公開日:
最終更新日:
静かに歩いてみたい日本の古道まとめ! 熊野古道以外にもこんなにある?
日本では、古くからさまざまな目的で深い山のなかなどに道が整備され、多くの人がそのような「古道」を渡り歩いてきました。なかでも和歌山県にある「熊野古道」は有名で、自然と人間の営みにより育まれた文化的景観が高く評価されたことから、世界遺産に登録されています。
国内にはほかにも多くの独特な古道があり、雄大な自然の景観や史跡、神秘的な雰囲気を堪能できます。
今回の記事では、静かに歩いてみたい日本の古道10選を紹介します。北海道から沖縄まで魅力的な古道をくまなく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
<1. 日本には静かに歩いてみたい神秘的な古道がたくさん!>
- 2.1 増毛山道(ましけさんどう)・濃昼山道(ごきびるさんどう)<北海道>
- 2.2 恐山古道(おそれざんこどう)<青森県>
- 2.3 箱根旧街道<神奈川県・静岡県>
- 2.4 中山道(なかせんどう) 信濃路自然遊歩道<長野県・岐阜県>
- 2.5 山辺(やまのべ)の道<奈良県>
- 2.6 熊野古道<三重県、奈良県、和歌山県、大阪府>
- 2.7 石見銀山街道(いわみぎんざんかいどう)<島根県>
- 2.8 四国遍路道<徳島県・香川県・愛媛県・高知県>
- 2.9 英彦山(ひこさん)峰入り道<福岡県・大分県>
- 2.10 真珠道(まだまみち)<沖縄県>
1. 日本には静かに歩いてみたい神秘的な古道がたくさん!
古道とは、古くから使用されてきた痕跡を残す旧道のことです。自然発生的な古道や山のなかを通る「山岳古道」などのほか、「熊野古道」のように霊場を目指して巡礼者が歩いた道もあります。
現在でも古道には、雄大な自然景観や昔から変わらない石畳などが残っています。その歴史や神秘的な雰囲気などに注目が集まり、有名な古道には国内外から観光客が多く訪れます。古道の多くは貴重な歴史遺産として保存が進められ、多くの人々を魅了しています。
2. 北海道から沖縄まで!日本の古道10選
ここでは、北海道から沖縄まで、一度は歩いてみたい日本の古道10選を紹介していきます。
1. 増毛山道(ましけさんどう)・濃昼山道(ごきびるさんどう)<北海道>
<出典元:写真AC>
北海道の山岳古道として知られる「増毛山道(ましけさんどう)」と「濃昼山道(ごきびるさんどう)」は、江戸時代後期に整備された道です。
山道が完成したのは1857年で、北方警備などの目的で開通されました。しかし、周辺に国道が整備されたことで使われなくなり、20世紀後半頃には忘れられた道として扱われてしまいます。
その後、近代北海道の歴史遺産として価値があるものと考えられるようになり、地元住民による復元作業が開始。2005年に濃昼山道が、2016年に増毛山道が復元され、2018年には北海道遺産に選定されました。
それぞれの山岳古道では、季節ごとの美しい風景や、当時の電信柱などから開拓時代の雰囲気を味わえる点が魅力。ただし、増毛山道は現在一般の立ち入りが禁止されているため、トレッキングを希望する場合は「NPO法人増毛山道の会」へ問い合わせてみましょう。
【増毛山道】
- 住所:北海道石狩市浜益区幌~増毛郡増毛町
- 公式サイト:増毛山道
【濃昼山道】
- 住所:北海道石狩市厚田区濃昼
- 公式サイト:濃昼山道
2. 恐山古道(おそれざんこどう)<青森県>
<出典元:写真AC>
下北半島の中央部にある「恐山古道(おそれざんこどう)」は、日本三大霊場である恐山菩提寺へとつながる参詣道です。
1100年以上も前に慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)によって開かれた恐山は、古くからあの世に1番近い場所と称されてきました。そのため、現在でも親しい人をじっくり供養したい人や、個人を偲びたい人などが多く詰めかけます。
恐山まで続く古道は、多くのお地蔵様が祀られ硫黄の匂いが漂う、独特の雰囲気を持つ道です。山道を抜けると、この世とあの世への架け橋といわれる「太鼓橋」、岩場から吹き出す火山性ガス、「極楽浜」と呼ばれる湖などが見られ、スピリチュアルな雰囲気が味わえます。
恐山特有の張り詰めた空気と雄大な景色を、ぜひ現地で堪能してみてください。
- 住所:青森県むつ市大字田名部字宇曽利山3-2(恐山菩提寺)
- 公式サイト:恐山霊場/恐山菩提寺
3. 箱根旧街道<神奈川県・静岡県>
<出典元:写真AC>
「箱根旧街道」は、神奈川県小田原市から静岡県三島市までの約32kmにわたる古道です。難所として知られる箱根峠を超えるために、徳川幕府の手によって整備された古道で、昔の面影を感じる関所などが保存・復元されています。
石畳が配置されているものの、標高差が800mにも及ぶ険しい峠道です。ただし、多くの史跡があり美しい自然景観も多数見られるため、歩いてみる価値は存分にあるでしょう。
江戸時代の旅人へと思いをめぐらせ、川音や木々の音に耳を澄ませながら、静かに歩いてみてください。
- 住所:神奈川県足柄郡箱根町畑宿
- 公式サイト:旧街道石畳
4. 中山道(なかせんどう) 信濃路自然遊歩道<長野県・岐阜県>
<出典元:写真AC>
「中山道(なかせんどう)信濃路自然遊歩道」は、中山道69次のうち43番目の宿場町「馬籠宿(まごめじゅく)」と、42番目の宿場町である「妻籠宿(つまごじゅく)」を結ぶ、全長約9kmの道です。
馬籠宿・妻籠宿ともに、江戸時代を彷彿とさせる建物が数多くあり、宿場町として栄えた時代を実感できます。
遊歩道の道中にも、歴史を感じられる石畳や、江戸時代中期の建物である茶屋など、見どころが豊富。宮本武蔵が修行をしたとされる「男滝(おだき)」、雄大な木曽の山々や植物など、美しい自然も満喫できます。
ノスタルジーな雰囲気と壮大な自然を味わいたい場合は、信濃路自然遊歩道に足を運んでみましょう。
- 住所(馬籠観光案内所):岐阜県中津川市馬籠4300-1
- 公式サイト:中山道ハイキング
5. 山辺(やまのべ)の道<奈良県>
<出典元:写真AC>
「山辺(やまのべ)の道」は、奈良県の天理市から桜井市までを結ぶ古道。日本最古の道といわれ、『日本書紀』にもその名が記されています。
長い歴史を誇る山辺の道には、広大な古墳や日本最古の神社のひとつとして知られる「大神(おおみわ)神社」、万葉集ゆかりの地名や三輪そうめん・和菓子を味わえる食事処など、見どころが豊富にあります。
緑溢れる自然や奈良盆地、大和三山などの雄大な景色も見ごたえがあり、古道の持つ魅力を存分に味わえるでしょう。
日常の喧騒から解き放たれ、心地良い時間を過ごせる山辺の道で、ぜひリフレッシュしてみてください。
- 住所:奈良県天理市〜奈良県桜井市
- 公式サイト:山の辺の道(天理~桜井)
6. 熊野古道<三重県、奈良県、和歌山県、大阪府>
<出典元:写真AC>
三重県、奈良県、和歌山県、大阪府にまたがる「熊野古道」は、熊野本宮大社をはじめとする「熊野三山」につながる参詣道のことです。自然と人間の営みにより育まれた文化的景観が高く評価され、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界遺産に登録されました。
和歌山県田辺市から那智勝浦町までつながる「大辺路(おおへち)」や、高野山から熊野本宮大社へつながる「小辺路(こへち)」など、計6つのルートがあります。
最も参詣者が多かったとされる道は、田辺市から新宮市までを結ぶ「中辺路(なかへち)」で、後鳥羽天皇や和泉式部などもこの道を歩いたのだとか。ほかにも、西国巡礼者に利用されていた「伊勢路(いせじ)」や、由緒ある寺や歴史を感じる建物が見られる「紀伊路(きいじ)」など、個性的なルートがそろいます。
散策コースには道中が険しく数日かけて歩くものもありますが、1〜2時間で挑戦できるコースも。目的や体力に応じて、選択すると良いでしょう。
神聖な雰囲気を味わったり、当時の参拝者へ思いを馳せたりしながら、日本が誇る古道を満喫してみてくださいね。
- 住所(熊野本宮大社):和歌山県田辺市本宮町本宮
- 公式サイト:熊野本宮大社
7. 石見銀山街道(いわみぎんざんかいどう)<島根県>
<出典元:写真AC>
16世紀後半頃に整備された「石見銀山街道(いわみぎんざんかいどう)」は、石見銀山で採掘された銀を輸送するための道として使われてきました。石見銀山は、「石見銀山遺跡とその文化的景観」として、2007年に世界遺産に登録されています。
石見銀山街道は、島根県の大田市から広島県尾道市までを結ぶ全長約130kmの街道。石見銀山から尾道まで、かつては3泊4日かけて銀を運んでいたとされており、宿場などの面影が残っているところもあります。
全長約130kmもある石見銀山街道のなかで、おすすめの散策道といえるのが「やしなお道」です。島根県邑智郡美郷町にある「やしなお道」は、現在でも当時の雰囲気や土木工事の遺構が残っており、2018年には国史跡指定となりました。
森林浴スポットとしても有名で、銀山にまつわる史跡のほか、珍しい花やキノコなども見られる「やしなお道」は、石見銀山街道でぜひ歩いてみたい道のひとつでしょう。
- 住所(美郷町観光協会):島根県邑智郡美郷町粕渕355-1 101号室
- 公式サイト:銀山街道ウォーク
8. 四国遍路道<徳島県・香川県・愛媛県・高知県>
<出典元:写真AC>
「四国遍路道」は、四国4県にある弘法大使ゆかりの全88箇所の霊場をめぐる、約1,400kmにも及ぶ巡礼道です。「お遍路」と呼ばれ親しまれていて、煩悩を清めて自身の行いを見つめ直すためにめぐる道とされています。
近年では健康祈願や自分探しなど、様々な目的で巡礼する人も増え、四国を代表する体験として四国遍路は定着しています。
札所は全部で88箇所ありますが、必ずしも全ての札所を訪れる必要はなく、自分が行ける範囲で自由にめぐって問題はありません。
昔は遍路道を歩いて巡礼するのが普通でしたが、現在は公共交通機関や車・自転車など、多彩な交通手段を使って巡礼が行われている点も特徴的。基本のルールや歴史を尊重しつつも、自分にあった方法で遍路道を歩んでみましょう。
- 住所((一社)四国八十八ヶ所霊場会事務所):香川県善通寺市善通寺町1065-1
- 公式サイト:(一社)四国八十八ヶ所霊場会
9. 英彦山(ひこさん)峰入り道<福岡県・大分県>
<出典元:写真AC>
九州の福岡県と大分県の県境に位置する、「英彦山(ひこさん)峰入り道」。英彦山は、「日本三大修験道」のひとつとして知られています。
英彦山は山岳宗教の一大拠点として栄え、最盛期には宿坊が山の中に3,000、里に800近くもあったのだとか。現在でも英彦山には、石碑や仏像、社などの史跡が数多く残されていて、神秘的な雰囲気が漂っています。
コースには初心者向けのものもありますが、きつい上りが続くなど険しい道となっているため、登山靴などを用意し万全の準備で歩くようにしましょう。
- 住所:福岡県田川郡添田町英彦山
- 公式サイト:英彦山
10. 真珠道(まだまみち)<沖縄県>
<出典元:写真AC>
「真珠道(まだまみち)」は、琉球王朝時代に整備された街道で、那覇市の首里城から貿易の拠点である那覇港までを結んでいるもの。真珠道の起点は首里城の守礼門周辺で、現在もその面影が残っています。海賊の進撃から琉球を守ることが主な目的であったとされており、有事の際に兵士を派遣する道として使われていました。
真珠道の一部として知られる「首里金城町の石畳道」では、当時の風情を感じられる約300mの石畳道が見られ、散策におすすめです。琉球王朝時代の伝統的な街並みの雰囲気を味わいながら、静かに歩いてみたい古道です。
- 住所:沖縄県那覇市首里金城町1丁目
- 公式サイト:真珠道
古くから地域住民や旅人、参拝者などのために整備された古道は、熊野古道以外にも日本各地に数多く点在しています。雄大な自然のなか、貴重な史跡が見られる古道を歩いていると、心が浄化されたような清々しい気分になれることでしょう。
古き良き日本を体感してみたいと思ったら、ぜひ古道や街道を静かに歩いてみてくださいね。
関連記事
Ranking国内エリア記事ランキング
-
国内の人気観光地研究部
- 定番、流行、穴場、全国のあらゆる観光スポットをご紹介!