江戸時代の旅人気分で伊勢参り 外宮と内宮を結ぶ最古の道「伊勢古市参宮街道」を紹介

伊勢古市参宮街道

伊勢の外宮から内宮へ向かう「伊勢古市参宮街道」は、お伊勢参りとともに栄え、中でも"古市"は江戸の吉原、京の島原と並ぶ三大遊郭がありました。

本記事では、当時の面影が残る街道沿いのスポットを中心に紹介。徒歩やレンタサイクルを活用し、江戸時代の旅人気分でお伊勢参りをしてみませんか。

目次

伊勢古市参宮街道とは

小田橋
<小田橋>

「伊勢に行きたい伊勢路がみたい、せめて一生に一度でも」。

江戸時代、伊勢参りは庶民の夢でした。特に、文政13(1830)年の「おかげ参り」は全盛期を迎え、500万人近くの参拝者があったといわれています。

外宮と内宮を結ぶ最古の道「伊勢古市参宮街道」は、小田橋~牛谷坂までの小高い丘陵沿いを指します。明治時代以降は通称「御幸道路」など別の道路が整備され、古市を経由せずに内宮へ行くことができますが、昔は外宮を参拝した後に、唯一の道「伊勢古市参宮街道」を歩いて内宮へ向かいました。

江戸時代の街道筋は妓楼や芝居小屋が立ち並び、十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」で有名な弥次さん、喜多さんも歩いたと記されています。残念ながら、大火や空襲により、当時の面影はほとんど残っていません。

お杉お玉の碑

お杉お玉の碑
<お杉お玉の碑>

民家の一角にある「お杉お玉の碑」。江戸時代に間の山(あいのやま)の掛小屋やむしろ囲いで、三味線や胡弓(こきゅう)などを弾いて歌い、旅人が銭を投げるとバチで受けたり体を動かして避けたりしました。

伊勢古仁屋(こびとや)で休憩

伊勢古仁屋店内
<伊勢古仁屋店内>

2023年にオープンした伊勢市内で唯一のわらび餅専門店。強い引きがあり、優しい口どけの南九州産の本わらび粉を使用しています。

きな粉、伊勢茶、ほうじ茶などに加え、新たにわらび餅×チーズをブレンドした商品「わらびもっちーず」も登場。街道沿いにはほかに休憩する店がないので、ぜひ寄っていただきたいです。

伊勢古仁屋

  • 所在地: 三重県伊勢市古市町198
  • 電話:0596-67-6997
  • 営業時間:11:00〜17:00 土・日曜・祝日 10:00〜17:00
  • 定休日:月曜(月曜が祝日の場合、翌日定休日)
  • 公式サイト:伊勢古仁屋 

麻吉旅館

麻吉旅館
<麻吉旅館>

創業は不明ですが、天明2(1782)年の「古市街並図」に名前があります。もとは「花月楼 麻吉」という茶屋で、明治時代は県内でも珍しい三層楼の建物として知られ、伊勢音頭の舞台も持ち、芸奴も常時30人ほどを抱える第一級の大料理店でした。

現在は中心となる建物が五棟あり、懸崖造りで最上層まで六層に及んでいます。かつての町の華やかさをしのぶことのできる唯一の存在。

2005年に国の登録有形文化財(建造物)に登録されています。現在は客室が6室あり、宿泊可。宿泊せずに、鳥羽や志摩、南伊勢産の魚介が中心の献立で、1品ずつ順に提供する和食コースの夕食を予約することもできます。

麻吉旅館

  • 所在地:三重県伊勢市中之町109-3
  • 電話:0596-22-4101
  • 公式サイト:麻吉旅館 

油屋跡

油屋跡
<油屋跡>

寛政8(1796)年に妓楼・油屋で起こった青年医師 孫福斎によるお紺の殺傷事件。のちに近松徳三により、「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」という歌舞伎になり、現在もたびたび上演されています。

伊勢古市参宮街道資料館

伊勢古市参宮街道資料館
<伊勢古市参宮街道資料館>

参宮街道や江戸と上方の役者の登竜門でもあった伊勢歌舞伎、日本の三大妓楼のひとつとして著名であった古市妓楼などの関係資料を展示しています。

「間の山 お杉お玉」が明治、大正、昭和に興行として実際に使用した三味線や、明治初の興行小屋の様子を写真パネルなどで紹介。「油屋」の錦絵も見ることができます。

江戸時代に流行した抜け参りの時は、必ず「柄杓」を手にして伊勢に向かい、柄杓を見せると伊勢参りと認められて、関所が通過でき、街道では飯や水を無料で施してもらいました。

いわゆる「通行手形」の役割を担っていました。実際に使用された柄杓も展示されています。

伊勢古市参宮街道資料館

  • 所在地:三重県伊勢市中之町69
  • 電話:0596-22-8410
  • 開館時間:9:00~16:30
  • 休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12/29~1/3)
  • 入館料:無料
  • 駐車場:約5台
  • 公式サイト:伊勢古市参宮街道資料館

宇治惣門跡

宇治惣門跡
<宇治惣門跡>

旧参宮街道の牛谷坂と宇治の町並みとの間に設けられ、俗に「黒門」と呼ばれる番屋が明治維新までここにありました。

伊勢古市参宮街道の交通手段は

伊勢古市参宮街道は道幅が狭く、駐車スペースがないため、徒歩またはレンタサイクルをおすすめします。

JR伊勢市駅近くの「伊勢市駅手荷物預かり所」またはJR伊勢市駅から徒歩5分の「外宮前観光サービスセンター」でシティサイクル、電動アシスト自転車の貸し出しをしています。

なだらかな坂道が続くので、電動アシスト自転車のほうが楽だと思います。

まとめ

外宮と内宮を結ぶ最古の道「伊勢古市参宮街道」を紹介しました。ほかに「油屋跡」で紹介した「お紺」と「孫福斎」の比翼塚がある「大林寺」、芸能の神様といわれ、歌舞伎役者なども参拝に訪れる「長峯神社」、徳川家康の孫「千姫」の菩提を弔うために建立された「寂照寺」などの見どころもあります。

紹介したコースの所要時間は約1、2時間。旧道のためトイレが少ないので、ご注意を。それでは、観光を楽しんでください。

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haruharu

伊勢生まれの伊勢育ち。昔から旅行が好きで、学生時代はユースホステリング部に所属。仲間と共に、北海道や九州、米国を旅しました。50歳を過ぎたあたりから、地元の歴史にも興味が。旅行者の視点で楽しめる記事を紹介します。

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