スペイン北東部の歴史あるサラゴサで観光とバル巡りを楽しむ

<TOP画像:エブロ川にかかる15世紀のピエドラ橋越しに見るピラール・バジリカ教会堂>

前回の記事『スペイン・サラゴサでおよそ2000年の歴史を持つピラール・バシリカ教会堂』全ヒパニック(スペイン語圏、およびスペイン語圏にルーツを持つ人々)の守護聖母として信仰されているピラールの聖母とサラゴサにあるピラール・バジリカ教会堂について書きましたが、ご覧いただけましたでしょうか。

今回はサラゴサのそれ以外の見どころについてお話ししたいと思います。

なお、サラゴサとは県名でも市名でもありますが、本記事ではサラゴサ市を指します。

目次

サラゴサはスペイン第5の都市

エブロ川の河畔にあるサラゴサは、ローマ時代はカエサルアウグスタと呼ばれた植民都市として栄え、12世紀のレコンキスタ後はアラゴン王国の首都としても繁栄したそうです。

この王国の力が特に強かった時代は、イタリアのナポリやシチリアも支配していました。現在も、スペインで第5位の人口を抱える大きな市です(第4位のセビーリャとは僅差)。

一番の見どころであるピラール・バジリカ教会堂については前回の記事をお読みいただくとして、今回はサルバドール大聖堂から始めましょう。

タペストリー美術館を併設する壮麗な大聖堂

ラ・セオ(La Seo)とも呼ばれているこの大聖堂は、ローマ時代は公共広場、そしてイスラム時代にはモスクでした。モスクの尖塔の一部は現在の塔に今も残っています。

堂内には美しいキリスト教芸術の世界が広がる
<堂内には美しいキリスト教芸術の世界が広がる。撮影:Daniel Marcos & Félix Bernad、提供:サラゴサ市観光局 Turismo Zaragoza>

現在の大聖堂の建物は、12世紀にロマネスク様式で建設が始まり、その後増改築を重ね現在に至ります。荘厳なピラール・バジリカ教会堂に比べると小ぶりで控えめな建物なのですが、中に足を踏み入れるとその壮麗さに息を飲みます。

凝った装飾の礼拝堂がいくつもあることがとても印象的でした。時間がなくて駆け足でまわったので、今度はゆっくり見たいです。

昔は装飾と実用を兼ねて石壁に飾られたタペストリー
<昔は装飾と実用を兼ねて石壁に飾られたタペストリー>

なお、堂内の参事会室は現在タペストリー美術館になっており、65点の所蔵品のうち特に優れた23点が展示されています。

サルバドール大聖堂/Catedral del Salvador

  • 住所:Plaza de la Seo 4, Zaragoza
  • 開館時間:月~土曜 10:00~14:30 16:00~20:00、日・祝 10:00~12:00 16:00~20:00
  • 入場料:10ユーロ

※大聖堂、タペストリー美術館、ピラール・バジリカ教会堂内のピラリスタ・ミュージアム、徒歩10分ほどのロサリオ・デ・クリスタル美術館へ入場できます。12ユーロだとさらにピラール・バジリカ教会堂の展望台のある塔にも登れます。

ステンドクラスの美しい灯篭が展示された小さな美術館

カトリック教会では10月12日が聖母ピラールの日で、これに合わせてサラゴサでは盛大なピラール祭りが開かれます。13日の夕刻から夜にかけてガラスのロサリオと呼ばれる宗教行列がありますが、この時に山車にのったステンドグラスを使った大きな灯篭がいくつも出ます。

ガラスのロサリオの宗教行列では、このような美しい灯篭がいくつも道をいく
<ガラスのロサリオの宗教行列では、このような美しい灯篭がいくつも道をいく>

この灯篭が展示されているのがロサリオ・デ・クリスタル美術館なのです。灯篭は本当に美しく、いつかガラスのロサリオの宗教行列を見たい!と思いました。

ロサリオ・デ・クリスタル美術館/Museo de los Faroles y Rosario de Cristal

※大聖堂、タペストリー美術館、ピラール・バジリカ教会堂内のピラリスタ・ミュージアムとセットになった10ユーロのチケットがお得。

千年前のイスラム勢力の名残、アルハフェリア宮殿

イベリア半島を支配していたイスラム教徒が、こんな北東部まで勢力を広げていたことがうかがえるのがアルハフェリア宮殿です。イスラム王朝が11世紀に建てたとのこと。

後世にはアラゴン王国の宮殿としても使われた、宮殿と要塞の両方の性格を持つ建造物です。現在は一部がアラゴン州議会に使用されています。オレンジのパティオに面したイスラム様式のアーチが美しい黄金の間(Salón Dorado)では、コンサートが開かれることもあるのだとか。

白いアーチが美しいアルハフェリア宮殿の黄金の間
<白いアーチが美しいアルハフェリア宮殿の黄金の間>

大聖堂とアルハフェリア宮殿はアラゴンのムデハル様式(※イスラム建築の装飾技法を取り入れた、スペイン独自のキリスト教建築」)建築物群として世界遺産に登録されています。

もう一か所サン・パブロ教会もこの世界遺産に名を連ねているのですが、あまり治安のよくない地域にあるため、人通りが少なくなるシエスタタイムや暗くなってからは訪れるのを避けた方が良いでしょう。

アルハフェリア宮殿/Palacio de la Aljafería

  • 所在地:Calle los Diputados s/n, Zaragoza
  • 開館時間:11:00~14:00 16:00~18:30
    入館料:7ユーロ
    公式サイト:アルハフェリア宮殿  

ゴヤ美術館は現在増改築工事で閉館中

ところで18世紀後半から19世紀前半にかけてスペインでもっとも活躍した画家のゴヤは、サラゴサ市郊外フエンデトドスの出身でした。サラゴサにはゴヤ美術館がありますが、現在拡張工事のため閉館しています。2026年10月~12月頃に再開の予定だそうです。

ゴヤ美術館/Museo Goya

ほかには紀元40~60年頃のローマ時代につくられた半円形の劇場も入場見学することができます。収容人数は約6000人の規模だとのこと。千何百年のも間埋もれていたところ、1970年に発見されたそうです。それでかなり原型が残っているのでしょうね。

カエサルアウグスタ劇場博物館/Museo del Teatro de Caesaraugusta

  • 所在地:Calle San Jorge 12, Zaragoza
  • 開館時間:火~土曜 10:00~14:00 17:00~21:00、日曜 10:00~14:30
  • 閉館日:月曜
  • 入場料:4ユーロ 

トゥボ地区でバル巡りを楽しもう

バルがぎっしり並んだ路地を歩くのは楽しい
<バルがぎっしり並んだ路地を歩くのは楽しい>

さて、旅の楽しみは観光スポットを見てまわることだけではなく、食にもありますね。サラゴサの中心部にはトゥボ地区(Barrio del Tubo)と呼ばれるバル街があります。

旧市街の車は通れない路地からなり、何軒ものバルが並んでいます。特に週末は大賑わい。ぜひここでタパスを楽しんでください。

メニューがマッシュルームだけのバルも。ジューシーで美味
<メニューがマッシュルームだけのバルも。ジューシーで美味!>

サラゴサはマドリードとバルセロナを結ぶ高速鉄道の中間地点にあるので、交通の便はいい町です。両都市間を移動の際に立ち寄ることもできますが、できれば1泊して存分に楽しむことをおすすめします。

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田川敬子(Keiko Tagawa)

1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。

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