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海外旅行で私が実際に体験した有名詐欺!旅行者が引っかかりやすい手口とは?
<TOP画像:列車から乗り出す。連結部分にドアがないのは当たり前(インド)>
「海外で何か怖い思いとかしたことないんですか?」わたしが海外旅行好きだと知ると、結構な確率で訊かれるのがこの質問だ。
それは、わたしも安全といわれる国ばかりへ行っているわけではないので、それなりに危険な状況に遭遇することもある。しかし、ご先祖様のおかげか、自分の危機管理能力の高さからか、そこまで酷い状況に遭遇したことはない。わたしは運がいいのだと思う。
その代わりと言っては何だが、「詐欺」に遭遇、もしくは未遂に遭うことは結構多い。今回は、ガイドブックやネットの記事に出て来る海外の詐欺事件に、実際に遭遇したときの体験談を赤裸々に書いていく。
目次
インドの旅行代理店詐欺
<インドのバラナシ、ガンジス川のほとりを歩く>
2012年当時、わたしが知らなかっただけで、有名なガイドブックにはよくある詐欺として注意喚起されていた。これは今も昔もずっと残っている。ざっくりと内容を話すと、旅行代理店に連れていかれて強制的に高額なツアーを組まされるというもの。
インドへ行ったことがある人なら分かると思うが、インドの物価は今でもかなり安い。だいぶ高くなったとはいえ、食べ物や交通などは日本よりずっと安い。そんな中で何万円、何十万円という高額なツアーが組まれるのだ。日本人には払えない額ではないが、あり得ない額である。
オールドデリー駅に降り立ったわたしは、とりあえず街をぶらつくことにした。宿も取っていなければ、この街に滞在するのかもまだ決めていなかった。インドでは50m進むのにも15分かかる。それは「心を開いて旅をする」と決めたからであったが、この話はまた別のときにでもさせてもらえればと思う。
さて、そんなとき、日本語で話しかけられた。まず、注意しなければならないのは、日本語を流暢に話す外国人だ。これはインドに限ったことではないが、彼らが日本語を覚えるのには2つの理由しかない。
1つは日本の文化や日本語に興味があって覚えたか、もう1つは日本人を騙そうと思って覚えたか......。残念ながら後者のほうが都心部では圧倒的に多い。だから本当は注意しなければならないのだが、心を開いて旅をすることとはつまり、映画に例えるならジム・キャリーの『イエスマン』のようなもので、他人を疑うことなどまずない、答えはいつでもイエス。だからその男のことも簡単に信じた。
男は、自分はこういうものだと名刺を渡してきた。シャツにスラックスというきれいな格好をしていた。この近くでビジネスをしているらしい。
これからどこを見て回るつもりかと訊かれたので、わたしはまだ何も決めていないと答えた。すると男は、オートリクシャーを捕まえてわたしに言った。
「これに乗ってわたしが勧める旅行代理店に行ってみなさい。まだ行き先を決めていないのだったら、きっと役に立つはずだよ」さらに男はオートリクシャーの男と料金交渉したのか、運賃は10ルピー(約20円)でいいと言ってくれた(後から知るが、とてもこの運賃で行けるような距離ではなかった)
何も知らないわたしは、男に礼を言って勧められるがままオートリクシャーへ乗り込んだ。
連れていかれたのはコンノートプレイス。ビジネスと商業の拠点といわれるエリアで、飲食店やブランドショップ、土産物屋なんかがそこかしこにある大きな広場だった。わたしを乗せたオートリクシャーは脇道に入って停車した。ドライバーから角にある路面店にいくよう指示が出される。
この時点で何も不安でないと言えば嘘になるが、日中のこの時間帯のこの場所で何かがあるとも思えなかった。入口から店内に入るとすぐにカウンター席を案内された。日本の旅行代理店と同じように、カウンターで対面接客するスタイルのようだ。
「何、お兄さんはどこ行きたいの?」若いインド人男性が目の前に座り流暢な日本語で話しかけてきた。ちょっと鼻につく日本語だが、英語が話せないわたしにはありがたい。
デリーに来てから急に日本語を話すインド人が増えた印象だった。周りを見るとスタッフは全員若者で、タトゥーが目立つ。これまで南インドではあまり見てこなかったタイプのインド人だ。
アーグラ、バラナシ、ブッダガヤ、ジャイプル、ジャイサルメール......目の前の男はわたしの知らない地名を挙げてきた。そのどれもが有名な地のようだ。しかし......どこも高い。自分が騙されているとも思わないが、高額すぎて決めることができない。比較する情報を持たずに来てしまったことを今更ながら後悔した。
わたしはこの時点でもまったく彼らの企みが分かっていなかった。むしろ、もらった甘いチャイを飲みながら普通に悩んでいた。そうこうしているとお腹も空いてきて、いったんわたしは食事をしてくると伝えた。ちょうどお昼どきだった。
ところが、この提案は頑として断られた。何が食べたいのだと訊かれても、この地で「これ」といったものが出てくるわけではない。昼食はここに運ぶから、ここで食べたらいいとまで言われた。
さすがのわたしも、執拗に引き止められるので違和感を覚えた。そうなって初めてここを出る方法を考え始めた。わたしはできる限り自然で、必要不可欠な用事を作って逃げ出した。
ポーランド、偽警官詐欺
<派手に塗られた壁(タルヌフ)>
まず、「パスポートを見せてください」と声をかけられ、パスポートを見せると今度は所持金を見せてください、とお金を見せるよう要求される。お金を見せたが最後、そのまんま持って行かれてしまう。
これは警官に成りすました一般人から金品を奪い取られるという恐ろしい詐欺だ。わたしがこれに遭遇したのは2015年のことだったが、今でもきっと似たような詐欺があるに違いない。このときもまた、詐欺だとは気がつけなかった。
これは多分わたしが抜けているのではなく、普通は気がつかない......。よほど調べてきているか、よほど注意深くなければ。事なきを得たのは、たまたま一緒にいた女の子が偽物だと見抜いたからだった。
わたしたちはクラコフの郊外にあるタルヌフという街に遊びに来ていた。ちょうどそこからバスで帰ろうとしているところで、だからこの事件は、白昼堂々、しかもバスターミナル内で起こったことになる。
ポーランド人というのは何と言うか、デカい。わたしが小柄のせいもあるが、それにしてもデカいそんな図体をした男2人に突然目の前を塞がれた...そんな感覚だった。
「パスポートを見せてください」顔を上げると、どうやら自分に向けられた言葉だと分かる。
わたしは事態が飲み込めなかったが、警官が何の用だろうと思った。2人とも警官の格好をしていたからだ。彼らは日本の刑事ドラマのように、警察手帳らしきものをほんの一瞬だけ見せてきた。
「今パスポートは持っていません」わたしはそう答えたが、通常、外国人観光客はどこへ行くにもパスポートを所持していなくてはならないのかもしれない。それでもわたしは治安を懸念して持ち歩かないこともあった。
「パスポートがない?」なぜパスポートがないのかと警官が問い詰めてくる。このときわたしは、これが詐欺だと気づいていない。バスの時刻を確認しに行っていて、一緒に来ていた女の子から少し離れたところに立っていた。彼女のほうをチラッと見ると何かわたしのほうに合図を送っている。
「実は......」わたしは嘘をつく。現在こっちの友人の家に泊めてもらっていて、今日はそこから遊びに来ているからパスポートは家に置いてあると。
つい今ほど、彼らが偽警官だと知ってしまったわたしは、こう言うことで、ポーランド人の友人がこっちにいることをアピールしようと思った。少しでも防御線は張っておきたい。
すると男たちは、自分たちが偽物だということを棚に上げ、パスポートを所持していないことは問題だと言及してきた。それなら警察に行くしかないとまで言う。何を言われても何も見せるつもりはなかった。
警察に行く? 相手が偽物であった場合、どこかに連れていかれるのは非常にまずい。しかし本来、警察に行くのなら都合が悪いのは相手のほうだ。いっそ、お前らは偽物だろう? そう言ってしまおうかとも思ったが、それはそれで勇気がいる。
ああでもないこうでもないというやりとりをしばらくしていたが、そのうち1人がいなくなった。他の仲間にでも相談しに行ったのだろうか......。
3年前まで英語はまったく話せなかったが、必死に勉強して、このときは会話ができるようになっていた。自分の言いたいことは言える。これは大きなアドバンテージだった。だからわたしも態度だけは堂々としていた。
そのおかげか、その後少しして抜けた1人が戻ってくると同時に、わたしは解放された。
あとがき
旅にトラブルはつきもの......いや、もっと言ってしまえば、「トラブルこそ旅」これに共感する旅行者は少なからずいると思う。
辛かったり、苦しかったり......そんなことが、後から振り返るといい思い出だったりする。
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Rio
- カメラ片手に世界中を旅する写真家×旅人。 毎年1月から4月の雨季、ボリビアのウユニに滞在、天空のウェディングフォトを撮影。 ウユニ塩湖でウェディングフォトの他、おひとり様からグループフォト、家族写真まで撮っています。