フランス最北の都市リルの交通事情+おすすめ郊外スポット

リルには、Ilévia(イレヴィア)と呼ばれる交通網が存在します。イレヴィアのチケットの購入の仕方と料金体系を説明するとともに、イレヴィアを利用して行ってみたいおすすめスポットをご紹介します。

前の記事では、駅から徒歩で回れる範囲のフランス最北の町リル(リール)観光1日モデルコースを紹介しました。>>フランス最北の都市リル、一日あったらどこへ行く?

目次

イレヴィアの交通網

イレヴィアの交通網
<イレヴィアの交通網(イレヴィアサイトからスクリーンショット)>

イレヴィアの交通網は大きく分けて、地下鉄(メトロ)、バス、路面電車(トラム)の3種類です。バスは約140の路線がありますが、地下鉄と路面電車は、それぞれ路線は2つずつです。上の交通網は、イレヴィアの公式サイトでダウンロードすることができます。

イレヴィアの料金体系

イレヴィアのトラム
<イレヴィアのトラム©Kanmuri Yuki>

イレヴィアの交通網の料金は、メトロ、バス、トラムすべて同じで、一回券が1.8ユーロです。この「一回券」は一時間有効で、乗り換えも往復も可能です。

つまり、バスに10分乗った後、メトロに5分乗ってどこかへ行き、30分以内で用を済ますことができれば、同じ切符でそのまま帰宅することもできるわけです。

この一回券を10枚まとめて購入すると15.6ユーロとお得です。

イレヴィアのバス
<イレヴィアのバス©Kanmuri Yuki>

一日乗り放題チケットもあり、料金は5.4ユーロ。19時以降だけの乗り放題チケットは2.5ユーロとなっています。観光客にはあまり縁がないかもしれませんが、3駅以内の移動チケット(別名ZAPチケット)もあって、料金は1.15ユーロとなっています。

このザップチケットは、メトロとトラムでのみ使えます。外国からの観光客の場合、無料なのは4歳未満の子供のみです。

まずはパスを購入

イレヴィア地下鉄の入り口にはMの文字
<イレヴィア地下鉄の入り口にはMの文字が©Kanmuri Yuki>

チャージして使うパス:右が紙製、左がプラスチック製
<チャージして使うパス:右が紙製、左がプラスチック製©Kanmuri Yuki>

「一回券」や「チケット」をご紹介しましたが、実際には紙チケットは存在しません。最初は、カードサイズのパスを購入し、回数券や、一日券、一回券など必要に応じてチャージしなければなりません。

旅行客が購入できるパスは2種類あり、ひとつは紙製0.2ユーロのパス。もうひとつはプラスチック製2ユーロのパスです。どちらを誰が使っても構いません。

一枚のパスに入っているチケットを複数人数で使っても構いません。例えば、2人で旅行していて、常に一緒に移動するのであればパス1枚に2人分のチケットを入れておくので事足ります。

観光でいらっしゃるだけなら、紙製のパス(0.2ユーロ)で十分だと思いますが、このパスには一種類のチケットしか入れられず、チャージも10回までと決まっています。

つまりザップチケットと一日券の同時購入などはできません。このパスは、券売機で簡単に購入できます。

イレヴィアの券売機
<イレヴィアの券売機©Kanmuri Yuki>

地下鉄やトラムの駅には、上のような券売機が並んでいます。パスの購入も、パスへのチャージもこの券売機でできるようになっています。まずは画面をタッチして、パスを購入しましょう。

そのあと、パスにチャージするには、券売機前面にあるホルダーにパスを入れて、それから必要なチケットを画面で選び、カードで支払います。

通常50ユーロ以内であればタッチ決済も可能です。支払いが済んだ後も、チャージが終わるまではパスを動かさないようにご注意ください。

改札方法

一日に3回以上移動する場合を除き、私のおすすめは、10回分の回数券の購入です。二人で旅行する場合は、1時間までの移動が5回できる計算になります。

リル・フランドル駅地下鉄の改札機
<リル・フランドル駅地下鉄の改札機©Kanmuri Yuki>

さて、改札方法ですが、地下鉄は入り口に上のような改札機があるので、いたってわかりやすいです。

改札機詳細
<改札機詳細©Kanmuri Yuki>

この写真の赤く塗られた下のあたりにパスの絵が描いてあるのが見えるでしょうか。そのあたりにパスを近づけると「ピー」と電子音が鳴って、改札が開きます。

もう一人乗りたい時は、もう一度同じ場所にパスを近づけます。すると上の画面に何人乗りますか?と出てくるので、人数を一人追加すればOKです。

上の写真はリル・フランドル駅の地下鉄の入り口ですが、ここなら日中は常に係員がいるので、わからないことがあってもすぐ教えてくれます。

トラム駅の改札機
<トラム駅の改札機©Kanmuri Yuki>

トラムやバスには、地下鉄の改札口のようなものはなく、パスをかざす機械が立っていますので、忘れずにかざしてください。

上の写真は、トラムの駅にある改札機です。トラムの中には、改札機はついていないので、必ず乗る前に改札しましょう。

バスの場合は、バスの中で改札します。通常バスは運転席側から乗りますが、その時、運転席近くにある改札機にパスをかざします。

おすすめ郊外スポット2選

長くなりましたが、ここまでがリル周辺散策に欠かせないイレヴィアの利用方法説明でした。続いて交通機関を利用して、ぜひ行ってみたいリル郊外の観光スポットを2つご紹介しましょう。

(1)ルーベのラ・ピシーヌ美術館

ルーベのラ・ピシーヌ美術館
<ラ・ピシーヌ美術館©Kanmuri Yuki>

ラ・ピシーヌ美術館は、1932年から1985年まで市営プールであった建物を美術館に改築したものです。設計を受け持ったのは建築家バール。

僧院の回廊を思わせる中庭を加えた設計図を引き、ファサードには荘重なビザンチン様式、内装にはアールデコ様式を採用しました。また彼自身がメンバーであったフリーメイソンのシンボルをそれとなく配してあります。

市営プールの役割を終えたのは1985年のこと。その後、建築家フィリポン監修による3年の工事を経て、2001年10月に美術館に生まれ変わりました。

ラ・ピシーヌ美術館のステンドグラス
<ラ・ピシーヌ美術館のステンドグラス©Kanmuri Yuki>

プールは浅くして今も水をたたえ、その縦長の空間の両端からは、朝陽と夕陽をほうふつさせる半円形のステンドグラスを通して外の光が降り注ぎます。

規模はそれほど大きくありませんが、絵画のほか彫刻のコレクションも素晴らしく、作品との距離が近いため、一つひとつ仔細に鑑賞できるのも嬉しいポイントです。

定期的に開催する特別展はいつも人気を博し、近隣諸国からの観光客も増えています。ラ・ピシーヌ美術館へはリル・フランドル駅からメトロと徒歩で30分で行くことができます。

ラ・ピシーヌ美術館

  • 住所:23, rue de l'Espérance、59100 ROUBAIX
  • 開館時間:火~木曜 11:00~18:00、金曜 11:00 ~20:00、土・日曜 13:00~18:00
  • 休館日:月曜、1/1、5/1、昇天祭木曜、7/14、8/15、11/1、12/25
    • 入館料:特別展開催 大人11ユーロ、18歳未満9ユーロ 特別展無 大人9ユーロ、18歳未満6ユーロ。
  • 最寄り駅:メトロ2番線のGare Jean Lebas駅、or バス32番かZ6に乗って停留所Jean Lebas下車
  • 公式サイト:ラ・ピシーヌ美術館

※毎週金曜18時~20時、毎月第一日曜は入館無料
※カヴロワ邸とペアのチケットが19.5ユーロ

(2)クロワのカヴロワ邸

クロワのカヴロワ邸
<カヴロワ邸©Kanmuri Yuki>

もうひとつ忘れてはいけないのが、ルーベ市の隣町クロワにあるカヴロワ邸です。繊維産業で財を成したカブロワ=マイユ―社のオーナー、ポール・カヴロワが自宅用に建てたもので、設計は建築家ロベール・マレ=ステヴァンス。

1932年竣工。アールデコの宮殿を作ればこうなるに違いないと思わせる傑作です。とはいえ、第二次世界大戦時にはナチス・ドイツ軍に占拠され、その後も荒れたまま長く放置されました。

幸い国立モニュメントセンターの多大な働きにより、丁寧な修復が施され、博物館としてオープンしたのはちょうど10年前の2015年6月のことです。

内装は家具と一体になったつくりで、部屋ごとの木材にもこだわりが見られ、すっきりと美しい様式美が堪能できます。室内の灯りはすべて間接照明で、柔らかい光へのこだわりも感じられます。

庭の端から見たカヴロワ邸
<庭の端から見たカヴロワ邸©Kanmuri Yuki>

サロンから見る庭園の眺めももちろん美しいですが、私は庭の端まで歩いて行って見るカヴロワ邸の外観が気に入っています。

いまやオランダや英国からの観光客もバスでやってくるほどの人気スポットとなったカヴロワ邸。リル・フランドル駅からはトラムと徒歩で約40分の距離です。

カヴロワ邸

  • 住所:60 Av. du Président John Fitzgerald Kennedy, 59170 Croix, フランス
  • 開館時間:10:00~18:00(入館は17:15まで)
  • 休館日:月曜、1月1日、5月1日、12月25日
  • 入館料:11ユーロ(18歳未満は無料)、第1日曜 入館無料
  • 最寄り駅:トラム(ルーベ線)Villa Cavrois停留所下車徒歩15分
  • 公式サイト:カヴロワ邸 

※ラ・ピシーヌ美術館とペアのチケットが19.5ユーロ

フランス北部に2日以上いらっしゃる方は、ぜひ交通機関イレヴィアを乗りこなして、郊外のさまざまなスポットも楽しんでくださいね。

(冠ゆき)

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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