日本三名園はどこにある? 偕楽園、兼六園、後楽園の見どころを紹介

日本には数えきれないほどの美しい庭園がありますが、その中でも「日本三名園」として特に名高い庭園が3つ(偕楽園、兼六園、後楽園)存在します。

それぞれの庭園には個性豊かな景観や独自の歴史があり、一度は行ってみたい所ばかりです。本記事では、日本三名園の魅力や見どころ、さらには庭園を巡る際に立ち寄りたい周辺観光スポットも含めてご紹介します。

目次

<1. 日本三名園とは>

<2. 日本三名園はどこにある?>

<3. 日本三名園その1:偕楽園>

<4. 日本三名園その2:兼六園>

<5. 日本三名園その3:後楽園>

<6. 日本三名園に行ってみませんか?>

1. 日本三名園とは

日本三名園とは、日本を代表する3つの庭園、「偕楽園(かいらくえん)」「兼六園(けんろくえん)」「岡山後楽園(おかやまこうらくえん)」のことです。いずれも江戸時代の藩主によって造られた大名庭園で、当時の武士や貴族の文化を今に伝えています。

「日本三名園」という名称の由来ははっきりしていませんが、1899年に発行された『日本三名園之一後楽園新図(しんず)』で使われたのが最初と言われています。

これらの庭園は、池を中心に庭園内を巡りながら景色を楽しむ「池泉(ちせん)回遊式庭園」として設計されており、それぞれ異なる美しさを持っています。また、三名園は「雪月花」にたとえられ、兼六園は「雪」、岡山後楽園は「月」、偕楽園は「花」を表すとされています。

2. 日本三名園はどこにある?

日本三名園の場所

偕楽園は、徳川御三家のひとつである水戸藩の城下町、茨城県水戸市に位置し、江戸時代に第9代藩主・徳川斉昭(なりあき)によって造られました。

兼六園は、石川県金沢市の中心部に位置し、加賀藩の歴代藩主が長い年月をかけて整えた、江戸時代を代表する大名庭園です。

岡山後楽園は、岡山県岡山市にあり、約300年前に岡山藩2代目藩主・池田綱政(つなまさ)が藩士や家族の憩いの場として造営しました。

これらの庭園はすべて江戸時代に造られ、当時の歴史や文化を今に伝えています。

3. 日本三名園その1:偕楽園

偕楽園
<出典元:写真AC

水戸藩主・徳川斉昭が、千波湖畔の景勝地を選び、1842年に開園したのが偕楽園。

徳川斉昭は、民とともに楽しむ場を提供したいと考え、「偕(とも)に楽しむ」という理念を込めてこの庭園を造営したと言われています。1922年には「常盤(ときわ)公園」として国の史跡名勝に指定され、2015年には「近世日本の教育遺産群」として日本遺産にも認定されています。

偕楽園の見どころは?

偕楽園は、約100品種・約3,000本もの梅が植えられている梅の名所でもあります。特に12月下旬から咲き始める「冬至梅」や、3月下旬頃が見頃となる「江南所無(こうなんしょむ)」など、多種多様な梅の花を楽しむことができます。花の形や香り、色が優れた梅は「水戸の六名木」として親しまれています。

また、好文亭(こうぶんてい)も見逃せないスポットです。1840年に徳川斉昭自身が設計した好文亭は、木造2層3階建ての本体と、北側にある平屋建ての奥御殿から成ります。好文亭内のふすま絵には、竹や桜など植物にちなんだ部屋の名前に合わせた美しい絵が描かれ、大きな見どころとなっています。また、3階にある「楽寿楼(らくじゅろう)」からは、千波湖や梅林の雄大な景色を一望することができます。

偕楽園の楽しみ方

梅の名所である偕楽園では、毎年2月中旬から3月下旬にかけて「水戸の梅まつり」が開催され、多くの観光客でにぎわいます。また、梅はもちろん、桜のシーズンには「水戸の桜まつり」、4月下旬から5月中旬には「水戸のつつじまつり」、9月には「水戸の萩まつり」と、1年を通してさまざまな花見を楽しめるイベントが行われます。広大な自然と歴史的な施設を満喫できる偕楽園は、いつ訪れても四季折々の風景を楽しめるのが魅力のひとつです。

偕楽園へのアクセス方法

【バス】

  • (茨城交通バス):水戸駅北口4番発〜好文亭表門・偕楽園東門・偕楽園前下車後、徒歩約3〜5分
  • (関東鉄道バス):水戸駅北口6番発〜偕楽園・千波湖下車後、徒歩約10分

【車】

  • 常磐自動車道 水戸ICから約20分
  • 北関東自動車道 茨城東IC/水戸南ICから約20分

【タクシー】

  • 水戸駅から約10分

【住所&公式サイト】

  • 住所:茨城県水戸市常磐町1-3-3
  • 公式サイト:偕楽園

偕楽園周辺の観光スポット

偕楽園の隣には、水戸市民の憩いの場である千波湖があります。湖を1周する散策コースや、隣接する千波公園では、アスレチック施設やボート乗り場、広々とした芝生の広場があり、子どもから大人まで楽しむことができます。桜並木の遊歩道もあり、季節ごとの景色を楽しみながらゆったりと散歩するのもおすすめです。

また、水戸徳川家の歴史を学べる「徳川ミュージアム」も人気の観光スポットのひとつ。約3万点の道具類や古文書類を収蔵しており、テレビドラマ『水戸黄門』で知られる徳川光圀公(みつくにこう)が所用していた印籠など、貴重な品々を鑑賞できます。そのほか、水戸芸術館や茨城県立歴史館などもあり、アートや歴史散策も楽しめるエリアです。

4. 日本三名園その2:兼六園

兼六園
<出典元:写真AC

兼六園の歴史は、1676年に加賀藩主・前田綱紀(つなのり)が、金沢城の傾斜地に別荘を建てたことから始まります。その別荘の周囲を庭園として整備したものが、現在の兼六園です。

園名は、中国の詩人・李格非(り かくひ)の『洛陽名園記』に由来し、宏大(こうだい)・幽邃(ゆうすい)・人力(じんりょく)・蒼古(そうこ)・水泉(すいせん)・眺望(ちょうぼう)の六勝を兼ね備えていることから「兼六園」と命名されました。1922年に国の名勝に指定され、1985年には特別名勝に指定されています。

兼六園の見どころは?

兼六園の雪吊り
<出典:写真AC

雪月花の「雪」にたとえられる兼六園は、冬に施される雪吊りが有名です。金沢の雪は湿って重いため、松の枝が折れないよう縄で枝を支える雪吊りが行われます。なかでも、13代藩主・前田斉泰(なりやす)が琵琶湖畔の唐崎松から種子を取り寄せて育てた黒松の雪吊りは、その大きさと美しさから兼六園の代表的な光景となっています。

また、徽軫灯籠(ことじとうろう)は、霞が池の北岸に位置し、兼六園のシンボルとして知られています。灯篭の二本脚は琴の糸を支える琴柱(ことじ)を模しており、名前もそこから来ているそうです。特に雪景色の中での徽軫灯籠は、人気の撮影スポットとなっています。

兼六園の楽しみ方

兼六園は、約11.4ヘクタールもの広大な敷地を有するため、園内をより深く理解するためにガイドツアーに参加するのがおすすめです。知識豊富なガイドによる解説を聞きながら、庭園の歴史や植物について学べます。雪吊りや池泉回遊式庭園の成り立ちについての解説を聞きながら、庭園内を巡るのも楽しみ方のひとつです。

また、庭園内には歴史ある茶店も多く点在しており、庭園散策の途中で一息つくのにぴったり。築100年以上の風情ある建物で食事を楽しめる堤亭や、日本最古の噴水を目の前に臨む兼六亭など、それぞれの店で異なる雰囲気を味わえます。金沢の和菓子や抹茶を堪能しながら、庭園の風景を楽しめますよ。

兼六園へのアクセス方法

【バス(城下まち金沢周遊バス)】

  • 「右回りルート」:金沢駅東口7番発〜兼六園下・金沢城(石川門向い)6番停留所下車後、徒歩すぐ
  • 「左回りルート」:金沢駅東口7番発〜兼六園下・金沢城(白鳥路前)9番停留所下車後、徒歩すぐ

【車】

  • 北陸自動車道 金沢西ICから約30分
  • 北陸自動車道 金沢森本ICから約20分

【タクシー】

  • 金沢駅から約10分

【住所&公式サイト】

  • 住所:石川県金沢市兼六町1
  • 公式サイト:兼六園

兼六園周辺の観光スポット

兼六園の周辺には、金沢市を代表する観光スポットが集まっています。なかでも茶屋街は人気の観光スポットで、江戸時代の風情が色濃く残るひがし茶屋街は、金沢らしい情緒を感じられます。近くには主計(かずえ)茶屋街もあり、レトロな街並みを楽しめる人気のエリア。茶屋街には多くのカフェやお土産店があるので、散策しながら美味しい和菓子や工芸品を楽しめます。

また、兼六園から徒歩約3分の金沢21世紀美術館は、国内外の現代アートを展示する美術館として人気があります。中庭にある「スイミング・プール」は、プールの中に入って水面を見上げるような体験ができる個性的な展示で、多くの観光客が訪れています。

5. 日本三名園その3:後楽園

後楽園
<出典元:写真AC

後楽園(岡山後楽園)は、岡山藩主・池田綱政が、藩主のやすらぎの場として作庭した庭園です。江戸時代には「御後園(ごこうえん)」と呼ばれ、綱政みずから能を舞ったり、歴代藩主が客をもてなしたりする場としても使用されてきました。1934年の水害や1945年の戦災で被害を受けましたが、江戸時代の絵図に基づいて復元され、当時の姿をほぼそのまま受け継いでいます。1922年に国の名勝に、1952年には特別名勝に指定されました。

後楽園の見どころは?

後楽園の見どころのひとつが、園内の中心に位置する「延養亭(えんようてい)」です。藩主の居間として使用されていた建物で、戦災で焼失しましたが、築庭当時の間取りを忠実に再現して復元されています。

また、池田綱政自身が能を舞った能舞台もあり、1年を通して能や狂言が上演されています。さらに、庭園のほぼ中央に位置する「唯心山(ゆいしんざん)」も大きな見どころです。唯心山は、池田継政の時代に築かれた約6mの山で、サツキやツツジなどの花々が咲く美しい景色を楽しめます。

後楽園の楽しみ方

広大な庭園内に設けられた散策路は、中央にある「沢の池」を囲むように配置されています。庭園をゆっくりと楽しみたい方や、主要なスポットを順に巡りたい方には、好みに応じて選べる周遊プランから園内を巡るのもおすすめです。散策コースは約40分から2時間までの3つのルートがあり、それぞれ異なる景観を楽しむことができます。

また、8月と11月には、夜間限定の「幻想庭園」ライトアップイベントが開催され、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を味わえます。

後楽園へのアクセス方法

【バス】

  • 岡電バス:岡山駅発〜後楽園前下車後、徒歩すぐ

【路面電車】

  • 岡山駅前駅発〜城下駅下車後、徒歩10分

【車】

  • 山陽自動車道 岡山ICから車で約20分

【タクシー】

  • 岡山駅から約10分

【住所&公式サイト】

  • 住所:岡山県岡山市北区後楽園1-5
  • 公式サイト:後楽園

後楽園周辺の観光スポット

後楽園からほど近い場所にある岡山城は、その黒漆の外観から、別名「烏城(うじょう)」とも呼ばれています。城内を見学できるだけではなく、備前焼作り体験も楽しめます。

また、岡山後楽園と岡山城の両方を眺められる「おかやま旭川遊覧クルーズ」も高い人気があります。さらに、縁結びや商売繁盛にご利益のある岡山神社も外せない観光スポットです。主祭神「モモソヒメ」にちなんで、桃の形をした「開運厄除桃みくじ」があり、観光客に人気のお土産となっています。

日本三名園に行ってみませんか?

本記事では、日本三名園の魅力に加え、それぞれの庭園の見どころや楽しみ方についても詳しくご紹介しました。1年を通して美しい姿を見せる庭園は、訪れるたびにまた違った一面を見せてくれます。ぜひ、次回の旅行プランを考える際の参考にしてみてくださいね。

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