名勝とは何のこと? 意味や有名な名勝一覧を紹介

名勝とは何のこと? 意味や有名な名勝一覧を紹介

旅先などで「名勝」という言葉を見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。ところが、「名勝って?」と聞かれても、案外説明するのは難しいものです。

そこで本記事では、知っているようで知らない「名勝」とは何かについてお伝えしていきます。名称の意味、定義を解説しつつ、1度は訪れてみたい全国の有名な名勝をご紹介しましょう。

目次

<1. 名勝とは何のこと?>

<2. 例えばどんな場所が名勝に指定される?>

<3. 景勝地と名勝地の違い>

<4. 有名な名勝>

1. 名勝とは何のこと?

知っているようで、改めて聞かれるとなかなか説明できない「名勝」とは、どんな場所を指すのでしょうか。

「文化財」と「記念物」と「名勝」の関係

広い意味での「名勝」は、「景色の良いことで知られている土地」のことです。山や海、峡谷といった自然そのままの風景と、橋や庭園などの、人間が造り上げたものの両方があります。

「名勝」は「景色の美しい場所」の総称ですが、名勝の中でも特に景観が優れているものや、歴史的、学術的価値の高いものは「文化財」としての価値を持ちます。文化財として価値のある名勝は、国が文化財保護法に基づいて保護しており、狭義の「名勝」は「国や地方公共団体が指定する名勝」を指します。本記事では、国や地方公共団体が指定する「名勝」について、さらに詳しく解説していきます。

「名勝」と関連する概念として「記念物」があります。「記念物」は、文化財保護法に規定された「文化財」の種類のひとつで、「名勝」や「史跡」「天然記念物」などの総称です。少しややこしいですが、上位の概念から並べると、文化財>記念物>名勝の順番になります。

「史跡」「名勝」「天然記念物」の違い

先ほど、「記念物」は「名勝」や「史跡」「天然記念物」などの総称であると述べました。いずれも、国内を旅行しているとよく目にする機会がありますが、「名勝」と「史跡」や「天然記念物」にはどのような違いがあるのでしょうか。

「史跡」とは、日本の歴史を理解する上で欠かせないだけでなく、遺跡の規模、遺構、出土遺物等が学術上値値のあるものを指しており、貝塚、古墳、都城跡、寺社跡、旧宅などが対象です。一方の「天然記念物」は動物や植物、地質鉱物など、文字通り「天然」のものが対象で、「学術上貴重で、日本の自然を記念するもの」と定義されています。

「名勝」「史跡」「天然記念物」は必ずしも単独で指定を受けているとは限らず、「名勝及び天然記念物」などと、重複して指定を受けている場所もあります。

名勝を指定するのは国や地方公共団体

景色の美しい場所の中でも、特に景観が優れているものや、歴史的、学術的価値の高いものは、国や地方公共団体によって「名勝」として指定されています。

国指定の名勝は、文化財保護法に基づいて、文化審議会での審議を経た上で、文部科学大臣が指定します。国指定の名勝から漏れたものについては、地方公共団体(都道府県や市町村)が独自に「名勝」として指定し、域内の文化財の保護に取り組んでいます。

特別名勝とは

旅先などで「特別名勝」という言葉を見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。「特別名勝」とは、国が指定する名勝の中でも、特に重要なものとして文部科学大臣が指定したものです。

2024年7月1日現在、国指定の名勝は429件ありますが、そのうち特別名勝はわずか36件です。件数の少なさからも、特別名勝は文字通り「特別」であることがわかりますね。

2. 例えばどんな場所が名勝に指定される?

国や地方公共団体が指定する「名勝」は、どのような場所が対象になるのでしょうか。

名勝には自然風景が主体になっているもの(自然的名勝)と、橋や庭園のように人工的に造られたもの(人文的名勝)の2種類があります。

名勝の対象は「庭園」「橋梁」「花樹や花草、紅葉、緑樹などの叢生する場所」「鳥獣、魚虫などの棲息する場所」「峡谷」「瀑布」「渓流」「湖沼」「砂丘」「海浜」「火山」「温泉」「山岳」「高原」「平原」「河川」「展望地点」など多岐に渡り、幅広い自然景観や文化的景観が名勝指定によって保護されています。

3. 景勝地と名勝地の違い

名勝に指定されている場所のことを「名勝地」といいますが、名勝地としばしば混同される言葉として「景勝地」があります。「景勝地」とは、山や海、滝など、自然の造形によって美しい風景が形成されており、観光に適した場所のことです。

一方、おさらいになりますが、「名勝地」は国や地方公共団体によって「名勝」として指定されている場所のことです。平たくいえば、「景勝地」は「自然風景が美しい観光スポット」のことなので、「名勝」の多くは「景勝地」でもあるといえるでしょう。

景勝地についての詳細は「景勝地の意味は? 「勝」が入る理由や名勝地との違いなど」のページで解説しています。

4. 有名な名勝

国が指定する名勝は、行ったことがなくても、日本人なら1度は聞いたことがあるような場所が多くを占めます。国指定の名勝には具体的にどのような場所があるのでしょうか。特に有名な名勝をご紹介します。

松島<宮城県>

松島
<出典元:写真AC

「松島や ああ松島や 松島や」という俳句で知られる松島は、宮城県北東部の松島湾内外に浮かぶ約260の島々とその周辺。古くから景勝地として知られ、名勝の中でも特に重要なものに位置付けられる「特別名勝」に指定されているほか、広島の宮島、京都の天橋立(あまのはしだて)とともに「日本三景」のひとつにも数えられています。その美しさは、かの松尾芭蕉があまりの美しさに句が詠めなかったと伝えられるほど。

そんな松島を訪れたら、遊覧船に乗って、ゆっくりと松島湾内の島々を巡ってみましょう。仁王像が葉巻をくわえて座っているかのように見える「仁王島」をはじめ、大小の奇岩が次々に現れる船旅は松島観光のハイライトです。

ほかにも、「四大観(しだいかん)」と呼ばれる、260余の島々を一望する4つのビュースポットを巡ったり、名物のカキに舌鼓を打ったりと、楽しみは尽きません。

長瀞<埼玉県>

長瀞
<出典元:写真AC

関東を代表する名勝といえば、埼玉県の「長瀞(ながとろ)」。町の中央を貫く荒川や宝登山(ほどさん)、不動山など、豊かな自然の恵みを受けた場所で、国の名勝・天然記念物に指定されています。

長瀞といえば、1915年から続く「長瀞ラインくだり」。隆起した結晶片岩(けっしょうへんがん)が浸食され、畳を敷き詰めたかのような形になった「岩畳」をはじめ、長瀞峡谷の奇岩や断崖絶壁を船頭さんのガイドとともにのんびりと楽しみましょう。ハイキングやロープウェイでパワースポットとして名高い寶登山神社(ほどさんじんじゃ)を訪ねたり、急流のスリルを楽しめるラフティングにチャレンジしたりと、アクティブ派も大満足のひとときが過ごせます。

兼六園<石川県>

兼六園
<出典元:写真AC

江戸時代の代表的な大名庭園として知られる金沢の「兼六園」は、日本で最も有名な庭園のひとつ。国の特別名勝に指定されており、茨城県水戸市の偕楽園(かいらくえん)、岡山県岡山市の後楽園とともに「日本三名園」のひとつにも数えられています。

兼六園の魅力はなんといっても、四季折々の自然美。広大な園内には築山(つきやま)や池、茶屋などが点在しており、春の桜、秋の紅葉、冬の雪吊りと、その時期だけの表情を楽しめることから、季節を変えて何度も訪れたくなるはずです。夜間ライトアップの期間中は、日中とはまた違った、幻想的な風景に出会えます。

東尋坊<福井県>

東尋坊
<出典元:写真AC

福井県坂井市にある東尋坊(とうじんぼう)は、約1キロメートルにおよぶ大規模な柱状節理(ちゅうじょうせつり:火山から流れ出た溶岩が冷え固まるときにできた、規則正しい柱のような割れ目)が広がる景勝地。これほど再規模な柱状節理は世界的にも珍しく、国の名勝・天然記念物に指定されているだけでなく、「日本の地質百選」「世界三大奇勝」など、さまざまな称号を手にしています。

高さ20メートル超の断崖絶壁から見下ろす奇岩群と日本海は、サスペンスドラマのクライマックスにふさわしい絶景。海岸沿いに設けられた2カ所の遊歩道を歩けば、「自然のアート」ともいうべき絶壁をじっくりと楽しめます。

遊覧船から眺める奇岩も迫力満点。岩肌が眼前に迫ってくるようなスリルは海の上だからこそ味わえる感覚です。夕陽の名所としても知られる東尋坊。秋の夕陽イベント期間中なら、サンセットクルーズで夕陽を堪能するのもいいでしょう。

  • 住所:福井県坂井市三国町安島64-1
  • 公式サイト:東尋坊

吉野山<奈良県>

吉野山
<出典元:写真AC

奈良県吉野山は全国的にも名高い桜の名所。国の名勝・史跡に指定されているほか、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産のひとつとして世界遺産にも登録されています。

4月上旬から下旬にかけて、約200種、3万本の桜が約8キロメートルにわたる尾根を染め上げる光景は見事。桜の開花時期にはライトアップも行われており、山あいの地ならではの幽玄な夜桜が楽しめます。

別府の地獄<大分県>

別府海地獄
<出典元:写真AC

大分県の別府は、源泉数・湧出量(ゆうしゅつりょう)ともに日本一を誇る一大温泉地。温泉で疲れを癒すのはもちろんのこと、「地獄」と呼ばれる、噴気や熱泥(ねつでい)、熱湯が噴出する温泉噴気口の観光も外せません。

別府にある7つの地獄の中でも、神秘的なコバルトブルーの「海地獄」、赤い粘土が煮えたぎる「血の池地獄」、一定の間隔で熱湯と噴気を吹き出す間欠泉(かんけつせん)が見られる「龍巻地獄」は国の名勝に指定されています。

美しい景色が楽しめる場所の中でも、特に景観が優れたもの、歴史的、学術的価値の高いものとして指定を受けている名勝は、観光地としても見ごたえのあるスポットばかり。今後旅先を検討する際は、名勝の地を候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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