公開日:
最終更新日:
Part1:ロシアで食べられている料理って、おいしいの?【スープ編】
<TOP画像:スズダリのレストランで食べたシー>
こんにちは!モスクワ在住のチェブラーシカです。
現地の食事が口に合うかな?と旅行先を決める時に心配する方もいらっしゃるかもしれません。旅行中に何を食べようか迷ったら、とりあえず、スープを食べておけば何とかなります。基本的な味付けは塩と胡椒なので、日本人の口に合いやすいものが多いです。
今回は、ロシアの一般家庭で食べられているスープを紹介します。1回で紹介しきれないほどたくさんあるので、2回に分けて紹介します。
目次
ロシアで食べられているスープ
ロシアの食事で毎日欠かさず食べているのがスープです。4Lくらいの大きい鍋で一気にたくさん作り、それを2~3日かけて食べます。ライ麦で作った黒パンと一緒に食べます。
ロシアは、国土が広く自然条件も民族も宗教も様々なので、スープもたくさんの種類があります。ロシア周辺の国々とは陸続きで、長い歴史の中で国境線が何度も変わっているので、もともとは周辺諸国が発祥のスープもロシアに浸透して食べられているものもあります。日本にも郷土料理がありますが、そういう郷土料理も一部紹介します。
1. シー(щи)
ロシアのスープといえばシーです。キャベツのスープです。
<筆者作>
『カーシャ(おかゆ)とシーは、私たちの食べ物。』という言葉があるロシアのスープです。結婚する前に夫に作り方を聞いて覚えたスープで、夫が作るシーは姪や甥にも人気です。
材料は、骨付きの豚肉、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、キャベツ、油、塩、胡椒、ローリエ、ディル、サワークリームです。
<日本でも比較的手に入りやすい材料です>
作り方は、
- 3Lくらいの水に骨付き肉と塩を入れて、1時間以上ブイヨンをとります
- 玉ねぎをみじん切りにし、人参はおろし金でおろして、それらをフライパンで炒めます。塩、胡椒もお好みの量で
- ジャガイモとキャベツを切り、ブイヨンの鍋に入れて、やわらかくなるまで煮ます
- ジャガイモとキャベツが柔らかくなったら、フライパンで炒めた玉ねぎと人参を鍋に入れます
- 最後に味を見て、ローリエ、塩、胡椒を調整し、みじん切りにしたディルを加えて、完成です
日本でディルが手に入りにくい場合は、イタリアンパセリやネギなどで代用してもいいです。食べるときはサワークリームを入れて食べます。
ロシアのスープの多くは、基本的に、玉ねぎと人参をフライパンで炒めて、鍋に入れればいいので、具材が少し変わっても応用できます。
2. ボルシチ(борщ)
ボルシチは、ロシア、ベラルーシ、ウクライナなど、各地で食べられています。ボルシチもサワークリームを入れて食べます。
<義母作>
義母の作り方は、玉ねぎと人参とビーツをフライパンで炒めて、その後、ブイヨンの鍋に入れています。日本では生ビーツが高かったり、手に入りにくかったりしますが、種は日本でも売られているので、家庭菜園で育てたものを収穫してボルシチを作ることもできます。
また、トマトを入れたボルシチもあります。
<義母作>
ビーツを使ったスープをボルシチというので、各地で材料が少しずつ違っています。そのため、「モスクワ風のボルシチ」とか「シベリア風のボルシチ」などがあります。
旅行ツアーで一緒になった人の中には、どこに行ってもボルシチを頼んで各地のボルシチの味を楽しんでいる人もいました。お店、家庭、地域によって、味が違います。
3. 鶏肉のラプシャのスープ(куриный суп-лапша)
初めてのロシア旅行の1日目に食べたスープが、ラプシャと言われる麺が入っているスープでした。
<義母作>
鶏肉は値段が安いので、他の肉よりも消費量が多くなっています。また、このスープを作る時は、骨付きの鶏肉でブイヨンをとり、その鍋に、玉ねぎ、人参、ジャガイモを入れていくので、油を使ってフライパンで炒める必要がなく、ヘルシーです。塩、胡椒で味を調えて、麺を入れてやわらかくなれば、完成です。
これは、日本でも作りやすいスープです。麺を小麦粉から自作することもできますが、市販されているパスタを入れて作ることもできます。甥や姪たちも好きなスープです。
4. エンドウ豆のスープ(гороховый суп)
乾燥させたエンドウ豆を使ったスープです。
<義母作>
これは家庭でよく食べられているスープです。肉でブイヨンをとり、ジャガイモ、水で戻したエンドウ豆を入れ、炒めた玉ねぎと人参を入れます。肉の代わりに、ハムや燻製肉を使うことも我が家ではあります。エンドウ豆はたんぱく質たっぷりなうえ、お腹にたまるので、腹持ちがいいです。
ちなみに、乾燥エンドウ豆はこちらを使います。
5. ハルチョー:コーカサス地方の郷土料理(харчо)
ロシアの南部に山岳地帯があり、その辺りをコーカサス地方と言います。そのコーカサス地方のスープのハルチョーです。
<義母作>
お米を使っている少し辛みのきいたスープで、私は好きです。ロシア料理にはあまり辛い料理がないので、辛いものが好きな人は、ハルチョーがおすすめです。
現地で食べてもし気に入った場合は、スーパーでハルチョーのスープの素が売られているので、日本に持ち帰って作ることもできます。
6. ペリメニスープ(пельменный суп)
義母が住んでいた地方都市の1985年頃から1990年代の話です。
ゴルバチョフ時代の頃からいろんな商品が棚からなくなり始め、スープとともに食べる黒パンもなくなったそうです。ですが、玉ねぎ、人参、ジャガイモなどの野菜は、庭で育てていたので、何とかなりました。黒パンがないので、マカロニをスープに入れたり、ペリメニ(水餃子)をスープに入れたりして、子供たちの空腹を満たすように工夫して生まれたのが、ペリメニスープだそうです。
<義母作>
今は冷凍でペリメニも売られていて、時短レシピとして重宝しています。もちろん、ペリメニの皮づくりから、具づくり、さらには、肉を挽いてひき肉にするところからすべて手作りする家庭もあります。
7. 鶏肉のブイヨン(куриный бульон)
旅行中に食べる定番というよりは、風邪をひいたときに食べるといいスープです。
<夫作>
鍋に水と鶏肉と塩を入れて茹でただけのスープです。最後に、ローリエと胡椒で味付けをします。
熱があって、食欲がない時に最高のスープです。ロシアには、日本のようなスポーツドリンクはあまり売られていません。そのため、適度に塩分を摂りつつ水分補給をしたいときに、ぴったりのスープです。
番外編:スープの素
実はハルチョーだけではなく、今までに紹介したボルシチ、鶏肉のラプシャのスープ、エンドウ豆のスープなどもスープの素がスーパーで売られています。
我が家では、ハルチョーだけこのスープの素を使いますが、それ以外は使いません。しかし、日本だとビーツが手に入りにくかったりするので、それを補うためにボルシチのスープの素を買って帰るのがいいかもしれませんね。
2024年4月現在で、1袋45~55ルーブル(約74~90円)くらい。1袋は4皿分です。1袋70gで、そんなに荷物にならないので、帰国後も作れるようにお土産にも最適です。
ただ、こういうインスタント食品を購入するときに気を付けて欲しいことがあります。それは、パッケージの写真と中身が同じではないということです。日本なら、パッケージの写真と中身がほとんど同じですよね。もし違う場合は、パッケージに「イメージです。」とか「○○は入っていません。」などと書いてありますね。
材料を見ると、玉ねぎ、牛肉などと書いてあるし、パッケージの写真にも肉の写真が載っているので、それを信じて、買って帰り、「今日はボルシチだ」と喜んで袋を開けた所、粉しか入っていなくて、がっかりしたということがありました。
材料には確かに入っていますが、全部粉末になっているため、写真と全然違います。もしこういうスープのインスタント食品を購入した場合、「これはスープの素」と認識していただき、必要な野菜や肉などは別に用意してください。
まとめ
いかがでしたか?
スープによっては、日本で手に入る材料だけを使うものもあるので、ご自宅で作ることもできます。日本にいながら、ロシア気分を味わってください。
また旅行に来ることができるようになったときは、いろんなところでスープの味を楽しんでください。今回紹介しきれなかったスープがまだまだあるので、次回も紹介しますね。
関連記事
Rankingロシア記事ランキング
-
チェブラーシカ
- 高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。