寺を訪ねた時、「インド人はここから先はダメ、マナー悪いから。日本人だったらいいよ、ここも見ておいで」と言われたことがあります。これは、差別ではなく過去の経験によるものだと実感しました。
インドでは日本の先輩方が築いてくれた信頼の厚さを感じることが多々あります。その信頼を次の世代に引き継ぐためにも、宗教施設という現地の人が大切にしている場所でのマナーは特に気をつけるようにしましょう。
まとめ:インドの神々に触れてみよう!
このようにインドではさまざまな宗教が信じられ、日本よりもカジュアルに宗教の話が飛び交い、文化や風習にも触れることができます。
ぜひ、色々な宗教の施設や遺跡などに訪れ、インドの神様や人々の信仰心を感じてみてください。きっと人生観も変わるかも!?
インド
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やまもと
- インドのバンガロール・ムンバイの2拠点で活動している翻訳者・ライターです。インドの野良犬とヨガが大好きです!




























