公開日:
最終更新日:
バックパッキングとは何のこと? 意味ややり方、持ち物の例、注意点まで解説
旅行好きなら「バックパッキング」あるいは「バックパッカー」という言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。
では「バックパッキング」とは何を指すのでしょうか? バックパッキングやバックパッカーの意味はもちろん、バックパッキングの始め方や注意点、バックパッキングに人気の旅行先まで、わかりやすく解説します。
目次
1. バックパッキングとは
「バックパック(backpack)」とは、英語で「リュックサック」のこと。転じて、リュックを背負って旅行することを「バックパッキング(backpacking)」と言います。バックパッキングには、おもに以下の2種類があります。
登山・ハイキングなどを主としたバックパッキング
<出典元:写真AC>
ひとつは「リュックを背負って野山など自然の中を歩く」という意味でのバックパッキング。この文脈での「バックパッキング」は「ハイキング(hiking)」とほぼ同じ意味と考えていいでしょう。
外国を低予算で旅するバックパッキング
<出典元:写真AC>
もうひとつは「リュックを背負って世界を旅する」という意味でのバックパッキングです。この場合の「バックパッキング」には、しばしば「低予算で旅行する」という意味合いが含まれており、「ホステルやゲストハウスに宿泊するなど、できるだけお金をかけずに個人で旅をする」というニュアンスで使われることが多いです。
2. バックパッカーとは
<出典元:写真AC>
「バックパッカー(backpacker)」は「バックパッキングをする人」のこと。バックパッキングには「登山やハイキングをする」「外国を低予算で旅する」という2つの意味があることはすでに述べました。ただし、「ハイキングをする人」や「登山をする人」は「ハイカー(Hiker)」や「マウンテニーア( mountaineer)」と呼ばれることが多いため、「バックパッカー」と言う場合、「リュックを背負って低予算で世界を旅する人」のことを指すことがほとんどです。
バックパッカーの厳密な定義はなく、一般旅行者との境界はあいまいな部分もありますが、バックパッカーの特徴として、以下のことが挙げられます。
- ツアーではなく、宿泊施設や交通手段を個人で手配して、自由な旅程やルートで旅を楽しむ
- 比較的長期間にわたって旅をすることが多く、旅行期間が月単位、あるいは年単位におよぶ場合もある
- 移動にバスや鉄道などの公共交通機関を使い、飛行機を利用する際はできるだけLCC(格安航空会社)を選ぶ
- ユースホステルやゲストハウス等、低料金の宿泊施設に泊まることが多く、しばしばドミトリールーム(相部屋)を利用することもある
- 旅に「自由」や「冒険」の要素を求める人が多く、型にはまらない、気ままな旅行スタイルを好むケースが多い
- 観光だけでなく、現地の人との出会いやほかの旅行者との交流に楽しみを見出している人も多い
ただし、これらはあくまでも多くのバックパッカーの共通点にすぎず、バックパッカー全員がこうというわけではありません。
3. バックパッキングの歴史
そもそも、バックパックが生まれたのは1950年代のアメリカです。1952年、現KELTY社の創業者であるディック・ケルティ氏が作ったカバンがバックパックの原型だといわれています。やがてバックパックはアメリカ全土に広がり、1960年代にはバックパックを背負って旅をする「バックパッキング」が流行しました。当時のバックパッキングは、ベトナム戦争や環境破壊に対する反発から、自然の中で活動することによって自然への回帰を志す旅のスタイルでした。
日本でも1970年頃から「バックパッキング」という言葉が使われるようになります。1990年代には、沢木耕太郎氏の『深夜特急』シリーズやバラエティ番組『電波少年』などの影響で、バックパッキングがブームに。バックパッキングという旅のスタイルが、一般にも広く知られるようになりました。
4. バックパッキングを意識した旅行の始め方
バックパッキングに興味はあるけれど、いきなり本格的なバックパッカーはハードルが高いと感じている人もいるかもしれません。バックパッキングに興味があるなら、まずは「日帰りでハイキングに出かけてみる」あるいは「リュックを背負って1~2泊の国内旅行をしてみる」など、できることから始めてみましょう。
「リュックを背負って世界を旅する」という意味でのバックパッキングに興味があるなら、ツアーではなく、個人旅行にチャレンジしてみたり、ゲストハウスやホステルに泊まってみたりしてもいいでしょう。ただし、いきなり頑張りすぎる必要はありません。旅の全日程のうち、1日だけゲストハウスやホステルに泊まってみるなど、無理のない範囲でハックパッキングを意識した旅行にトライしてみてください。海外のバックパッキングの前に、まずは日本国内のゲストハウスやホステルに泊まってみて、バックパッカー文化に触れてみるのもおすすめです。
5. バックパッキングの持ち物
バックパッキングをするときは、どのような持ち物を用意すればいいのでしょうか。「アウトドア旅行の場合」と「海外を旅する場合」に分けて解説します。
アウトドア旅行の場合の持ち物
バックパッキングで自然の中を旅する場合の基本の持ち物は以下の通りです。
- 防寒具(軽くコンパクトに持ち運べるもの)
- 帽子
- 雨具、レインウェア
- タオル
- 水筒
- 行動食(手軽に栄養やエネルギーを補給できる食べ物)
- 地図やコンパス
- ごみ袋
- ティッシュ
アウトドアといってもレベル感はさまざまなので、必要に応じて次のようなものも用意すると、より安心・快適にアウトドア旅行を楽しめるでしょう。
- サングラス
- 虫よけスプレー
- 腕時計
- モバイルバッテリー
- ヘッドライト
- 日焼け止め
- 救急セット
- レジャーシート
- カイロ
海外を旅する場合の持ち物
海外をバックパッキングで旅する際の代表的な持ち物は以下の通り。基本の持ち物は、一般的な海外旅行と大きくは変わりません。
- パスポート
- 現金、クレジットカード
- 海外旅行保険証書
- スマートフォンやタブレット
- 充電器、変換プラグ
- 着替え、下着
- タオル
- 洗面具
- 雨具(折り畳み傘など)
- サブバッグ(街歩き・観光用)
- 常備薬
バックパッキングをより安全、快適にしたいなら、以下の持ち物もあると重宝します。
- ガイドブック
- SIMカード、eSIM
- モバイルバッテリー
- バックパック用カバー
- ワイヤーロックや南京錠(公共交通機関や宿での盗難被害を防ぐため)
- ヘアドライヤー(安宿にはヘアドライヤーがないことも多いため)
- 衣類用洗剤や物干しロープ(自分で洗濯する場合)
- 衣類圧縮袋
- 防寒着(コンパクトに持ち運べるもの)
- 帽子
- サングラス
- ストール(防寒や日除けはもちろん、イスラム圏で肌を隠すときにも重宝)
- 日焼け止め
- 水着
- ビーチサンダル(ビーチだけでなく、ゲストハウスのバスルームなどでも活躍)
- アイマスク、耳栓(公共交通機関や相部屋で活躍)
6. バックパッカーがよく利用する宿泊施設
<出典元:写真AC>
宿泊費を抑えるためにバックパッカーがよく利用するのが、ホステルやゲストハウスです。ホステルやゲストハウスには個室もありますが、より節約するために、ドミトリールーム(相部屋)に泊まる人も少なくありません。
ホステル
ホステルは、10~20代の若者をメインターゲットにした低予算型の宿泊施設で、宿泊客同士の交流の場(共用スペース)や後述するドミトリールーム(相部屋)を備えていることが多いのが特徴です。
ホステルについて詳しくは、「ホステルとは? ホテルやゲストハウスとの違いや宿泊時の注意点」の記事もご覧ください。
ゲストハウス
ホステル同様、ゲストハウスも低予算型の宿泊施設ですが、一定以上の規模でシステマティックに運営されていることが多いホステルに対し、ゲストハウスは家族経営のこぢんまりとした施設が多いという特徴があります。設備は施設によって異なりますが、ゲストハウスの場合、フロントがないことも少なくありません。
ドミトリー
ドミトリーはいわゆる「相部屋」のこと。ホステルとゲストハウスが宿泊施設の形態を指す言葉であるのに対して、ドミトリーは部屋の種類を指します。ドミトリー1室あたりの定員は少ない場合で4人程度。多い場合は20人程度にのぼり、女性専用のこともあれば、男女共用のこともあります。
ドミトリールームはホステルだけでなく、ゲストハウスにも備わっている場合があり、ドミトリーのみのホステルやドミトリーと個室の両方があるホステル、ドミトリーと個室の両方があるゲストハウスなど形態はさまざまです。
7. バックパッキングにおける注意点
旅の相棒となるバックパッキングの選び方やパッキングの方法は、旅の快適性を大きく左右します。事前に情報収集をした上で、行き先に合わせた安全対策も怠らないようにしましょう。
体型・用途に合ったバックパックを選ぶ
バックパックを選ぶ際は、自身の体型と用途に合ったものを選ぶようにしましょう。例えば、小柄な方が大きすぎるバックパックを選んでしまうと、フィットせず身体に負担がかかることがあります。季節や旅行日数、目的地などに応じて、大きすぎず、小さすぎない、適度な大きさのバックパックを選ぶことが大切です。
重量のバランスを考えてパッキングする
パッキングをする際は、重量のバランスを考えましょう。重いものは身体から離れると重さを感じやすくなるため、思いものは背中に近い位置に入れるようにし、左右の重量のバランスができるだけ均等になるようにします。
上記に加えて、バックパッキングで世界を旅する場合は、バックパックの盗難対策のほか、現地の治安情勢や習慣などを知った上で、「夜の一人歩きは避ける」「多額の現金は持ち歩かない」「(特にイスラム圏では)肌を露出しない」「危険エリアには足を踏み入れない」などの安全対策も欠かせません。
8. バックパッキングにおける旅行先として人気の国
「低予算で世界を旅する」という特性があるため、バックパッキングの旅先は物価の安い国に人気が集まります。単に物価が安いだけでなく、バックパッカー向けのサービスやアトラクションが充実していること、冒険の要素があることもバックパッカーを惹きつける要素になります。
タイ
「バックパッカーの聖地」として不動の人気を得ているのが、タイ。バンコクのカオサン通りは世界屈指のバックパッカー街として知られ、その周辺には数多くの安宿や外国人旅行者向けの飲食店などが点在しています。
タイは、冒険心をくすぐられるエキゾチックな雰囲気がありながらも、かゆいところに手が届くバックパッカー向けのサービスが充実しているのも人気の理由。まずはタイでバックパッキングのスタイルに慣れた後で、世界各国を旅するバックパッカーも少なくありません。バックパッカーに人気の国の中では比較的治安が良いことも、タイがバックパッキング初心者に支持される要因となっています。
ベトナム
タイの隣国ベトナムもバックパッカーに人気の国のひとつ。ハノイとホーチミンには大規模なバックパッカー街があり、安宿や旅行会社、飲食店などが軒を連ねているので、たいていのものは揃います。
同じ東南アジアでも、パーティーピープルが多く集まるタイに比べると、ベトナムはやや硬派な旅人が多いため、落ち着いて旅をしたい人にもおすすめです。
インド
バックパッカーの多くが1度は目指す国がインド。広大な国土を持つわりに公共交通機関が発達していないことや、衛生面で不安があることなどから、初心者にはハードルの高い旅先ですが、そのぶん、圧倒的な異国感を体験することができます。
地域によって気候も文化も風景も大きく変わることから、どこに行くかによってまったく異なる体験が待っているのもインドの面白さ。インドに行けば日本の当たり前が世界の常識でないことがよくわかり、世界を見る目が変わるきっかけになるかもしれません。
台湾
世界的に見てバックパッカーの多い地域というわけではありませんが、日本人バックパッカーがはじめての旅先として選ぶなら台湾もおすすめです。
比較的治安が良いだけでなく、文化的にも日本に近いため、「まずはハードルの低い場所でバックパッカーの経験を積んでみたい」という人にはいいでしょう。屋台や安価な飲食店が充実しているので、食事にも困りません。
今ではおもに「リュックを背負って、世界を低予算で旅する」スタイルとして、広く知られているバックパッキングですが、どこまで節約するか、どの程度冒険するかは人によってさまざまです。バックパッキングに興味のある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
関連記事
-
旅の基本情報お届け部
- 旅が「楽しく」「お得に」「快適に」なる情報をお伝えします!