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エジンバラから日帰り旅行可能な知られざる美しい街(西部編2):悲劇のスコットランド女王の生誕の地、リンリスゴー
<TOP画像:リンリスゴー湖から見るリンリスゴー宮殿>
エジンバラ近郊の知られざる美しい街と村の北部と南部に続く西部編の第2弾です。
【イギリス】エジンバラから日帰り旅行可能な美しい街(西部編1):スコットランド独立戦争の舞台&美しいお城のある街、スターリング
エジンバラの西には、スコットランドの王室の歴史の詰まった中世の宮殿があるリンリスゴー (Linlithgow) の街があります。
リンリスゴーはあまり人に知られていませんが、湖の辺りに建つ美しい佇まいの宮殿と中世の建物が残っている街です。
エジンバラからは電車で20分ほどで行くことができるので、日帰り旅行に最適です。
目次
- リンリスゴー宮殿は何が有名?
- リンリスゴー宮殿の見どころ
- 1. 中庭
- 2. 大広間
- 3. チャペル
- 4. ロイヤルアパートメント
- 5. 屋上
- 6. 庭園
- 7.ピール (Peel)
- 8. 聖マイケル長老派教会(St. Michael's Parish Church)
- スコットランド女王・メアリー・ステュアートとは?
- タウンセンター
- まとめ
リンリスゴー宮殿は何が有名?
<ピールから見るリンリスゴー宮殿と聖マイケル長老派教会>
スコットランドに残る中世後期の建築の中で最も美しい建物と言われているリンリスゴー宮殿は、悲劇のスコットランド女王メアリー・ステュアート(1542-1587) が生まれた宮殿として有名です。
最初にリンリスゴー宮殿の歴史をご紹介します。
リンリスゴー宮殿は12世紀にスコットランド王室の荘園があったところです。そしてその後、ピールと呼ばれる今は芝生の公園となっている場所に要塞が築かれました。
今残っているリンリスゴー宮殿は、スコットランド王ジェームズ1世 (1394-1437)によって、1424年に建造されはじめました。そして、歴代のスコットランド王により200年もの間、増改築され優雅な宮殿となりました。
しかし、残念ながら1746年に起きた火災で大きな被害を受けて廃墟になってしまいました。
今でも廃墟のままで屋根は残っていませんが、部屋には装飾も残っていて、当時の華やかな宮廷の生活を偲ぶことができます。
リンリスゴー宮殿の見どころ
<リンリスゴー宮殿>
リンリスゴー宮殿は、リンリスゴー湖と中世の面影が残るタウンセンターの間にあります。
<リンリスゴー宮殿へ続く道>
タウンセンターから宮殿へ続く道は石畳の坂道で、その道の両側には古い建物が残っています。
<外門入り口>
宮殿を囲む外壁に造られた入口は、1533年頃にジェームズ5世 (1512-1542)によって建造されました。
アーチの上には、ジェームズ5世が所属していたヨーロッパの騎士団の4つの勲章のガーター勲章、アザミ勲章、金羊毛勲章、聖ミカエル勲章が刻まれていて、いかにも王宮の入り口という印象を受けます。
ジェームズ1世によって建造され始め、ジェームズ6世(1566-1625) までの歴代の王により増改築されまたリンリスゴー宮殿は、4つの塔を角にして中庭を囲んだ 4〜5 階建ての印象的な四角形の宮殿です。
1. 中庭
王の噴水
<王の噴水>
中庭に入りまず目に入るのが、中央にある精巧に彫刻された3層の六角形の王の噴水です。1537年にジェームズ5世によって造られました。
<東の区画にある王族の入り口(Royal Entrance) にある彫刻>
<中庭から見る北側の区画>
中庭から見る宮殿の壁にはさまざまな装飾が残っています。窓には王家の紋章が掘られているのが見えます。
2. 大広間
<大広間>
東区画にある大広間です。今は屋根がありませんが、ジェームズ1世によって造られました。大広間は晩餐会などに使われたそうです。
3. チャペル
< チャペル>
< チャペルに残る彫刻>
1500年ごろにジェームズ4世(1488-1513) によって造られたチャペルです。ここにもさまざまな彫刻が残っています。
4. ロイヤルアパートメント
<ロイヤルアパートメント>
ロイヤルアポートメントは、ジェームズ 4世によって追加された王の居住区画のことです。
<窓から見えるリンリスゴー湖の景色>
ロイヤルアパートメントの窓からは、湖が見渡せます。
5. 屋上
<屋上から見る宮殿>
宮殿は廃墟ですが、1つの塔の階段は屋上まで上れるようになっています。屋上まで上ると、宮殿を見下ろすことができるので、宮殿の構造がわかります。また、湖と周辺の田園の綺麗な景色を見渡すことができます。
スコットランドは風が強いので、上る時は風の合間にしっかり柵につかまってのぼってくださいね。
<屋上から見渡せるリンリスゴー湖と美しい田園風景>
6. 庭園
<壁に囲まれた庭園の跡>
メアリー女王の銅像が宮殿を見守るように建っている宮殿の西側には、今は芝生が広がっていますが、昔は壁に囲まれた庭園があったと考えられています。
7. ピール (Peel)
<ピールから見るリンリスゴー宮殿>
<宮殿の横からリンリスゴー湖の周りに広がる芝生の公園:ピール>
宮殿からリンリスゴー湖の辺り一帯に広がっている芝生の公園は、ピールと呼ばれています。リンリスゴー湖の周りは遊歩道となっていて、1周することができます。
湖の反対側に行くと、リンリスゴー宮殿の湖越しの優雅な姿を見ることができます。
<ピールから見る王族の入り口(Royal Entrance)>
8. 聖マイケル長老派教会(St. Michael's Parish Church)
<聖マイケル長老派教会>
リンリスゴー宮殿の外門の横に建つ15世紀の教会です。メアリー女王はこの教会で洗礼を受けました。
私が訪問した時は修復中でしたが、今は近代的な金色の尖塔が輝いているそうです。教会内には土日の昼の限定された時間にしか入ることができません。
リンリスゴー宮殿 (Linlithgow Palace)
- 住所:Kirkgate, Linlithgow EH49 7AL
- 公式サイト:リンリスゴー宮殿
スコットランド女王・メアリー・ステュアートとは?
スコットランドを旅しているとスコットランド女王 (Queen of Scots)、メアリー・ステュアートという名前が何処にでも出てきます。前にご紹介したスターリング城でもフォークランド宮殿でも名前が出てきます。
メアリー女王のことを知らないと、スコットランドを旅していてもよく背景がわからないというレベルですので、簡単にスコットランド女王メアリーについてご説明します。
悲劇の女王として知られるメアリー・ステュアートは、16世紀のスコットランドの女王です。1542年にメアリーはリンリスゴー宮殿で生まれ、その直後に父のジェームズ5世が急死したため、わずか6日で女王に即位しました。
当時スコットランドはフランスと同盟してイングランド王テューダー朝ヘンリー8世と戦っていました。メアリー女王は、6歳でフランスのアンリ2世の王太子フランソワと婚約し、フランスに渡り、そしてフランスの王妃ともなりました。
フランソワ2世が亡くなると、スコットランドに戻りましたが、スコットランドでは、プロテスタントの反乱が起こっていました。
メアリー女王はカトリック信者でしたので、様々な政治問題に巻き込まれ、1567年に廃位となり、息子のジェームズ6世がスコットランド王となります。
メアリーは従姉妹のイングランド女王・エリザベス1世のもとに亡命しました。 しかし、メアリーは、イングランドの王位継承権(祖母がヘンリー7世の娘)を持っていたため、エリザベス1世の王位継承権を脅かすものとして18年間幽閉されて過ごします。
1587年に、エリザベス1世の廃位の陰謀に関係した罪で、メアリーは処刑されてしまいました。そのため、悲劇の女王と呼ばれるようになったのです。
1603年にエリザベス1世が亡くなると、エリザベス1世には子供がいなかったため、メアリーの息子のスコットランド王ジェームズ6世が、イングランド・スコットランド連合国の王ジェームズ1世として即位しました。
そのため、なんと今の英国王室までのすべての王室メンバーはメアリー女王の直系の子孫となっています。悲劇の女王ですが、スコットランドの歴史だけでなく、イギリスの歴史の中でも大切な方なのです。
タウンセンター
<リンリスゴーのタウンセンター>
<クロスと呼ばれる井戸>
リンリスゴー宮殿へ向かう道の手前に、中世の建物の残るタウンセンターがあります。中央には、クロスと呼ばれる噴水があります。1628年に建造されましたが、今のものは1807年に再建されたものです。
奥にある建物は、バラホール (Burgh Halls)と呼ばれる1670年に建てられた町役場で、今はイベントなどに使われています。
リンリスゴー・タウンセンター ( Linlithgow town centre)
- 住所:The Cross, Linlithgow, West Lothian, EH49 7AH
- 公式サイト:リンリスゴー・タウンセンター
まとめ
リンリスゴー宮殿は、歴代のスコットランド君主が住んだ、スコットランド王室の大切な宮殿でした。廃墟となっても美しい宮殿を訪れると、スコットランド王族の生活を感じることができます。
リンリスゴーはエジンバラから電車で20分の距離にあるので、少し時間があるときにはぜひ訪れてくださいね。
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Sachiko
- 名古屋市出身、海外滞在歴30年、38カ国490以上の都市を訪れました。多趣味で、アート系のクラッシック鑑賞、バレエ・ダンス鑑賞、美術鑑賞、アンティーク収集から、スポーツ系のテニス・ダイビング、グルメまで色々なことが好きですので、様々な視点で皆様に旅の楽しさがお伝えできればと思っています。捨て猫2匹をインドネシアで拾い、日本まで連れてきました。