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【フランス】アルプスの宝石!美しい湖畔の街アヌシー

フランス南東、スイスとの国境を跨ぐアルプス山脈の湖畔の街アヌシーは、その青く澄んだ湖と運河沿いの旧市街の美しさで、国内外から人気の高い街です。
ヨーロッパ随一の透明度を誇るアヌシー湖の背景に聳え立つ雄大なアルプスの山々、緑豊かな自然公園、木枠や石造りの中世の街並み、可愛いお店と美味しいレストラン、毎年の国際アニメフェスティバル等、さまざまな魅力が小さな街にぎっしり!
アルプス山岳地帯に隠された宝石のような美しい街、アヌシーをご紹介します。
目次
アヌシーの歴史
フランス南東の大都市リヨンを首都とするオーヴェルニュ=ローヌ・アルプ地方の東端、スイス国境近くのアルプス山脈の美しい湖、アヌシー湖。
その湖畔北側に広がるアヌシーの街は、スイスのジュネーブとフランスのシャンべリ、この南北ふたつの街のちょうど中間に位置しています。
この街の美しさは「アルプスの真珠」「アルプスのヴェニス」「青い湖」という愛称で国内外にも知られています。
アヌシーの歴史はとても興味深いものです。この街は、はじめはジュネーヴ領域の一部で、その後サヴォイア公国(サヴォイア家が統治していたイタリア、フランス、スイスにまたがる独立国家)の領地となり、フランス革命時にジュネーヴと共にフランスに渡ります。
その後再びサヴォイア家へと戻され、1860年にようやく現在の形、フランスのオート=サヴォア県(Savoieサヴォアはサヴォイアのフランス読み)の県庁となりました。
ちなみにサヴォイア家というのは、イタリアを統一した現在のイタリア王家の家系です。いつの時代も権力者はきっと「この街が欲しい!」と思ったに違いない。そんな素敵な街の魅力を、3つの区域にまとめてお伝えします。
アヌシー
美しきアヌシー湖周辺
湖水の美しさで有名なアヌシー湖ですが、この湖の風景が強く訪れた人の心を打つのは、雄大なアルプスの山々がバックにあってこそでしょう。
大自然の偉大さに静粛な気分になり、湖上をゆく小さな水鳥たちの姿に癒される。澄んだ空気の中で深呼吸すると、体内の細胞から再生していくような気がしました。
冬にはスキー客のリゾート地、夏場は遊泳、ヨット、ウィンドサーフィン、水上スキーなどのスポーツが楽しめるバカンス地。
湖を一周する遊覧船に乗ったり、ペダルボートで湖に繰り出したりして、この美しい湖の醍醐味を味わって下さい。
湖畔に広がるヨーロッパ庭園(Jardin de l'Europe)は、いつも美しい花々で彩られ、アートモニュメントが展示されています。木陰やベンチも多いので、どんな年齢の人でもゆっくり散歩が楽しめます。
湖水から始まる水路を渡って北には、緑豊かなマルス公園(Champ de Mars)が広がっています。 二つの自然公園を繋ぐのは「愛の橋(Pont des Amours)」というロマンチックな名前の橋で、その周囲は街の喧騒を逃れた恋人たちのデートスポットです。
マルス公園傍の文化センターでは、毎年6月にアヌシー国際アニメーション映画祭が開催されます。1993年「紅の豚」のグランプリでジブリ映画の世界進出に貢献した、日本アニメにも造詣の深い権威あるアニメ映画祭です。
賑やかな運河沿い旧市街周辺
湖から運河に沿って旧市街に入ると、まず目につくのは、アヌシーのシンボル、パレ・ド・リル(Palais de l'Ile)です。運河の中洲に建つこの建物は、1132年にジュネーヴ伯爵の宮殿として誕生し、現在は歴史博物館として内部を公開されています。
旧市街を見下ろせる丘に建つのはアヌシー城(Château d'Annecy)。1219年ジュネーヴ伯爵によって建てたれた城は、16世紀まで歴代領主の住居で、現在は郷土博物館。サヴォア地域の歴史だけでなく、現代アニメやモダンアートの展示も充実しています。
アヌシーの街はスイスのような雰囲気があります。国境が近いからでもありますが、歴史的にみて周辺は国境を越えて、サヴォア地域として同じ文化圏なのです。
島国の日本人には分かりにくい感覚ですが、フランスを旅していると、ベルギーと共有するフランドル文化圏、スペインと共有するバスク文化圏など、東西南北取ったり取られたりの歴史があり、国境が動いたことを実感する機会に遭遇します。
サヴォア料理のレストランでは、サヴォアワインと本場のチーズ料理、フォンデュ(チーズ鍋)、ラクレット(ハムや燻製肉に溶かした熱いチーズをかけたもの)、タルティフレット(チーズがけポテトグラタン)などが楽しめます。
チーズ販売店では、ルブロション、ボーフォール、アボンダンス、ラクレット、エメンタル、トムなど地元のチーズにトライして下さい。アルプスで育つ乳牛からのチーズ、どれも格物の美味しさです。
古くから栄えたアヌシーは、教会の多い街です。サン・ピエール大聖堂(Cathédrale St-Pierre)は、18世紀の哲学者ジャン=ジャック・ルソー(1712 - 1778)が思春期をアヌシーで暮らした頃に、聖歌隊で音楽を学んだ場所だそうです。
後にパリに出て偉大な哲学者となるルソー青年が、保護者的立場のブルジョア夫人との禁断の愛を育んだ街がアヌシーだということです。
アヌーシ城
- 所在地:Pl. du Château, 74000 Annecy, フランス
- 電話:+33485467671
- 公式サイト:アヌーシ城
優雅なインペリアル・パレス
市民や観光客で混雑する中心地を離れ、アヌシーでゆったりと優雅な時間を過ごしたいという方は、少し離れた場所にある湖畔の四つ星ホテル、インペリアル・パレスを利用されてはいかがでしょうか。
かつての宮殿を改造したこの高級ホテルには、カジノ、スパ、レストラン、カフェ、バラ園を臨むテラスなどが揃っているので、お好みのプライベートタイムが楽しめます。
ホテル周辺の散歩道も静かで、雰囲気の良いレストランやカフェを利用するだけでも素敵な経験になるし、宿泊するのなら、温水プールでリラックスして、朝から夕暮れまで部屋から美しい湖畔の風景を独り占め。とても幸せな休日となることでしょう。
インペリアル・パレス
- 所在地:All. de l'Impérial, 74000 Annecy, フランス
- 電話:+33450093000
- 公式サイト:インペリアル・パレス
アルプスの湖畔の街アヌシーはお気に召しましたか?アヌシーへの電車でのアクセスは、パリのリヨン駅から約4時間、リヨンのパール・デュー駅から約2時間、スイスのジュネーヴ駅から約1時間半です。
各街からは直通バスも運行されています。ぜひ訪ねてみてくださいね。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。