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これまでに出会ったオーストラリアを旅する人たち~十人十色なラウンドトリップ~
広いオーストラリア大陸を一周したいというのは、多くの旅人の憧れでもあります。うちではキャンプ場も経営しているので、これまでにたくさんの旅人に出会ってきました。それだけでなく路上での出会いもあり、そんな旅人たちの様子を紹介します。
目次
ラウンドトリップとは
一般的にラウンドトリップとは一周旅行のことを意味します。つまりオーストラリアでラウンドトリップとはオーストラリアを一周する旅のことです。
オーストラリアは主要都市が海岸線沿いにあり真ん中は砂漠地帯なので、旅行していると必然的にラウンドトリップをなぞらえるようなコースになりがちです。
ただし、超観光名所のウルル(エアーズロック)はオーストラリア大陸のど真ん中で、そのアクセスの難しさからも秘境さが増すのでしょう。
オーストラリアを一周すると約15,000~20,000kmあると言われていますが、期間を決めて一気に旅行する人もいれば、時間をかけて少しずつ分けて旅行する人もいます。一周は大変なので半周だけにする人、あるいはウルルを見るために横断、縦断をする人など様々です。
車でラウンドトリップ中の人
私の生活圏はラウンドトリップしている人が通過しやすいアルバニーとエスペランスという街の中間地点であり、それゆえ旅人に遭遇しやすいようです。そして、冒頭にも書きましたようにキャンプ場も経営しているので、そういった旅人が宿泊しにくることが多々あります。
うちに泊まりに来る人は、たいていキャラバンと呼ばれる牽引式のキャンプトレーラーを装備しています。
うちのお客さんの傾向としては、ラウンドトリップをしている年齢層は50~70代が多く、いつかラウンドトリップしてみたいという憧れがあってリタイア後にやっと実現したという感じの人が多い印象です。この場合は仕事による時間の制約がないので、各地に時間をかけて少しずつ分けて旅をしているようです。
また、逆に子連れ家族もたまにおり、その場合は『子どもが大きくなる前に自分の住んでいる国を見て学んで欲しい』という親の願いから半年ほどかけてラウンドトリップしている家族もいました。『子どもが大きくなる前』というのは、高校生になると長期で休めないという意味らしく、ラウンドトリップ中はホームスクーリングといって自主勉強スタイルで学習をしているようです。
そして、日本では想像できないような理由でラウンドトリップしている人もいます。それは、『家を売ったお金でキャラバンを買って、次に住みたい場所を探し求めて旅をしている人』や『新築を建てているけど、完成に1年以上かかるから旅をしている人』など。これはノマドワーカーだからこそできることです。
そもそもずっと旅をし続けいる人もおり、もう家には4年帰っていないという人もいました。途中途中で短期の仕事をしたり、金の採れるところでは金採取してお金を稼いだりと、まさに放浪生活できてしまうのがオ―ストラリアらしいです。
<この人たちは持ち家がなく、常にこれに住んでいるとのこと>
さまざまな手段で移動する若者バックパーカーズ
ここまではオーストラリア在住の人の場合でしたが、まれに海外からのお客さんでレンタカーを借りてラウンドトリップしている人もいます。この場合はかなり時間も限られているため所々は飛行機に頼っているようで、とにかく金銭的にかなり大変だと聞きました。
ラウンドトリップを成し遂げるにはそれなりの装備、つまりはお金が必要になってくるわけですが、ワーキングホリデーなどの短期滞在者でもさまざまな方法でラウンドトリップを目指している若者がいます。
そんな旅人を路上で見かけることがたまにあり、これまでに自転車でラウンドトリップ中の人やキックスクーターで半周を目指す人、ヒッチハイクで行けるところまで行こうとしている人、手押し一輪車を押しながら半周しようとしている若者たちに出会ってきました。路上で出会った旅人には、ファームに泊まるように招待しています。
自転車でラウンドトリップ中だった日本人男性と、キックスクーターで北のダーウィンから南のセドゥナまでの半周を旅行中だったフランス人女性は時間が限られているとのことだったので路上で水や食べ物の寄付をして別れましたが、後日お2人とも目的の旅を達成することができたようです!
<サイクリストのYUTAさん。このサインが目に留まって声をかけました!>
YUTAさんのラウンドトリップは337日間で21,706kmを走破し、2024年4月に完結しました!そんな旅の様子はこちらの公式サイトで少しずつ公開されています。
<キックスクーターのブランディンさん。自転車のように見えるがペダルがない>
ブランディンさんはオーストラリア半周だけでなく、ヨーロッパから中東、アジアをスクーターで旅をしてからオーストラリアにたどり着いている強者です!
ヒッチハイカーは日本人の男女2人組でしたが、私たち自身がヒッチハイクには肯定的ではないので、ファーム滞在中に仕事をしてもらってお金を稼いでもらい、そのお金でバスに乗って次の街をめざしてもらったこともあります。
ヒッチハイクは楽しそうというイメージがあるかもしれませんが、現実的には犯罪に巻き込まれる可能性もあり安全だとはいえません。この危険性は乗る側だけでなく乗せる側も感じていることで、オーストラリア人の夫も昔だったら乗せていたけど、今は警戒して簡単には乗せないと言っています。
実は私が10年ほど前にカナダでワーキングホリデーをしているときにヒッチハイクをしたことがありましたが、このとき現地の人に乗せてもらうことができたものの、今後は絶対にしてはいけないと車中で怒られた経験があります。大した土地勘もなく、ノリと勢いだけでのヒッチハイクは決して称賛されるものではありません。
これまで色んな旅人に出会ってきましたが、なかでも変わっていたのが手押し一輪車を押しながら徒歩で旅する日本人男性です。彼は自らを『キャットマン』と名乗り、全身ヒョウ柄のコスチュームを身にまとい、パースから北に900km離れたところにあるカナーボンという町からシドニーまでを旅していました。これを達成できれば移動距離は5,000kmを超えます。そんな彼を出発地点から約1,600km離れた我がファーム近くの路上で見かけました。
なぜ『キャットマン』なのかというと、彼の日本の前職でもあった建築現場で手押し一輪車は『ネコ』と呼ばれ、それを相棒に旅しているので『キャットマン』と名乗っているようです。一輪車の中には彼の衣食住の全てが積まれており、基本的に道中はキャンプをしながら移動しています。ファームにはワークエクスチェンジとして6日間滞在し、英気を養って再び旅に出て行きました。
キャットマンの旅の様子は移動するたびに有名になっているようで、大きな街に到着するたびにニュースになっていました。
さいごに
オーストラリアは自国に住んでいる国民でさえ、何度旅をしてもし尽せない巨大な国です。私もいつかラウンドトリップを制覇してみたいですが、僻地好きとしてはラウンドトリップで避けられがちな秘境にも興味があり、旅が永遠と続きそうです。
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ナイーブME
- 西オーストラリア州南部のド田舎でヤギとアルパカの世話をしながら建築業を営む兼業農家。都会のオシャレな情報よりも、僻地のクセある情報に強いです!