【兵庫】ワールドワイドに活躍する、唯一無二のシェフと奇跡のコラボ!「日本酒新時代」の到来を祝う夜

日本酒の文化が今、時代に合わせて大きく変化しようとしています。

海外では日本酒は「Sake」と呼ばれ、海外の食文化にもペアリングという形で取り入れられている昨今。

さて、今日はここから日本酒の未来を先取りしてチラッと覗き見てみようと思います。

ではでは、Here we go!

ライトアート

目次

まさかのゲスト・シェフは世界でも有名な"あのお店"の出身!

日本酒と言えば、親父さんが炙ったイカをつまみにチビチビ飲んでいるという昭和のイメージがありますが、今はもう令和の時代。日本酒の世界観を「もっと楽しく面白くしてみようじゃないか」と突如神戸に現れたのが、体験型日本酒スポット「灘五郷酒所」です。

日本酒は和食と一緒に、という固定観念から一歩踏み出してワールドワイドに歩き始めたSakeと、各地の美味しいものとをペアリングしてみようという企画をこれまで取り組んで来た灘五郷酒所。そしていよいよ今回招いたのは、何と世界でも名を馳せるあの超有名店のシェフでした。

SAKE×TAPAS PAIRING

「SAKE×TAPAS PAIRING」と題されたこの企画。いったいどんなタパスとどの日本酒が出会い、奇跡のコラボが生まれるのでしょうか。灘五郷酒所の入り口は締め切られ、ここだけの特別な時間がいよいよ始まります。

SAKE×TAPAS PAIRING

この日。赤一色に染めあげられたその空間には、日本一長いであろう酒カウンターを挟んで人々が集まりました。やがて始まろうとする宴に合わせて準備された料理素材たちが、輝かしい出番を待ち望むかのように並んでいるキッチン。オープンキッチンスペースの真横には面白いことにDJブースがあり、料理と同じライン上でレコードがしなやかに回転しています。

セバスチャン・マッツォーラ

スタッフの動きがパタパタと早くなり出したキッチン、その中に今日の主役のシェフの顔が見えました。「世界一予約が取れないお店」として有名なスペインの三つ星レストラン "エル・ブジ" 、惜しまれながらもクローズしてしまったその伝説のお店で、料理人として働いていた「セバスチャン・マッツォーラ」です。

セバスチャン・マッツォーラ

今日は、彼の作るタパスと灘五郷の日本酒のペアリングが楽しめるというスペシャルな企画とあって、カウンターに並ぶお客さんも東京からこのためにやって来たという強者もいるほど。時間になると、一升瓶を持ったスタッフが升に入ったグラスに日本酒を注ぎ始めました。

SAKE×TAPAS PAIRING

宇宙一でgo!go!

灘五郷と呼ばれるこの地域は、西郷(にしごう)、御影郷(みかげごう)、魚崎郷(うおざきごう)、西宮郷(にしのみやごう)、今津郷(いまづごう)という風に5つのエリアに渡って地域分けがされており、大小の酒蔵が数多く集っています。

「宮水」と呼ばれる日本酒づくりに適した名水の湧くこの土地で、丹精込めて作られたお酒はそれぞれに個性があり、色んな味わいを楽しむことができるのが灘五郷の良さです。「ここは日本酒の生産量も日本一なんです。つまりそれは世界一、宇宙一ということですね」と楽しそうに笑うのは、代表の坂野さん。

宇宙一でgo!go!

そんな坂野さんは、これまでも灘五郷酒所で様々な企画を生み出してきました。この日も灘五郷26蔵のお酒を背にマイクを持ち、各地からやって来たお客さんを楽しませようと軽快なマイクパフォーマンスで場を盛り上げ、人々を繋げていきます。ではコップを片手に高らかに「お酒はNada-go-go!」

というわけで、まずは泉酒造の「仙介 純米吟醸おりがらみ」からスタートです。今日の料理に合ったお酒をひとつづつペアリングして出していくという企画なのですが、これはこの地域が持ち合わせた特徴を最大限に生かして可能となったのだと言います。

「仙介 純米吟醸おりがらみ」からスタート

「灘五郷には西から東まで幅が広くて、西宮と御影でも味わいが違う。この味わいの幅広さを生かせるのが灘五郷の特徴です。だからシェフが作りたい料理を作って、お酒がそれに寄り添うことができるんです」

「そのほうが、今日みたいに驚きのペアリングが生まれるから面白い。お酒からいくとどうしても路線が決まってしまうのだけど、料理からいくと凄い広がるんですよね」と、今回のお酒のペアリング担当をした中野さん。

そんな解説に大きく頷きながら、まずは仙介をひと口。上品な味わいが鼻腔にふわりと香りを残す幸福感、これに合わせる料理への期待も膨らみます。

ではまず一品目からスタート

green beans / tonnato sauce / crispy shirasu
<green beans / tonnato sauce / crispy shirasu>

まず初めに運ばれて来たのはこちら。兵庫県産の揚げジャコの香ばしい風味が、甘酸っぱい仙介と合います。あっさりした中に優しい甘味と深い旨味があるところが、どこか似ているこのペアリング。

トンナートソースは、ツナやアンチョビ、ケイパー、卵、野菜と一緒に煮込んだお肉のスープストックなどで作るイタリア定番のソースなのだそうですが、それをお肉ではなく揚げジャコと合わせるという発想も興味深いですね。

友人シェフたち

お料理がどんな風に作られているのか興味津々でキッチンを覗いてみました。この日、セバスチャンをサポートするために集まってくれたという友人シェフたちと、阿吽の呼吸で次々にタパスを仕上げていくセバスチャン。調理中の様子がショー感覚で見られるのもここならでは。

kobe beef tartar / grilled focaccia / smoked aioli / karashina
<kobe beef tartar / grilled focaccia / smoked aioli / karashina>

2品目が、木のプレートに載せられました。お料理は長いカウンターの一番端から順に運ばれていきます。そんな中に、ここでは誰もが知っている"ある人物"の顔が見えたのでお話を伺ってみることに。

「お酒を食べ物と口の中で混ぜる、一緒に噛むという日本人特有の食べ方があるのですが、今日は、食べ物の味の余韻とお酒を合わせた時に、違う味が出てくる。そういう設計だったんだというふうに驚かされるのが面白いですね」と語るのは、剣菱酒造の社長の白樫さん。

神戸牛のタルタル

「例えばこの神戸牛のタルタルは、食べてお酒(福寿の純米吟醸)を飲んだ後にもう一度スモーキーさと、カラシナの辛みがやってくる。そう来たか!という感じでホント酔う暇がないですよ」と、満面の笑顔です。

そのお隣には白鶴の社長さんの姿も見えました。ここ灘五郷酒所は剣菱酒造の元酒蔵なのですが、酒蔵同士で横の繋がりもしっかりとあって皆仲も良く、灘五郷全体で日本酒を盛り上げていこうとしているのが見ていて感じられます。

grilled cabbage / wasabi cream / ikura / aonori
<grilled cabbage / wasabi cream / ikura / aonori >

こちらは白鶴酒造の「陽だまりのシュノーケル」とのペアリング。このお酒は白鶴酒造の若手社員が開発した「別鶴」シリーズとして、400種以上の酵母ライブラリの中に長年眠っていた酵母を目覚めさせて誕生した、時代に合った新感覚の純米酒です。

柑橘類の果皮のような香りとほろ苦さが、イクラとワサビクリームのコンビネーションを上手に引き立てています。洋食との組み合わせがぴったりな白ワインのような日本酒と、タパスの相性が抜群です。

セバスチャン、YOUはなぜ日本酒を?

セバスチャン、YOUはなぜ日本酒を?

料理と料理の合間には、キッチンを抜け出ては客席でお客さんとコニュニケーションをとっているセバスチャンの姿がありました。それは彼がここでの時間そのものを大切にしようとしている姿勢の現れだったように思います。

「今回、なぜ日本酒とお料理を?」と質問してみると「この10年間、日本酒と合わせるペアリングしかしていません。日本には発酵の食文化があり、何層ものレイヤーによって文化が作られている。ワインより日本酒の方が料理に対してのペアリングの可能性が高いと感じています」と話してくれました。

軽いタパスのはずが、これはもうコース料理!

grilled cabbage / wasabi cream / ikura / aonori
<grilled cabbage / wasabi cream / ikura / aonori >

さてさて次のお料理はこちら、見たことがない程とても大きなマッシュルームですよ。「このお料理と『剣菱の瑞祥』という5年以上熟成したお酒をペアリングすることで、松の実の香ばしさと、マッシュルームの香りが口いっぱいに広がります」と中野さん。

濃厚でどっしりとしたソースと、それに負けない熟成度の高いお酒。タパスなのにコース料理のメインディッシュをいただいたかのような満足感です。

剣菱の瑞祥

タパスは他にもう一品ありました。シャキシャキポテトのカルボナーラと、まろやかな「大黒正宗」のペアリングは甘味×旨味の際立つ逸品で、個人的にはベストマッチ賞。これによって日本酒はチーズや卵などとも合うということがはっきりと分かりました。

お互いの存在によって、より魅力を引き出し合えるというペアリングの魔法。ふわりとその魔法をかけられたまま軽い酔いも心地よく、いつまでも漂っていたいような時間もいよいよ終わりが近づいてきました。

甘味×旨味の際立つ逸品

突如サプライズで、メニューにはなかったデザートが。セバスチャンが今回の日本滞在でインスピレーションを受けた中にイチゴミルクがあり、「苺と甘酒のカクテル」とストロベリー(チョココーティング)が生まれたのだそう。シャーベット状の甘酸っぱいカクテルドリンクが華やかに最後を飾りました。

日本酒への想いを語る熱い男たち

長くひと連なりのカウンターには垣根がなく、誰にでも声をかけやすいこの空間。通路を端から端まで歩くだけで、人と目が合いにっこりと微笑めばそこに花咲く会話にスッと入っていける、ここにはそんなオープンさがあります。おかげで今日はたくさんの人達と知り合いに。

イベントが終わる頃に、カウンターにいたセバスチャンに声をかけると「僕のお気に入りの場所を教えるよ」と、連れて行ってくれたのが日本酒のネオン看板の前。昭和なネオン管と、Tシャツの「Everyday Sake」のロゴが妙にマッチしていてナイスです。

日本酒への想いを語る熱い男たち

10年間「Sakeアンバサダー」として世界各地で日本酒を広めてきたセバスチャン。年を追う毎に、日本酒が勢いよく受け入れられてきていると言います。

「今回は、灘五郷酒所に来て坂野さんの情熱に感銘を受けて何かやりましょうという所からのスタートだった。日本に来るたびにいろんな所からオファーが来て一期一会の出会いを大切にしているけど、今日もここで素晴らしい体験ができた」

なぜここでやったのかというと、灘五郷酒所に関して新しい可能性を皆さんに知ってもらいたかったからだと語ってくれたセバスチャン。そんな言葉の端々からはたっぷりの日本酒愛を感じられます。

左側/坂野 雅 (灘五郷酒所代表)、右側/セバスチャン・マッツォーラ
<左側/坂野 雅 (灘五郷酒所代表)、右側/セバスチャン・マッツォーラ>

そんなセバスチャンの想いに応えるべく、坂野さんも日本酒の役割を語ります。「神戸のご飯のポテンシャルをペアリングにより高めることができるのが、日本酒なんです。ここにはおいしい水があり、それを育む六甲山、森、川、海がある、そこから生まれるのがおいしいお酒です」

「(日本酒を通して)地元の人間が地元のことをいいと思えるきっかけを作っていくことも大事かなと。まずは楽しさで盛り上げていきたい。食のペアリングや知らない人同士のペアリングなどをしながら、灘から楽しい日本酒文化を広げていきたいですね」

「ここは酒神社でもあると思っているので、まずは集うことから始めようと。コニュニケーションは人にとって大切なことなので、この神社に人々が集い『祭り』にしていきたいんです」と坂野さんは熱く語ります。

灘五郷酒所

いよいよ「日本酒新時代」の到来

お酒を中心とし、そこから広がる世界。DJの音楽や色鮮やかな照明の演出、軽快な音楽で踊りながら料理に取り掛かるシェフや場を盛り上げていくスタッフの楽しそうな様子などを見ていると、これはもう「日本酒エンターテイメント」なのだと思わされます。

日本酒を飲むという一つの行為を、周りにある全てとのつながりの中で五感を刺激しながら、全身全霊で味わうことでその価値をどこまでも高めていけるのだということを知らしめた灘五郷酒所。

静かに座って飲むだけにとどまらない、体感する日本酒。いよいよ日本酒の新時代の到来ですよ!

灘五郷酒所

  • 住所:兵庫県神戸市東灘区御影本町3-11-2
  • 営業時間:月曜〜木曜は貸切、イベント、
  •      金曜、土曜日 12:00-21:00、※ラストオーダー: 食事20:00、飲み物20:30
         日曜、祝日  12:00-20:00ラストオーダー: 食事19:00、飲み物19:30
  • 公式サイト:灘五郷酒所

※お待ちの方がいる際は90分制

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Hinata J.Yoshioka

フォト&ライター。国内を転々と旅した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。世界を船でぐるり2周した物語もWebで掲載中!!

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