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【スペイン・バスク】四季折々の野菜や果物をおいしくいただく保存食と修道女の知恵
こんにちは!ミオです。
今日は、ある本をご紹介したいと思います。
皆さんはスペインにあるバスクをご存じですか?バスクはスペインの北部にあります。そこにいる修道女たちの知恵がたっぷり詰まった保存食の本『バスクの修道女 畑と庭の保存食/丸山 久美:著』を紹介します。
著者の丸山さんは、長きにわたって修道女たちと交流を持ち、彼女たちから料理を教わりました。そんな著者がバスクの味を忠実に、保存食を使ったアレンジ料理からデザートまでを本にされています。
この記事では、ほんの一部だけご紹介しますので、気になる方はぜひお手にとって読んでくださいね♪
目次
修道院とは?
修道院は、キリスト教の戒律に従って共同生活をする場所です。
スペインの多くの修道院は観想修道会で、この修道院には禁域がありますので、境界線に外部から人が入ったり出たりすることを禁じられています。もちろん、修道女もです。ですが、病院やなにか外で手続きが必要な際には外出することができます。外出はそれくらいで、それ以外は修道院で過ごしています。
修道女たちの1日
修道女たちは忙しい毎日を過ごしています。
祈りの時間を中心にテキパキとスケジュールをこなしています。修道院は、祈りと労働に生涯を捧げる場所ですので、日常生活に不可欠な家事(掃除、料理、洗濯など)は、各自もしくはローテーションで担当し、さらには農作業や野菜や果物の保存作業までこなしています。
気になるタイムテーブルはぜひ本をご覧ください。
保存食はどうやって生まれた?
修道院には庭園があり、野菜や果物などが栽培されています。これらで自給自足が実践されており、その傍らで農業技術の研究が行われ、発展していきました。修道院ではこの庭園での労働があり、この庭園内で実ったものは生きていくために大切なものになっています。ですので、庭園で採れた野菜・果物を無駄なく食べるために保存食が生まれました。
このことからわかる通り、修道院では、無駄なく食べることが基本になっています。
保存食の種類
では、保存食と聞いて何が思い浮かびますか?
ピクルスやジャム、瓶詰めなどでしょうか...?
ほかにもまだまだありますが、主に保存食といえばコレ!というものをご紹介します。
- ジャム(Mermelada):長期保存できるよう果物や野菜、それらの40%以上の重さの砂糖を加えて煮詰めたもの
- コンポート(Compata):果実に、その14%以下の砂糖と水、もしくは水だけを加えて煮たもの
- シロップ漬け(Almíbar):果物を大きめに切るか、もしくは丸ごと使用して、水と砂糖で漬け込む
- ジュレジャム(Jalea):果実の果汁や浸出液を使用して作るゼリー状の食べ物
- 固形ジャム(Dulce):ナイフで切ることができるくらいうにかたく煮詰めたジャム
- 瓶詰め(Conserva):野菜を水、もしくは煮汁と塩で漬け込んだもの(塩漬けともいう)
- 酢漬け(Encurtidos):野菜や魚介をお酢と塩で酸性環境(※1)で作る保存方法
- オイル漬け(Aceite):野菜や魚介などをオリーブオイルに漬けて保存する方法
※1:菌が繁殖しにくい環境
長期保存をするために
長期保存をするためには脱気をすることが大切です。
- 保存食には凸凹やひび割れのないガラス瓶を使います
- ガラス瓶は鍋に入れてたっぷりの水を注ぎ、沸騰したら15分、蓋は3分煮佛して消毒します。取り出したら乾いた清潔なフキンのうえに逆さまに置きます
- 瓶にでき上がりの温かい保存食を詰めます。瓶と保存食の温度に大きく差があると瓶にひびが入ったり、割れる恐れがあるので、瓶が温かいうちに詰めるのがベストです
- 清潔なフキン(またはアルコールを含ませたペーパータオル)で瓶の縁を消毒してから蓋を閉めます
- 大きめの鍋に瓶の衝撃軽減と破損防止のためにフキンを鍋底に敷き、保存食を入れた瓶を置きます。蓋から2~3cm下まで水を注ぎ、火にかけて沸騰したら10~15分、ぐつぐつとする温度を保ちながら弱火で煮佛します
- くれぐれも火傷しないように注意して瓶を取り出し、蓋をしっかり閉め直します
- フキンのうえに逆さまにして置けば、さらに安心です
- 冷めたら蓋の中央が凹んでいるかを確認します。凹んでいたら脱気成功です
(『バスクの修道女 畑と庭の保存食』から引用)
四季の保存食
では、季節ごとにどんな保存食があるのかをご紹介します。
たくさんの保存食がありますが、この記事では季節のうち春と夏のレシピを1つずつ抜粋してお伝えします。
(以下、いずれも『バスクの修道女 畑と庭の保存食』から引用)
春〈春の訪れをいちばんに知らせてくれるいちご〉
【いちごとラズベリーのジャム】
○材料(400ml分)
- いちご・・・300g
- ラズベリー・・・200g
- グラニュー糖・・・240g
- レモン果汁・・・1/4個
○作り方
- いちごとラズベリーは洗い、水気をふく。いちごは下手を取り、4等分に切る。果肉の重さを量り、その半量のおもさのグラニュー糖を用意する
- ボウルに1.とレモン果汁を混ぜ、6時間置く
- 果物から出た水分ごと鍋に入れ、中火にかけて沸騰したらアクを丁寧に取る。とろりとするまで15~20分煮る
- 熱いうちに煮佛消毒した清潔な瓶に詰める
夏〈スペインの台所に不可欠なトマト〉
【トマトの瓶詰め】
○材料
- トマト(完熟)・・・1kg
○作り方
- 鍋にトマトがひたひたに被る程度の水を沸かす。沸騰したらトマトを15秒茹でて取り出し、冷水に取る。ヘタを取り、皮をむく
- 煮佛消毒した清潔な瓶にトマトを空気が入らないように綿棒やすりこぎで瓶の上部の1cmをあけるように押しこみながら詰めて蓋を閉める
- 深鍋にフキンを敷き、2.の瓶を置く。トマトが見えるところまで水を注ぎ、中火にかける。沸騰したら20分間煮佛して取り出し、蓋をしっかり閉める
最後に
いかがでしたか?
「この野菜・果物からこんなに保存食ができるなんて!」と、驚いたのではないでしょうか。
この記事を書いている私も本を読みながらびっくりしています。1つの材料からたくさんの料理や保存食を作り、研究している修道女は本当にすごいと思いますし、その知恵を私も直接いただきに行きたくなるような本でした。
今回は一部しか紹介していませんが、本を開くとたくさんのレシピや写真がありますので、作りたい気持ちになること間違いなし。私も時間ができた際には、この本を読みながら料理をしたいと思います。
また、この本は楽天やAmazonにありますので、ぜひお手にとってみてください。
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ミオ
- 旅行会社に勤めて早5年。美味しいご飯と昔からある街並みが好きです。国内旅行が好きで、日帰りや1泊から2泊でお出かけをしています。1年に1回は必ず旅行に行くことが目標です。