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【フランス】磁器芸術と歴史の街リモージュ
フランス中部の街リモージュは、透き通るような白磁が特徴の「リモージュ焼き」の窯里。
ヴィエンヌ川沿いの街は、ローマ時代から存在する古都で、スペインの聖地を目指すサンティアゴ・デ・コンポステーラ街道の巡礼地としても知られています。フランス文化省認定の「芸術と歴史の街〜Ville d'Art et d'Histoire」にも登録されているリモージュの見所をご紹介します。
目次
リモージュ・ベネディクタン駅
パリのオーステルリッツ駅より電車で約3時間半 、1920年代に建築された駅舎は、ドーム型の空間を持つ美しいアールデコ様式です。
駅入り口のレトロなステンドグラスは必見。
60mの高さの鐘楼を持つ駅の全容は、駅前に広がるシャン・ド・ジュイエ公園から眺めることが出来ます。駅から市庁舎方向へ伸びる大通りの途中に観光局があるので、そこで地図や情報をゲットしましょう。
リモージュ観光局
リモージュ市庁舎
1882年完成のリモージュ市庁舎 。前庭にある噴水の水盤は、リモージュ磁器で造られているので、ぜひご注目下さい。周囲は緑の広場となっています。
サン・テティエンヌ大聖堂
ヴィエンヌ川岸にあるサン・テティエンヌ大聖堂は、13世紀から19世紀にかけて建設されたゴシック様式。壁画やステンドグラスに歴史を感じる荘厳な大聖堂です。
キリスト生誕シーンを七宝焼(エマイユ)の人形で再現した作品。リモージュを首都とするリムザン地域は、磁器の生産が始まる以前から、七宝焼を伝統工芸として発展してきました。陶磁器の歴史は250年、七宝焼きの歴史は1000年にも及びます。七宝焼きの優れた技術は陶磁器製造課程にも貢献したことでしょう。
Cathedrale Saint Etienne
アドリアン・デュブーシェ国立磁器博物館
リモージュを訪問するなら必ず訪れてほしい国立磁器博物館は、花崗岩と煉瓦を組み合わせたアールデコ様式の歴史的建造物。明るく広々とした館内には、リモージュ磁器はもちろん、フランス全土及び世界から集められた磁器が展示されています。その貯蔵総数は11,000点にも及びます。
18世紀後半、硬磁器の製造に不可欠の白い粘土カリオンが、リモージュ郊外で発見されたことを機に、1771年より磁器原料の販売、及び磁器製造が始まりました。
透き通るような白を基調とした高級食器は徐々に裕福層の人気を集め、「リモージュ焼き」の黄金時代19世紀後半。薄手の純白食器、ジャポニズムやアールヌーボーの絵柄など流行の波に乗って、20世紀の前半には工場での量産化も実現します。
しかし、ふたつの世界大戦、他国の大手窯元工場買収、産業化による労働者の補償問題などで閉窯が重なり、現在リモージュ近郊に残る窯元数は著しく減少をたどりました。それでも、名窯ベルナルド社に代表されるリモージュ磁器は健在で、育まれた高度な技術はさまざまな形で継承され、今日もリモージュで、世界で新しい作品を生みだし続けているのです。
musée national Adrien Dubouché Limoges
リモージュの美味しいもの
中心街には、さまざまなお店が入った屋内市場があります。地元の食品を見学しながら、それぞれ好きなものを購入して、テラス席で軽食やアペリティフというのも、旅の楽しさを倍増させてくれますよ。
おすすめは、地域名産品のカナッペやパイ、カンタルチーズなど。
レストランでは、地域の名牛リムザン牛のステーキを、ぜひ味わってみて下さい。私は少し軽めに、名物料理のシュー・ファルス(肉詰めキャベツ)をリムザン牛でチョイス。煮込みのロールキャベツとは異なり、オーブン焼きで美味でした!
Les Halles Centrales
さいごに〜ルノワールの生誕地
中心街の建物の外壁にどうしてこんな騙し絵が?と後日調べてみると、リモージュはオーギュスト・ルノワールの生誕地でした。労働者家庭に生まれた彼は、3歳の時パリに引っ越していますが、13歳から17歳までを磁器の絵付け職人の見習いとして働き、産業革命のあおりで失業さえしなければ、絵付け職人になるつもりだったようです。
後に印象派の主要メンバーとなる、彼の芸術への第一歩を目覚めさせたのが磁器の絵付けだったとは、とても素敵な逸話ではありませんか。
今回のリモージュ散策の旅は、お楽しみいただけましたか?
ではまた、次の旅路でお会いいたしましょう。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。