景勝地の意味は? 「勝」が入る理由や名勝地との違いなど

景勝地 滝

「景勝地」とはどのような場所のことを指すのか、「名勝地」や「観光地」とは違うのか、いまいちよくわからないという方もいるでしょう。

今回は景勝地の意味について、由来や似ている言葉との違いを交えて解説します。日本や海外の有名な景勝地も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

目次

<1. 景勝地とは何のこと? どんな意味?>

<2. 「勝」の文字が入る理由とは>

<3. 名勝地との意味の違い>

<4. 景勝地に関するちょっとした疑問>

<5. 日本の有名な景勝地といえば?>

<6. 海外の有名な景勝地といえば?>

1. 景勝地とは何のこと? どんな意味?

景勝地とは、景色がすぐれている場所を意味します。山や海、川、湖、滝など、自然の中にある美しい景色のことを指すのが一般的です。

2. 「勝」の文字が入る理由とは

景勝地と同義で使われる「勝地」という言葉は、日本の平安文学に影響を与えた中国の詩人、白居易(はくきょい)による「勝地定主無し(しょうちていしゅなし)」という言葉が由来であるともいわれています。

「勝地定主無し」とは、素晴らしい景色には決まった持ち主がいないのだから、誰でも好きなように眺めて楽しめばよい、という意味です。

白居易が素晴らしい景色のことを「勝地」と称したように、「勝」という漢字は勝負事で相手を負かす「勝つ」という意味以外に「すぐれている」という意味もあります。

「景勝」をはじめ、「絶勝」「奇勝」のように、「勝」はすぐれた景色を指す言葉にもよく使われています。

3. 名勝地との意味の違い

景勝地と似ている言葉に「名勝地」があります。

名勝とは、文化財保護法において「我が国にとって芸術上又は観賞上の価値の高いもの」と定義された文化財のうち、文部科学大臣が「重要なもの」として指定したものです。

つまり、名勝地とは国が指定した名勝の地であるのに対して、景勝地とは一般的に自然の中にあるすぐれた景色全般のことを指します。

4. 景勝地に関するちょっとした疑問

景勝地は自然の中にあるすぐれた景色であることは前述しましたが、もう少し理解を深めるために、次の3つの疑問について解説します。

景勝地は観光地よりも価値が高い?

そもそも観光地とは、歴史や文化、絶景などを楽しむために多くの人々が訪れる場所のことをいいます。交通機関が整備されていたり、宿泊施設や飲食店、土産物店などが充実していたりするのが一般的です。

景勝地が観光地になっている場所もありますが、必ずしもすべての景勝地が観光地として賑わっているわけではありません。景勝地のなかには、交通の便が悪かったり、周辺に宿泊施設などがなかったりするような場所もあります。

多くの人が訪れる観光地も、あまり人が訪れないような場所にある景勝地も、旅の目的としてはどちらも価値があるといえるでしょう。

京都の景勝町は景勝地と関係あり?

京都府伏見区にある景勝町(かげかつちょう)は、戦国時代から江戸時代にかけて活躍した大名「上杉景勝(うえすぎかげかつ)」の下屋敷があったことが由来とされています。上杉景勝は上杉謙信の甥で、養子として育てられたのちに謙信の後継者になった人物です。

景勝町と景勝地は、たまたま同じ文字が使われているだけで、読み方も「かげかつ」と「けいしょう」と異なり、特に関係はないといえるでしょう。

自然以外の景色も景勝地と呼べる?(都会の夜景など)

景勝地は自然の中にある景色のことを呼ぶのが一般的で、イルミネーションなどの人工的なものについては景勝地とは呼びません。また、都会などの美しい夜景は、景勝地というよりは「絶景」と呼ぶほうが適切でしょう。

ただし、景勝地の中にはライトアップを行い、昼と夜で違った景色を楽しめるようにしている場所もあります。

5. 日本の有名な景勝地といえば?

日本には各地に有名な景勝地があります。ここでは日本の有名な景勝地を3つ紹介します。

尾瀬国立公園(福島県、栃木県、群馬県、新潟県)

尾瀬国立公園
<出典元:写真AC

福島県、栃木県、群馬県、新潟県の4県にまたがる湿原の尾瀬は、標高2,000m以上の山々に囲まれた壮大な景勝地です。6,000年以上かけて形成された高層湿地は本州最大規模で、国の特別天然記念物、そしてラムサール条約登録湿地になっています。

希少な高山植物や広大な原生林などの豊かな自然がほぼ手つかずの状態で保存されており、美しい自然の景色を楽しむことができます。また、尾瀬には900種以上の植物が確認されており、湿原を守るために整備された木道からは、ミズバショウやシャクナゲなど、さまざまな植物を見ることが可能です。

木道が敷かれたハイキングコースからは、湿原や山々が見えるのはもちろん、湿原のあちこちにある池に美しい景色が反射した絶景も見られます。特に尾瀬の中で最も古い至仏山(しぶつさん)が水面に映る姿は「逆さ至仏」といわれ、圧巻の景色に感動するでしょう。

蔵王の樹氷(山形県)

蔵王の樹氷
<出典元:写真AC

山形県の蔵王では、冬になると神秘的な樹氷の景色を楽しむことができます。樹氷とは、樹木の表面に水滴や水蒸気が付着して凍りつく現象をいいます。樹木全体が白い氷で完全に覆われ、自然の力で大きく成長した独特な姿は、「スノーモンスター」と称されるほどの迫力です。

蔵王の樹氷は日本三大樹氷のひとつで、1月下旬から2月が見頃です。樹氷の見頃に合わせて開催される「蔵王樹氷まつり」では、花火やスタンプラリーなど、さまざまなイベントとともに樹氷の景色を楽しめます。

樹氷を一望できるロープウェイからは、大迫力の景色が見られます。夜になると樹氷がライトアップされるので、昼に見えるありのままの景勝とは一味違う、幻想的な絶景も楽しめるでしょう。

山形蔵王スキー場では樹氷の中を滑るコースがあり、美しい樹氷の景色を眺めながらのスキーも体験できます。

鳥取砂丘(鳥取県)

鳥取砂丘
<出典元:写真AC

鳥取県鳥取市の日本海に面した鳥取砂丘は、国の天然記念物にも指定されている海岸砂丘です。10万年以上の長い年月をかけて形成された砂丘は、自然の力の偉大さを感じさせるダイナミックな景色を見せてくれます。

砂丘の表面には、風紋と呼ばれる風によってつくられた美しい模様が見られます。波のような模様が規則的に形成され、ダイナミックな砂丘の景色の中にも繊細な美しさを感じられるでしょう。

砂丘の中には雨が地下水として湧き出したオアシスもあり、砂と水のコントラストが美しい景色も見られます。晴れていれば水面に写った青空も加わり、より美しい景色を楽しめるでしょう。

また、約47メートルもの高さの急斜面である「馬の背」からは、足元の砂丘から続く日本海を眺める雄大な絶景も楽しめます。

6. 海外の有名な景勝地といえば?

海外にも自然の力によって生み出された素晴らしい景勝地がたくさんあります。ここでは海外の有名な景勝地を3つ紹介します。

ウユニ塩湖(ボリビア)

ウユニ塩湖
<出典元:写真AC

ウユニ塩湖は、南米ボリビアにある世界最大の塩湖です。面積は約10,000平方キロメートルと広大で、乾季と雨季で違った大迫力の景勝が楽しめます。

4月から10月頃の乾季は、見渡す限り真っ白な世界が広がります。塩の結晶化によってつくられる五角形や六角形の模様が一面に広がる様子は、まさに神秘的です。また、広大な塩湖が白一色になることで遠近感がないように見えるため、トリック写真の撮影も可能です。

11月から3月頃の雨季は、塩湖にうっすらと雨水が張り、水面が巨大な鏡のようになります。塩湖全体が空を映し出し、まるで水面と空が一体になったような、幻想的な世界が広がります。

ウユニ塩湖は、訪れる季節やその日の天候によって違った姿が見られるのも魅力です。幻想的な朝日や爽やかな青空、ロマンチックな星空などが塩湖と一体になり、訪れるたびに表情の違う素晴らしい景色に出会えるでしょう。

ナイアガラの滝(カナダ、アメリカ)

ナイアガラの滝
<出典元:写真AC

カナダとアメリカの国境にあるナイアガラの滝は、自然の神秘を体感できる景勝地として名高い滝です。世界三大瀑布としても有名で、流れ落ちる水量の多さや轟音(ごうおん)など、そのスケールの大きさに自然の驚異を感じることでしょう。

ナイアガラの滝は氷河期には厚い氷に覆われており、氷河期が終わり氷が溶けていくなかで数千年かけて形成されました。そのすさまじい侵食力により、現在の位置になるまでに約10kmも後退したとされています。

ナイアガラの滝は3つの滝によって構成されており、アメリカ側には「アメリカ滝」と「ブライダルベール滝」、カナダ側には「カナダ滝」があります。一番大きいカナダ滝は、落差56m、幅675mと壮大なスケールで、大量の水が滝壺に流れ落ちるダイナミックな絶景を楽しめます。

ナイアガラの滝では、展望エリアやクルーズ船、ヘリコプター遊覧など、さまざまな視点から大迫力の景色を見ることができます。

フィヨルド(ノルウェー)

フィヨルド
<出典元:写真AC

ノルウェーの西海岸沿いに広がるフィヨルドは、自然の力によってつくり出された大迫力の絶景を楽しめる景勝地です。フィヨルドとは入り江のことで、氷河期に氷河によって形成された複雑な地形のことをいいます。

ノルウェーのフィヨルドの中でも、ソグネフィヨルドは全長約200km、水深約1,300mと、世界最大の規模を誇ります。氷河が谷底を削りながら海へと流れ、その侵食によって形成された複雑な海岸線は、自然の強大な力を感じさせてくれるでしょう。

フィヨルドは鉄道やバス、フェリーなどで巡りながらさまざまな絶景を楽しむことができます。山頂から見るフィヨルドは、その複雑な地形を一望でき、迫力のある滝や深い谷など、変化に富んだ大自然を感じられるでしょう。

船上から見るフィヨルドはまた違った表情で、海岸線にそびえる山肌や断崖を間近で感じられ、大迫力の景色を楽しめます。

緑が映える春や夏、黄葉が美しい秋、雪景色が楽しめる冬と、季節によってもさまざまなフィヨルドの美しい景色を見られます。

景勝地の意味は理解できたでしょうか。景勝地は自然の力によって生み出された素晴らしい景色で、日本にも海外にもたくさんの景勝地が存在します。あなたもぜひ、日本や世界各地の景勝地への旅行を楽しんでみてください。

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