【フランス】バラ色の世界遺産「アルビの司教都市」を散策

2010年に世界遺産に登録されたフランス南西部の街アルビは、中世の煉瓦造りの街並みに、要塞のような巨大な大聖堂や宮殿がそびえ立つ、独特の景観が魅力的な街です。パリからは、空路も鉄道も直通がなく、車でも約7時間のアクセス。しかしアルビを訪問してみると、想像以上の大きな感動に出会えることでしょう。

今回は、バラ色の世界遺産「アルビの司教都市」をご紹介します。

目次

アルビの歴史と世界遺産

「アルビの司教都市」の世界遺産正式登録は2010年、比較的新しい世界文化遺産です。登録対象は煉瓦造りのサント=セシル大聖堂、バルビー宮殿(旧司教館)、ビュー・ポン(古橋)など歴史的建造物と旧市街の中世の街並み。中世のアルビでは、建築資材となる石の入手が困難で、古い建物は全て煉瓦建て。その赤い色彩から「バラ色の街」と称されています。

13世紀にローマ・カトリックの司教都市となったアルビは、類まれな歴史を有しています。12~13世紀この街は、ローマ・カトリックから見て異端に当たるカタリ派(別名アルビジョワ派)の中心地でした。カトリック教会とフランス軍は、十字軍を派遣してカタリ派を一掃撲滅し、アルビにカトリック司教支配の強靭な司教都市を築いたのです。

タルン川

これはアルビの街を横切るタルン川から、旧司教館バルビー宮殿を写した風景。アルビの大聖堂と司教館が、まるで要塞のような外壁をもっているのは、敵の攻撃を防ぐ役目も果たしていたからなのです。バルビー宮殿は、現在ではトゥルーズ=ロートレック美術館として一般公開されています。こんな由緒ある場所にどうして?

まずは、アルビを散策してみましょう。

サント=セシル大聖堂

サント=セシル大聖堂

城壁を持つ城のようなサント=セシル大聖堂。全長114m、幅35m、高さ40mの巨大な聖堂は、煉瓦造りとしては世界最大級で、建設期間に約200年もの年月を費やしています。内部も極めて保存状態が良く、アルビ黄金時代を実感できる壮大な文化遺産です。

サント=セシル大聖堂

側面にある入り口には、厳しい外観とは対照的に、繊細で豪華な装飾が施されています。大聖堂は中世ゴシック様式の大傑作、圧巻は聖堂内部です。

天井画

一度も修復されていないというパステル染料で描かれた煌びやかな天井画は、美しい色彩を保ちながら尊厳な雰囲気を醸し出しています。

パイプオルガン

パイプオルガンは高く見上げる位置に。両脇の柵のサイズから、その巨大さが分かるでしょうか?下には15世紀末に描かれた「最後の審判」のフラスコ画。

72体もの天使像

有料エリアとなる内陣。司教席を囲むように72体もの天使像がズラリと配置されています。個性豊かな天使達は、持ち物もそれぞれで見飽きることがありません。

今までフランスで、数々の美しい大聖堂には出会ってきましたが、類のないアルビの大聖堂は、とても印象深かったです。

トゥルーズ=ロートレック美術館

旧司教館であるバルビー宮殿は、大聖堂の隣に位置していて、現在は、アルビ生まれの印象派後期画家 トゥルーズ=ロートレック美術館となっています。36歳で早逝したロートレックの1,000点を超える膨大なコレクションは、落書き、デッサン、絵画、ポスターなど全ジャンルに及び、年代別・テーマ別にロートレックの全像が体感できる唯一無二の素晴らしい美術館です。

トゥルーズ=ロートレック美術館

アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥルーズ=ロートレック=モンファ(1864−1901)という正式名を持つ彼は、南西仏有数の由緒ある名門貴族家系に生まれました。血筋重視の親族結婚の弊害で、思春期の怪我から両足の成長が止まり障害者となります。病弱で奇妙な身体に活動を制限された彼は、周囲を説き伏せて伯爵家長男としては異例の画家を志します。卓越した才能で、19世紀末のパリのキャバレーや娼館の日常などを描いて、当時の画家とは異質な分野で功績を残し、わずか36歳で早世しました。

ロートレック美術館100年周年(1922年開館)ビデオでは、館内の様子やバルビー宮殿の全容がよく分かるので、覗いてみて下さい。ジャポニズムに強い影響を受け、日本に憧れていたロートレックが好んで使用した、頭文字T-Lを印のように描いたサインもお見逃しなく!

>>YouTube『ロートレック美術館100年周年(1922年開館)ビデオ』はこちら

庭園

宮殿内を観賞した後は、タルン川沿いの美しい庭園を散歩しましょう。館内の作品はどれも素晴らしく、私は特に直筆のデッサンや絵画に感銘を受けました。そして、これほど沢山の作品が母アデール伯爵夫人から故郷のアルビに寄贈された幸運に感謝しました。彼が亡くなった当時は時代がまだ彼に追いついていなかった、、、これからも世界中の絵画ファンがアルビの街を訪れることになるのでしょう。

銅像

それにしても、こんな名誉ある場所に個人名の美術館とは!この地を統治した家族の末裔に相応しく、ロートレックは在るべく場所に戻ってきたんだなぁと、タルン川にかかる古橋を眺めながら、ちょっとセンチメンタルになったのでした。

アルビで見つけた風景

アルビには、他にもこんな素敵な場所があります。

アルビ旧市街

ルネサンス様式の木骨造りの住宅が建ち並んでいるアルビ旧市街。歩けば、中世にタイムスリップ気分が味わえます。

鳩のアパート

古橋の隣にかかる、新橋の朽ちたレンガの合間が鳩のアパートになっていました。

さいごに〜アルビへのアクセス

世界遺産「アルビの司教都市」散策、お気に召しましたか?

最後にアルビへのアクセス方法を記しておきます。「バラ色の街を歩いてみたい!」と思った方は、いつか訪ねて下さいね!

飛行機ではパリからトゥルーズ空港へ、電車ではモンパルナス駅からTGVでトゥルーズ・マタビオ駅へ(約4時間半)、トゥルーズ・マタビオ駅からアルビ駅へは、約1時間で到着します。

最後までアルビ散策にお付き合い下さり、ありがとうございました。

また次の旅路でお会い致しましょう。それまでお元気で!

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原田さゆり

旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。

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