【アメリカ】サンフランシスコの脱出不可能な監獄島アルカトラズ!映画のようにドラマチックな島を満喫

サンフランシスコ屈指の観光地「アルカトラズ」は、1934~1963年まで連邦刑務所だった断崖絶壁の島。7~10度と冷たいうえに流れの速い潮流が周囲を取り囲み、脱出は不可能と言われた過酷な監獄島です。

現在では人気の観光スポットになっており、島は貴重な野鳥たちが住む自然公園としても有名。数々の映画の舞台になったアルカトラズを、じっくり見てきました。とびっきりのエンターテインメントとして楽しめます!

目次

ウェブサイトから事前にチケットを購入するのがおすすめ

アルカトラズは人気の高い観光スポットなので、旅行の日程が決まったら事前に「Alcatraz City Cruises」のウェブサイトからチケットを購入することをおすすめします。フェリーの往復とアルカトラズ島の入場料、さらにセルハウス(刑務所)のオーディオガイドまで付いた至れり尽くせりの内容です。オーディオガイドは日本語も用意されていますよ。筆者は最も標準的な「Day Tour」の、午前10:10に出発する回を購入しました。

アルカトラズ島は風が強くて霧が出やすく、晴天の日でもジャケットやセーターの持参が推奨されています。また、映画「アルカトラズ島からの脱出」や「ザ・ロック」など、この島を舞台にした作品を見ておくこともおすすめ。実は筆者は「ザ・ロック」のファンで、映画の世界を体感したくてここを訪れました。楽しさが倍増すること請け合いです!

>>チケットの購入はこちら Alcatraz City Cruises

アルカトラズ・ランディング
<アルカトラズ島へのフェリーが出る「アルカトラズ・ランディング」。ここへ行く前にチケットの確保を!>

アクセス 「ピア33」で下車、フェリーに乗ってアルカトラズ島へ

アルカトラズ島へのフェリー乗り場である「アルカトラズ・ランディング」は、観光名所の港湾施設「ピア39」に程近い、「ピア33」にあります。アクセスには公共交通機関のミュニメトロ Fライン(路面電車)を使うのが便利。「The Embarcadero & Bay St.」で下車すると目の前にピア35があり、右へ歩くとすぐにアルカトラズ・ランディングのあるピア33に到着します。

アーチの上の「PIER 33」の文字が目印
<アーチの上の「PIER 33」の文字が目印>

フェリー乗り場には、予約した時間帯ごとに並びます。アルカトラズ島への乗船時間は約20分。晴天の日はオープンデッキ席に座ると気分爽快です。洋上からのサンフランシスコに見惚れているうちに、前方にはどんどん島影が近付いて来ます。あれが脱出不可能な監獄島...!

アルカトラズ島へ渡るフェリー
<アルカトラズ島へ渡るフェリー>

付くアルカトラズ島。左奥にはゴールデン・ゲート・ブリッジが見える
<近付くアルカトラズ島。左奥にはゴールデン・ゲート・ブリッジが見える>

アルカトラズ上陸

アルカトラズに上陸すると、まず係員から見学の流れについてレクチャーがあります。見学コースは来場者自身でまわることができますよ。ガイドマップ(1ドル)を販売するスタンドもあるので、購入すると便利です。自分のペースで興味のあるエリアをじっくり見られるのが嬉しいポイント。船を降りる時に、帰りの船の出発時刻表もチェックしておくと安心です。

フェリーからアルカトラズ島へ。一番上に灯台とセルハウスが見える
<フェリーからアルカトラズ島へ。一番上に灯台とセルハウスが見える>

見学のハイライトは、なんと言っても島の最上部にあるセルハウス(刑務所)。こちらを目指して、坂道をどんどん登っていきます。道の途中には、海の間際にそびえるように立つ監視塔や、看守たちやその家族が使ったレクリエーションホールの廃墟などが並んでおり、在りし日の監獄島に思いを馳せてしまいます。

海を背景に立つ監視塔
<海を背景に立つ監視塔>

看守たちが使ったレクリエーションホール。ダンスフロアやジムがあった
<看守たちが使ったレクリエーションホール。ダンスフロアやジムがあった>

最大の見どころ、セルハウスへ。日本語のオーディオガイドが臨場感たっぷり

一番上までのエリアまでたどりつくと、巨大な横長の鉄筋コンクリート建築が待っています。こちらが刑務所「セルハウス」。この島が軍の刑務所として使われていた頃、1909~12年にかけて建てられました。建設の労働力として使われたのは、なんと受刑者たち。1912年の完成時に最初の住人になったのは、彼ら自身だったそうです。皮肉な運命ですよね。

最上部にそびえるセルハウス
<最上部にそびえるセルハウス>

こに来ないことは犯罪だ!
<「ここに来ないことは犯罪だ!」というポスターを眺めながらセルハウスの中へ>

屋内に入るとすぐに、囚人たちが使った広いシャワールームがあります。こちらはオーディオガイドを貸し出しする場所。職員さんが来場者ひとりひとりに、どの国から来たのか尋ねてくれます。「日本!」と答えたら、その場でオーディオガイドの設定を日本語に合わせて渡してくれましたよ。迅速です。

このオーディオガイド、単なる解説ではありません。アルファベットが割り振られた見どころポイントで、ある時は収監された囚人、またある時は刑務所の看守などの立場から、臨場感たっぷりにドラマ仕立ての解説をしてくれるのです。まるで映画!歴史的建造物をめぐるというだけでなく、エンタメとしてよく出来ています。これを日本語で聴けるのだからラッキーです。

ずらりとシャワーヘッドが並ぶ囚人たちのシャワールーム
<ずらりとシャワーヘッドが並ぶ囚人たちのシャワールーム>

臨場感抜群のオーディオガイド。
<臨場感抜群のオーディオガイド。日本語に設定されています>

独房がずらり!アル・カポネも収監されていた鉄格子の部屋

3階建てのアパートのような独房群は圧巻。廊下側が鉄格子で内部が丸見えの部屋が336室、ずらりと並んでいます。映画で見たのと同じ...!収監されたのはすべて男性の囚人で、通常は平均260人ほどが収監されていたそうです。

「ブロードウェイ」
<迫力の独房群。中央の廊下は「ブロードウェイ」>

幅1.5m、奥行き2.7m、高さ2.1mの狭い独房の中には、細長くて固そうなベッドと洗面所・トイレが設置されています。屋内に入れる独房もありますよ。中に入って「出してくれー!」という気分で写真を撮るのも一興です。
独房の間を通る廊下にはニューワークの「ブロードウェイ」やシカゴの「ミシガンアベニュー」など、米国の有名な通りにちなんだ名前が付けられています。新入りの囚人が初めてここへ来る時は、何も身に着けることは許されず、裸でブロードウェイを歩いて独房に入ったそう。格子越しに囃し立てる囚人たちの様子を、臨場感たっぷりに再現するオーディオガイドが印象的でした。

独房の内部
<独房の内部。シーツが付いていないベッドは固そう(右)>

凶悪な囚人を収容する特別な独房もあります。「Dブロック」と呼ばれるエリアにあるこの独房群は、鉄扉を閉めたら明かりが一切入りません。こんなところに長くいたら、気が狂いそうです。

Dブロックの独房。室内はとても暗い
<Dブロックの独房。室内はとても暗い>

セルハウスにはアル・カポネやマシンガン・ケリーなど、有名なギャングも収監されていました。アルカトラズは組織犯罪が激化した1930年代に、社会の秩序を乱す凶悪犯を収容する施設としての役割を果たしていたのです。映画などの題材になった、有名な囚人を紹介するボードに見入りました。

有名な囚人
<有名な囚人たち。一番左がアル・カポネ>

囚人たちの余暇活動

厳しい環境のアルカトラズですが、模範囚には仕事が与えられたり、図書室を利用したり、「絵を描く」「楽器を演奏する」などのレクリエーションが許されていたそうです。絵画を趣味とする囚人の暮らしぶりを再現した独房には、アルカトラズの監視塔がある風景や、海を隔てて見えるゴールデン・ゲート・ブリッジを描いた絵(※後に囚人の家族から寄贈された作品のコピー)が飾られていました。どんな気持ちでこの絵を描いたのかな...などと考えてしまいます。

絵画を趣味とする囚人の作品が飾られた部屋
<絵画を趣味とする囚人の作品が飾られた部屋(左)。右は音楽好きの囚人の部屋の再現>

アルカトラズ脱出!驚愕の首人形と通気口の穴

アルカトラズから脱獄を計った囚人は計36人。脱出途中に身柄を確保されたり、射殺されたりで、成功した者は1人もいないと言われています。そんな中で最も有名なのは、1962年の映画「アルカトラズからの脱出」のモチーフとなったフランク・モリスとアングリン兄弟による脱出劇。この3人がいた独房が、セルハウス見物のハイライトです。

モリスたちは食堂からこっそり持ち帰ったスプーンを13本も使い、2年がかりでコツコツと通気口を拡大して脱出経路を作ります。脱出後に見回りの看守に気が付かれないよう、石鹸やセメント、絵の具で作ったダミーの頭部を用意していたところがスゴイ。自分たちに似せた首人形をベッドの頭の部分に置いて、毛布をかけて眠っているかのように偽装したのです。この様子が独房に再現されています。

事件当時のモリスの部屋の再現
<事件当時のモリスの部屋の再現>

実際にダミーヘッドが置かれた独房のベッドを見ると、それは迫力。通気口の穴も大きく開けられており、「夜間にこんな風にせっせと掘るのは大変だっただろうな...」と変に感心してしまいます。看守の目から見た、ドラマ仕立てのオーディオガイドも緊迫感があります。

その後、海に出た3人の行方はわからず。レインコートで作った筏まで用意していたそうですが、冷たく速い潮流に飲まれて死亡したとされています。しかし本当の結末は誰にもわかりません。

通気口が拡大された仲間の部屋の再現
<通気口が拡大された仲間の部屋の再現>

灯台前は眺望抜群!霧のゴールデン・ゲート・ブリッジ

セルハウスから島の西側の海が見える外へ出ると、そこは灯台が立つ爽快な空間。映画「ザ・ロック」で主人公が奮戦した灯台の周囲からは、サンフランシスコの街やゴールデン・ゲート・ブリッジを一望できます。これが絶景です!

1909年に建てられた灯台は今も現役
<1909年に建てられた灯台は今も現役>

対岸のサンフランシスコ。坂が急すぎる
<対岸のサンフランシスコ。坂が急すぎる!>

海の向こうに広がるサンフランシスコの街にはびっくりするような急坂が並行して並び、「なるほど、ケーブルカーが必要なわけだ」と深く納得。ゴールデン・ゲート・ブリッジがあっという間に霧に包まれる様子も圧巻です。ダイナミックな光景に目を奪われます。
灯台のすぐ近くには刑務所長邸もあります。最も眺望が良い場所にあるあたり、さすがという感じです。

霧に包まれるゴールデン・ゲート・ブリッジ
<霧に包まれるゴールデン・ゲート・ブリッジ>

刑務所長邸。見晴らしが最高の位置にある
<刑務所長邸。見晴らしが最高の位置にある>

囚人が基礎を作った美しいガーデン

灯台から、セルハウスを見上げるようにのびる坂をくだると、刑務所とは思えないほど美しい花に囲まれた庭園があります。ここは囚人だったエリオット・ミッチェナーが作った庭。彼は1941年から何年もかけて、コテージ風の花の庭を作りあげました。所長夫妻の信頼も厚かったそう。

刑務所が閉鎖されると庭園は失われてしまいましたが、2003年にゴールデンゲート国立公園の支援によってよみがえりました。明るい色の花々がかつての刑務所の建物に映えています。ミッチェナーの半生を描いた絵本のプレートが、花壇に沿って展示されているのも必見です!

セルハウスを彩る庭園の花
<セルハウスを彩る庭園の花>

アルカトラズ島は野鳥の保護地

刑務所の島だったアルカトラズ島は、現在では「ゴールデンゲート生物圏保護区」の一部となっています。島内ではカモメをはじめとする野鳥を保護。かつて絶滅寸前になりながら、保護によってその危機を脱したユキコサギは、この島の代表的な鳥です。ふさふさした冠羽が美しく、彼らが群れで暮らす様子は見応えあり。白と黒のコントラストが印象的なカナダガンなども見られますよ。刑務所の歴史とともに、ぜひ野鳥にも目を向けてみてくださいね。

島の西部の木に止まるユキコサギ
<島の西部の木に止まるユキコサギ>

おみやげも充実

セルハウスの出口近くには、大きなおみやげショップがあります。アルカトラズの島影や灯台がデザインされたグッズはハイセンス。Tシャツ、帽子、靴下、キーホルダー、カトラリー、エコバッグ、ゲーム、アメコミ、オブジェ...などあらゆる商品が揃っています。筆者と家族も、エコバッグやTシャツ、ステッカーなどを買い込みましたよ。とにかく種類が多いので、おみやげを探す時間も十分に確保することをおすすめします。

幅広いグッズが並ぶショップ
<幅広いグッズが並ぶショップ>

まとめ

まるで映画そのままのようなアルカトラズは、歴史の重さを感じながら、充実した見学ができるスポットです。以下の点に注意しながら足を運んでみてくださいね。

  • ウェブサイトから事前にチケットを購入できます
  • 寒冷な潮流に囲まれたアルカトラズ島は、年中風が強く肌寒いため、ジャケットやセーターを持っていくことをおすすめします
  • フェリー乗り場へのアクセスには、公共交通機関のミュニメトロ Fライン(路面電車)を使うのが便利です
  • アルカトラズの見学コースは自由に回れます。ガイドマップも販売されています
  • 最大の見どころはセルハウス。シャワールームで、日本語に設定されたオーディオガイドを借りられます
  • 灯台前は眺望抜群。美しいガーデンや野鳥の保護地も必見です
  • セルハウスの出口にあるおみやげ店には多彩な種類のアルカトラズグッズがあります

それでは、ドラマチックな刑務所島を満喫する素敵な旅を!

Pier 33 Alcatraz Landing(アルカトラズ島へのフェリー乗り場)

  • 住所:Pier 33 Suite 200 San Francisco, CA
  • 電話番号:+14159817625(Alcatraz City Cruises)
  • 出発時間:8:45~15:50/17:55~18:30
  • 休業日:サンクスギビング、12月25日、1月1日
  • 入場料:デイツアー 大人 $45.25 子供 (5-11歳) $27.25/ナイトツアー 大人 $56.30 子供 (5-11歳) $33.00
  • ※2024年6月現在。最新情報は公式サイトをご確認ください。
  • 公式サイト:アルカトラズ島

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朝茶

ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!

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