【フランス】印象派生誕150周年! 大フェスティバルが開催中

2024年は印象派誕生150周年!モネ、ルノワール、ドガ、ゴッホ、、、今や美術界人気ナンバーワンともいえる印象派。今年は印象派関連イベントが、フランス各地で多数開催されます。中でも注目は、印象派の故郷ノルマンディー地方とパリ地方がタイアップして、150ものイベントを次々繰り広げる「ノルマンディー印象派フェスティバル (Festival Normandie Impressionniste)」。

そこで今回は、知らない人には分かりやすく基礎知識を、詳しい人にはホットなフェスティバル情報を、現地からお届けいたします。さあ、印象派の世界にようこそ!

目次

印象派フェスティバルとは

まずはこちら、パリ〜ノルマンディーの印象派聖地へと誘うビデオをご覧下さい。絵画通の方なら、あの場所もこの場所も絵の中で知っている!と心ときめき、未知らぬ方でもきっと、美しい場所だと旅心を刺激されるのでは。

>>パリ〜ノルマンディーの印象派聖地へと誘うYouTubeはこちら

ノルマンディー地方が印象派の故郷といわれる理由は、「印象派 (Impressionnisme)」という名前の由来となったモネの絵「印象・日の出 (Impression, soleil levant)」が港町ル・アーヴルで描かれたこと、印象派の画家たちが光の美しい風景を好んで、ノルマンディーで多くの作品を描いたからです。

エトルタ海岸
<ブーダン、モネに描かれたエトルタ海岸>

印象派フェスティバル「Normandie Impressionniste (印象主義者)」は、2010年から2−4年毎にノルマンディー全土で開催されている人気イベント。第5回目2024年は印象派生誕150年で開催地方を拡大、ノルマンディーとイル・ド・フランス2地方で合計150の催し(展覧会・講演・コンサート・ダンスホール・アトリエ・ハイキング・ピクニック等)が繰り広げられる盛大なフェスティバルとなりました。

ノルマンディー地方

イル・ド・フランス地方

印象派の誕生日

今から遡って150年、「1874年4月15日に印象派は誕生した」とフェスティバルでは明言しています。この日は、後に「印象派」と名を馳せる若い画家たちが集い、当時絶対的な権力を握っていたフランス官展の審美眼に反旗を翻し、自費で初めてのグループ展を開催した日です。この時代は、保守的な美術権威者たちから入選をもらって官展に作品展示されることが、唯一画家として成功する活路でした。

クロード・モネ「印象・日の出」1872
<クロード・モネ「印象・日の出」1872>

グループ展に出品されたモダンな作品群の評判は悪く、筆跡が残る斬新な画法で描いたモネの「印象・日の出」においては、「正に印象!壁紙でもこれよりマシだ」と酷評されました。しかし反骨精神に溢れた若い画家たちは、その揶揄を逆手にとって自らを「印象派」と名乗り、グループ展を8回継続。作品評価が高まるにつれ、官展を通過しなくても、芸術家と画商が直に作品を売買するシステムが出来上がり、画家たちは自身の描きたい絵で勝負する自由を手に入れたのです。現在では、「印象派、印象主義」とは、「19世紀後半にフランスで発した芸術運動」と定義されています。印象派画家たちは、近代へと舵をとった芸術革命家なのです。

一般に認知されている印象派絵画の特徴は、個人の感性を重視、光の変化に敏感、戸外での制作、絵の具を混ぜない明るい色彩、筆跡が残るタッチ。浮世絵に大きな影響を受けたことも特徴のひとつです。しかし、「保守的な美に異を唱え、試行錯誤して自身の画法を確立していった画家」という視点では、「印象派ファミリー」の作風は多岐にわたります。

2024年フェスティバルの見どころ

2024年印象派フェスティバル開催期間は、3月22日~9月22日まで。イベントごとに開催期間が異なるので、ご注意下さい。現代アート展やバーチャル体験も初めて導入されている今年のフェスティバルの見どころをご紹介します。

1. パリ オルセー美術館

印象派の作品を大量に常設しているオルセー美術館では1874年印象派誕生に着目。

「1874年パリ、印象派の創造」展(3月26日〜7月14日)

「1874年パリ、印象派の創造」展(3月26日〜7月14日)
Paris 1874, Inventer l'impressionnisme

第1回印象派展の出品作、初期の傑作群などを展示。同時代官展に入選した保守的な作品群も展示されていて、印象派絵画がいかに革新的だったかがよく分かります。

3D体験「印象派画家と過ごす一夜 パリ1874年」(3月26日〜8月11日)
Un soir avec les impressionnistes. Paris 1874

ゴーグルで150年前のパリへタイムスリップする1時間のバーチャル体験。

>>オルセー美術館の公式サイトはこちら

2. ルーアン美術館

ノルマンディー首都ルーアンでは、「印象派画家は当時の前衛的芸術家だった」という視点から、ポップアートの巨匠ホックニーが登場。英国人ホックニーは現在、ノルマンディーの田舎に住んでいます。

「デヴィッド・ホックニー展」(3月22日〜9月22日)

「デヴィッド・ホックニー展」(3月22日〜9月22日)
David Hockney « Normandism »

ホックニーがノルマンディーで描いたカラフルな風景画、i-pad で制作したデジタルアート。「もし彼の時代にi-padが存在していたら、モネは使っていたはず」という壁文字が楽しい。展覧会タイトル「ノルマンディズム」は印象主義を表す単語「アンプレッショニズム」へのオマージュ。

ジェームス・ウィッスレー展

「ジェームス・ウィッスレー展」(5月24日〜9月22日)
Whistler, l'effet papillon

印象派と同時代を生き、その影響を受けた英国人画家の作品展。

3. ルーアン大聖堂 

光のナイトスペクタル(5月24日〜9月28日)

光のナイトスペクタル(5月24日〜9月28日)
Cathédrale de Lumière "Star and Stone :a kind of love...some say"

モネの連作で有名なルーアン大聖堂をスクリーンに繰り広げられる、日没後の野外映像スペクタクル。米国人ロバート・ウィルソン監督のヴィジュアルアートにフランス女優イザベル・ユペールがナレーションで参加。

4. ル・アーヴル  MuMa美術館

「1840〜1890ノルマンディー写真展」(5月25日〜9月22日)
Photographier en Normandie 1840-1890

1872年にモネが「印象・日の出」を描いた場所付近に建つル・アーヴル港を臨む美術館では、その時代の写真展。

「1840〜1890ノルマンディー写真展」(5月25日〜9月22日)

5. ジヴェルニー 印象派美術館

「印象派と海」(3月29日〜6月30日)
L'impressionnisme et la mer

モネの終焉の地ジヴェルニーでは、印象派の海関連作品展。

6. ドーヴィル フランシスケーヌ展示会場

「浮遊世界〜ジャポニズムから現代アートへ」(6月22日〜9月22日)
Monde Flottante du japonisme à l'art contemporain

日本とフランスの文化交流。印象派に影響を与えたジャポニズム。森美術館所有、印象派から影響を受けた日本の現代アート作品が公開。

>>ノルマンディー印象派展の情報はこちら

日本人アーティストも参加

今年の印象派フェスティバルには、日本人アーティストの個展もプログラムされています。犬丸暁さんは、光をテーマに植物の絵画、ドローウィング、パフォーマンスを行う在仏アーティスト。その美しくモダンな世界観は、光を追いかけた印象派絵画の世界とも、見事にクロスしています。

7. ルーアン サン・マクルー教会

「犬丸暁展 炎ゆらめく部屋」(5月2日〜6月23日)
Akira Inumaru : Chambres ardentes

ルーアン一美しいと賞されるゴシックフライボヤン様式の教会内、異なるテーマの « 3つの光 »を巡る実験的な絵画体験。

「犬丸暁展 炎ゆらめく部屋」(5月2日〜6月23日)
<Visite nocturne @Eric Cardin>

ルーアン、パリを拠点に活動されている犬丸さんは、近年、パリのリュクサンブール公園(2018年)、ルーアンのサントゥアン修道院(2022年)、ロワールのヴィランドリー城(2023年)と、フランスが誇る名所での展覧会を次々実現され、好評を博している注目アーティスト。今後更なるご活躍を、期待応援したいと思います。

カラフルかつ繊細な色彩と斬新な構図で描かれた植物の作品群に私もすっかり魅了されています。ご興味のある方はぜひ、下記のサイトをご覧下さいね。

>>犬丸暁さんの詳しい情報はこちら

さいごに〜印象派の聖地を旅しよう

「印象派は大好きだけれど、今年フランスは無理!」とため息をついているあなた!ご安心下さい。パリやノルマンディーの美術館には、貴重な印象派絵画が多数常設されています。印象派フェスティバルは今後も継続され、新しい展覧会にも出会えます。なにより、印象派画家たちが愛した美しい空と風景の多くは、時を経て尚、ここに存在しています。

フォンテーヌブローの森

パリのモンマルトルやバティニョール。近郊のフォンテーヌブローの森、ゴッホの終焉地オーヴェル=シュル=オワーズ、モネの終の住処ジヴェルニー。高速電車TGVに乗れば直通で、古都ルーアン、港町ル・アーヴルへは1時間20分〜2時間で到着します。全てパリから日帰りでもアクセス可能!お気に入りの絵を見つけたら、印象派が追いかけた光を浴びる旅を計画してみませんか?

ではまた、次の旅路でお会いできるのを楽しみにしています。それまでお元気で!

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原田さゆり

旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。

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