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タンザニアの歴史を知れる街バガモヨへ行ってみよう!
タンザニアといえば野生動物を間近で見られるサファリツアー、世界遺産のあるザンジバル島、身体能力の高いマサイ族のダンス...。こんな有名どころが頭に浮かぶかもしれません。一方で、タンザニアの歴史は?と聞かれても、あまり情報がないかもしれません。
今回はタンザニアの歴史に思いをはせられる、ダルエスサラーム郊外にあるバガモヨをご紹介いたします。
目次
バガモヨの歴史
バガモヨの観光名所についてお伝えする前に、この地区の歴史について少し触れていきたいと思います。実はこのバガモヨ地区と過去の悲しい出来事は、切っても切れない関係なのです。バガモヨは港を有していて、元々貿易の中継地点として重宝されていました。
18世紀後半に、オマーン帝国から人々がバガモヨに移住してきたことが、悲劇を生み始めます。彼らはバガモヨ一帯の支配を始め、地元民から税金を搾取するようになります。それと同時に塩の交易から利益を得るようにもなりました。
19世紀になると、象牙と奴隷貿易が盛んとなります。たくさんの地元民がモロゴロやタンガニーカ湖からバガモヨへと奴隷として運ばれ、バガモヨの港からザンジバル島を中継点として、アラブへ送られました。
<象牙も取引されていた>
奴隷貿易は1873年に公式に禁止されましたが、実際は19世紀末まで続けられました。
元はイスラム教が盛んな土地でしたが、アラブ人によるこの搾取から不信感が募り、1868年にはバガモヨのリーダーがカトリック教会を受け入れる事態に発展しました。現在タンザニアでは、6割がキリスト教徒、4割がイスラム教徒という比率になっています。
1885年にはドイツがタンザニアに進出し、1886年バガモヨ地区、ダルエスサラーム地区、キルワ地区を植民地としました。そのときバガモヨを植民地として初めての首都にします。その後1891年にダルエスサラームを首都に変えるまで、バガモヨが中心地とされていました。
<バガモヨとダルエスサラームの位置関係>
世界大戦が始まると、バガモヨもその戦いに巻き込まれます。1916年8月にはイギリスと連合軍がバガモヨを海から攻撃、その後9月にはダルエスサラームもイギリスの支配下となりました。戦争後1919年に締結されたヴェルサイユ条約により、タンザニアは正式にイギリスの植民地とされました。
バガモヨの見どころ
バガモヨはダルエスサラーム市から車で1時間ほど北に行ったところにあります。市街の始発バス停からですと、混み具合によって2〜3時間かかるかもしれません。せわしない都会からのんびりした田舎へ向かうので、のんびりしたバス旅を楽しめます。
<ダルエスサラームを走る路線バス>
ダルエスサラーム内の始発のバスターミナルはマクンブショ(Makumbusho)です。そこからバガモヨ行きのバスに乗ります。料金は2024年8月現在2,000シリングほどですが、変動する可能性があるので、乗る時に確かめるといいでしょう。
路線バス:マクンブショバスターミナル
バスターミナルから海側へ歩いていくと、観光案内所(Coastal Information Center)があります。こちらでは歴史建造物ツアーをお手頃価格で提供しています。詳しい説明を聞きながら効率よく回りたい方は、こちらを利用してみるのもいいかもしれません。自転車の有料貸し出しもしているので、バガモヨを疲れず短時間で見て回るのに便利です。
タンザニア バガモヨ:観光案内所
<見えにくいですが、左側の建物です>
歴史的有名どころをピックアップしておきます。
1. ドイツ時代の旧総督府ボマ(Old German Boma)
植民地時代にドイツによって建てられた要塞です。1800年代後半のアラビア様式の古い石造り建築様式を垣間見ることができます。
ドイツはここを拠点として、東アフリカの植民地を1919年まで管理しました。その後イギリスも植民地の統括の拠点としてここを使用しました。
- 住所:HW45+QR6, Bagamoyo, タンザニア
- 電話番号:+255685451888
- 公式SNS:Instagram
2. 旧アラブ要塞(Old Arab Fort of Bagamoyo)
1860年代にアラブ商人たちによって建てられた要塞です。1880年から1919年まではドイツが軍の拠点地として使用しました。1920年からはイギリスによって刑務所として使用されました。
1974年以降は警察署として用いられていました。奴隷貿易、植民地としての統治、刑務所など、タンザニアの暗い歴史に思いを馳せられる場所です。
- 住所:HW46+5CW, Bagamoyo, タンザニア
- 電話番号:+255685451888
3. カトリック歴史博物館(Catholic Historic Museum)
東アフリカで最も古い教会の隣にある博物館。この小さな教会に探検家デイビッド・リヴィングストンの遺体が安置され、その後イギリスへ運ばれたといわれています。この博物館には奴隷貿易で使われた手錠や足枷が展示されている他、象牙貿易、ドイツによる植民地化、伝来してきた教会についての歴史を学ぶことができます。
- 住所:HV8X+4CC, Bagamoyo, タンザニア
- 電話番号:+255746476099
4. カスタムロード周辺の街並み
観光案内所の近辺は道路が綺麗に整備され、石造りの可愛らしい街並みを楽しむことができます。美味しいレストランや素敵なカフェもありますので、歴史だけでなく食や環境も楽しむことができます。
魚介類が美味しいですので、ぜひお試しください。
<左上のシーフードカレーが美味でした!>
海が近くフリービーチもあるのですが、外国人が泳ぐのには適していないかもしれません。いつも地元の人がいっぱいで、盗難の恐れがありますので、泳ぐ場合は気をつけた方がよさそうです。
海岸沿いに外国人用のホテルがありますので、そのホテルの敷地内のビーチであれば安全です。
<外国人観光客を狙う泥棒もいるので要注意>
最後に
今回はバガモヨ市についてお伝えいたしました。「バガモヨ」という言葉も、「心(モヨ)を残していきます(ブワガ)」というスワヒリ語から来ているそうで、奴隷として売られていく人々の悲しみが表れているのだそうです。
いつも明るくのんびりした雰囲気のタンザニアですが、過去にはこんなこともあったのか...ととても勉強になります。機会があればぜひ、訪れてみてください。
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