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【福井・若狭】江戸時代、鯖街道で一番繁栄した熊川宿で "質素という贅沢" を味わう。。。
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
あなたは、日本遺産第一号に認定された場所はどこだか、ご存じですか。
それは福井県の「御食国(みつけくに)若狭と鯖街道」です。
御食国(みけつくに)とは、古代から皇室・朝廷に海水産物を中心とした食べ物を貢いだとされる国のことで、若狭・志摩・淡路などの国だと推定されています。
天皇や貴族に食べ物が献上されたイコール食材がとても豊かで、交通の便が良い場所だったということを表していますね。
若狭は京都の真北に当たり(約70km)、一晩で京へ届けることが出来たそうです。魚に施される絶妙の塩加減は「若狭の一汐」と言われ、「若狭もの」と重用されました。
魚だけでなく、さまざまな物が若狭から京へ運ばれましたが、中でも鯖が沢山運ばれた為、総称して「鯖街道」と呼ばれるようになったそうです。
その鯖街道の中でも、荷継ぎで特に栄えたと言われている宿場町が、熊川宿です。
熊川宿は、鯖街道に沿って流れる前川と共に宿場には今なお、江戸時代以来の景観が残っています。
風情溢れる熊川宿を訪れましたので、ご紹介します。
目次
熊川宿の概要
豊臣秀吉に重用され、若狭の国主となった浅野長政は、天正17年(1589年)に熊川が交通と軍事において重要な場所であることから宿場町としました。
それ以来、40戸ほどの寒村だった熊川が200戸を超えるほどの町になりました。
今も残る江戸時代に形成された町並みは、平成8年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
奉行所、番所、お蔵屋敷跡などが残っており、往時の繁栄が偲ばれる町並みを見ることができます。
地元の人たちが40年かけて保存してきた町並み
それでは、熊川宿の風景をどどーんとご覧いただきましょう!
時代劇にそのまま出てきそうな風情ある町並みが続いています。
<宿場館>
一部お土産などを売っているお店もありますが、どこかの観光地のように「それはやりすぎでしょ!」という感じでもなく静かです。
人通りが少ないのも、良い風情を感じさせます。
シェアオフィス&スペース「菱屋」
熊川宿は、単なる観光地として旅行者を誘客することだけを目的としていません。
熊川宿がある若狭町の、町そのものを活気づけようとされています。
現在、その動きの中心にあるのが、こちらです。
<シェアオフィス&スペース 菱屋>
地元福井県のおおい町で生まれ育った時岡氏は、学生時代に地元福井県の地域活性化について研究し、いつかは福井県に携わる仕事をしたいと思っていたそうです。2011年に東京で株式会社DEKITAを創業し、築地場外市場や震災復興施設などの施設開発に携わった後、2019年から本社を熊川宿に移されました。
取り組まれているのは、空き家となった古民家の再生です。
熊川宿集落の140軒中、40軒もの空き家があり、10年以上放置されているものもありました。
それをこの5年間で14件の空き家利活用に取り組まれています。
この菱屋はその拠点となっており、古民家宿のフロント部、企業のシェアオフィスや貸しスペースとして機能しています。
<菱屋の内部>
竈は今も現役です。
東京蔵前にある、あのSOL'S COFFEEが熊川宿にもオープンしています。
<SOL'S COFFEEの内部>
宿場町に泊まれる古民家宿「八百熊川」
古民家宿のひとつ「八百熊川」の内部を見せていただきました。
ここの特徴のひとつとして、食事は、地元料理とコラボで「仕出しスタイル」で供されるというところです。
いわゆる旅館で供される豪華な宴会料理ではなく、地元のお母さんたちがこの土地の滋味溢れる料理でおもてなししてくれます。
外国人客に大評判だそうです。
朝食は「朝粥」です。お部屋で自分たちで簡単に作れるキットとして冷蔵庫の中にいれてあるそうです。
<古民家宿八百熊川の外観>
内部は建物本来の良さを生かしつつ、機能的にリノベーションされており、快適な古民家ステイが楽しめそうでした。
和モダンのセンスが光ります。
まとめ
熊川宿は、単に昔の宿場町を観光地に作り替えるという従来の開発ではなく、近隣の山にトレイルを整備したり、オートキャンプ場、複合アウトドア施設(山座熊川)、企業向けプログラム、ウエルネスツーリズムの整備提案、近隣のダム湖ではサップ、カヤックプランの企画など、全体の町づくりを視野に入れて活動されているのがすごいと思いました。
地元の歴史、文化と自然を活性化させる、これこそがこれからの日本に求められる地方創生なのかもしれません。
福井県の嶺南地区は海と山が近く、湧き水が豊富なところです。
京都まで車で約1時間ちょっとと意外に交通の便も良いところです。
これまでは関西方面からの訪問客が中心でしたが、2024年春の北陸新幹線が敦賀まで延伸すると関東圏からもアプローチが近くなります。
これからの嶺南エリアから目が離せそうもありません。
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。